本朝徒然噺

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祇園散策&「都をどり」観賞

2006年04月30日 | ニッポンの旅
勧修寺を見た後、祇園へ出て遅めの昼食をとりました。
昼食の場所は、京都に行くと必ず一度は立ち寄る、祇園のお蕎麦屋さん「権兵衛」です。
私はここで、いつも「鳥なんば」(鳥南ばん)を食べます。ここの「鳥なんば」は絶品です。

食事の後少し時間があったので、祇園の路地にあるお店でお茶を飲みました。偶然見つけたのですが、夜は会員制のバーになっているお店のようです。そのため、店内はとても落ち着いた雰囲気で、ゆっくりくつろげました。自家製のケーキも、ふんわりしていてとてもおいしかったです。

お茶を飲んだ後、祇園甲部歌舞練場へ向かいました。
祇園甲部の芸妓さん舞妓さんによる舞の公演「都をどり」を見るためです。
※途中、路地で何やらアヤシゲな一団に遭遇しました。詳しくはこちら

4月1日から1か月間続いた「都をどり」も、この日がいよいよ千秋楽です。
千秋楽の、しかも、いちばんおしまいの4回目の興行だったので、大勢のお客さんが来ていました。立ち見もたくさん出ていました。

そんななか、事前にとっておいたチケットを窓口で受けとってみると、なんと最前列の席でした。
舞台や花道にいる舞妓さんや芸妓さんを間近で見られて、感動もひとしおでした。

■楽しいハプニング

公演の途中で、不思議なことに気づきました。
芸妓さんや舞妓さんが、一生懸命笑いをこらえているのです。
何だか、こっちのほうを見ているようにも見えるけど、でも私は、笑いを誘うようなことはしてないはず……。いったいどうしたんだろう……。

その謎は、公演が終わった後に解けました。
席を立ってからひょいと後ろを向くと、なんとそこには、志村けんの「バカ殿様」のお面を持った集団が!
私の後ろの列の方々が、公演の間「バカ殿様」のお面をかぶって座っていたのです(笑)。
お茶屋さんのごひいきの方々が、遊び心で舞妓さんや芸妓さんに「いけず(いじわる)」をしていた、というわけです。

祇園甲部の舞の流儀は、井上流です。
能の流れを汲む井上流京舞は、能の仕舞と同じように、表情を作らずに舞わなければなりません。
それを知っているごひいきさんたちは、芸妓さんや舞妓さんを笑わせてやろうと、わざと「いけず」をするのです。
耐えきれずに笑ってしまう人もいましたが、終始表情を変えずに舞っていた人もいました。

祇園の旦那衆と芸妓さん・舞妓さんたちとのコミュニケーションが垣間見えた感じがして、何だか楽しくなりました。

もちろん、こんな「いけず」は、芸妓さんや舞妓さん、女将さんたちとの信頼関係が築けている「ごひいきさん」だからこそできるのでしょう。
普通の人がこんなことをやっても、ひんしゅくを買うだけだと思いますので気を付けましょう。

遊び心のある「ごひいきさん」のおかげで、必死で笑いをこらえようとする芸妓さんや舞妓さんのかわいらしい姿を見ることができ、ラッキーでした(笑)。
いつもとは違った「都をどり」の楽しみ方ができた感じです。

■都をどりのお茶席

都をどりのお茶席

開演前、お茶席へ行きました。
京都の花街の「をどり」では、このようなお茶席が定番になっています。
芸妓さんのお点前を見て、お抹茶とお菓子をいただけます。
お菓子の乗っているお皿は、お土産として持って帰れます。
「都をどり」のお茶席で出されるお皿は、祇園甲部の紋章「つなぎ団子」をあしらったものです。

花街によっては舞妓さんがお点前をするところもありますが、「都をどり」のお茶席では、お点前をやるのは必ず芸妓さんです。舞妓さんは控え(半東さん)をやります。

この日の当番は、お点前が照古満(てるこま)さん、控えが有佳子さんでした。

芸妓さんは地毛で「京風芸妓島田」という髪を結い、黒紋付(注・一般で言う「黒留袖」と同じで、裾に柄が入っています。黒無地ではありません)の正装をします。
地毛で「京風芸妓島田」を結ったときは必ず、襟の一部を返して裏の赤が見えるように着付けをします。
これは、京都の芸妓さんの伝統的な格好なのです。
黒紋付を着る場合でも、地毛で「京風芸妓島田」を結わずカツラをかぶるときは、襟を返しません。

「都をどり」のお茶席の場合、舞妓さんは黒紋付は着ません。普段のお座敷と同じように、色のついた着物を着ます。
ほかの花街では、黒紋付の正装をするところもあります。


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