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品質工学:田口玄一について

ロバスト設計は田口玄一氏の名前とつながり日本発の考え方だとされる。Taguchi methodと呼ばれることもある。

田口氏のつぎのような言葉が知られる。
「品質は出荷後の損失で表し、開発設計段階で短期間に評価しなければならない。」
「品質とは、品物が出荷後社会に与える損失である。ただし機能による損失を除く」=損失を機能でなく金額がとらえたところが画期的
「設計をやるのは自由であるが、評価には自由をあたえてはならない」
「失敗した実験にしか意味はない」
「品質工学は、あくまで評価技術である」

ロバスト設計はつぎのような考え方である。

製造品質(機能や性能のばらつき)よりは製品品質(設計品質:機能の安定性)を重視する。これには、顧客のクレームのほとんどは製品品質に関するもの(顧客の様々な使用条件のもとでの機能の安定性に関するもの)という事情がある。つまり品質管理(品質の悪いものを出さない)ではなくて品質工学(品質の悪いものを設計しない)なのである。

従来の設計では製品企画で品質目標をきめて製品設計していた。試作・性能試験のたびに発生した問題を設計変更で繰り返していた(reverse engineering)。大量の試作、試験が行われ開発には時間とコストがたくさん必要だった。これに対して
ロバスト設計(パラメータ設計):品質工学ではまず技術開発段階で技術の安定化をはかる(ロバスト性:耐ノイズ性の確保)。

パラメータ設計とは、製造段階の品質を安定させるには、設計段階でノイズ(誤差因子)に強い設計をすべきであるというもの。そのためには重要因子を把握して制御する必要があるとする。出力特性がノイズに影響されないように内部のパラメータ(制御因子)の値をうまく設定しようとする。

また目的機能ではなく基本機能(目的機能を実現するための自然法則)で製品を評価する。目的機能よりも基本機能のほうが単純であり扱いやすいから。

その上で製品企画。標準条件での目標値にあわせた編集設計を行い、最後に目標値に調整するチューニング設計を行う2段階を踏む。低コストで高品質な商品を早く生み出すことが可能になるとされる。

このほか品質工学の用語には、制御因子(パラメータ)、誤差因子(ノイズ)があり、入出力(入力:欲しいものの情報 出力:製品)のロバスト性を評価するというのも特徴的な表現である。

ロバスト設計(パラメータ設計)は、最終的な顧客満足(クレームの減少)を上げる目的を満たしつつ、製品開発の時間・コストの短縮化も実現する画期的な方法だとされており、内外のメーカーにすでに普及しているとされる。

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Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
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