本朝徒然噺

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「鴨川をどり」観賞

2006年05月01日 | ニッポンの旅
京都旅行3日目の5月1日。
この日はまず、「鴨川をどり」を観に行きました。

「鴨川をどり」は先斗町(ぽんとちょう)の芸妓さん・舞妓さんによる踊りの公演で、毎年5月1日から24日にかけて開催されます。

初日の、しかも1回目の公演(鴨川をどりは1日3回公演)を観ることができたので、なんだか縁起がいい感じです。

■先斗町の路地で

午前11時半すぎ、まだ人通りの少ない先斗町を歌舞練場へ向かって歩いていると、舞妓さんの姿が見えました。
先斗町の売れっ妓・久万里さんでした。「鴨川をどり」で舞妓さんたちが着るおそろいの着物を着て、後輩の舞妓さんと挨拶を交わしていました。

挨拶を終えて歩いてくる久万里さんとすれ違ったのですが、先斗町の路地は狭いので、本当にすぐ近くを通って行かれたのです。
しかも、すれ違いざまにふと目が合いました。
女性の私でも心が弾むくらいですから、男性はさぞうれしくなるのではないでしょうか。

■「鴨川をどり」のお茶席

朝からラッキーかも、と思いながら、先斗町歌舞練場へ着きました。
お茶席に行ってみると、ちょうど始まったところだったそうで、一つだけ空いていたいちばん前の席に案内してくださいました。
端のほうの席だったので、ちょうど控え(半東)の舞妓さんを目の前で見られました。またまたラッキーでした。

この日の当番は、芸妓さんがもみ蝶さん、舞妓さんが久乃さんでした(冒頭写真)。

まず最初に舞妓さんがお点前をし、その後で芸妓さんのお点前が始まりました。

鴨川をどりお茶席でのお点前(舞妓さん)

鴨川をどりお茶席でのお点前(芸妓さん)

上段が舞妓さん、下段が芸妓さんです。

祇園甲部の「都をどり」と異なり、「鴨川をどり」では舞妓さんも黒紋付の振袖で正装します。正装のときは、金糸使いの「だらりの帯」を、帯締めを使わずに結びます。
舞妓さんの髪型は、「奴島田(やっこしまだ:一般に言う高島田と同じ)」という正装用の髪型です。

芸妓さんは、祇園甲部の「都をどり」と同様、地毛で「京風芸妓島田」を結い、黒紋付の留袖を着て、襟の一部を返して裏の赤を見せます。
帯の結び方も通常のお太鼓と違って、「タレ」を出さず、帯締めも使いません。

「芸妓島田」とは、「つぶし島田」の髷(まげ)の中に笄(こうがい)をさしたものです。
「奴島田」は髷の位置が高く、「つぶし島田」は低め、その中間が「中島田」です。

祇園甲部の「都をどり」では、「総踊り」の舞い手が「都をどり用中島田」を結います。中島田なので「芸妓島田」とは髷の高さや形が少し異なります。

鴨川をどりお茶席でのお点前(芸妓さん)
↑都をどり用中島田。祇園甲部の芸妓さんと舞妓さんが、「都をどり」の際、「総をどり」に出演する日に結う髪型です。これはお座敷のときの写真なので、髷飾りは舞妓さんの好きなものを使用していますが、舞台では、菜の花をあしらった大きな髷飾りと、桜の前飾りをつけます。

■見ごたえのある楽しい舞台

お茶席がすんで、客席のほうに行きました。

何と、「都をどり」に続いてここでも前のほうの列で、しかも、花道の近くでした。
ちょうど花道の「七三」の横あたりだったので、花道で所作をする芸妓さんを目の前で見られて、大感激でした。
重ね重ねラッキーです。

「鴨川をどり」の大きな特徴は、お芝居仕立ての踊り(舞踊劇)が、毎年必ず一本入るという点です。
芸妓さんたちが、歌舞伎役者のように決め台詞を言うのですが、みなさんなかなかお上手で、見ごたえがあります。

舞踊劇のあと、オムニバス形式の踊りが披露されます。舞踊劇は芸妓さんしか出られませんが、オムニバスのほうは舞妓さんも出ます。

先斗町は、数年前まで舞妓さんの数がとても少なかったのですが、最近は人数も増えたようで、とても華やかな舞台でした。

来る途中ですれ違った久万里さんも、もちろん出演されていました。
もうお姉さん格の舞妓さんなので、中心で踊っておられました。踊りも上手で、お姉さんらしく堂々としていました。
踊りを見ているときにも一度目が合ってしまいました。ひょっとしたら「あ、今朝すれちがったお姉さんやわ」と気づいてくれたのかも!?(笑)

「鴨川をどり」では、最後に芸妓さんや舞妓さんが、客席に向かって手ぬぐいを投げてくれます。
以前観に行ったとき、一度だけ手ぬぐいが降ってきたことがあるのですが、今回は残念ながら収穫なしです。
舞妓さんや芸妓さんたちの優しい心づかいで、なるべくご年配のお客さんに渡るように投げていたみたいです。
そういうほんわかした、アットホームな雰囲気が、先斗町の良さじゃないかなあ……と思います。
お茶席の入口などに立っている屋形(置屋)の「おかあさん」も、人当たりがよくて上品で、見ていてなんだかほっとする感じでした。



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