■ 勢いこんでメニュー作り
すっかりマンネリに陥っている最近のわが家のキャンプは、食事の計画などまったくたてず、いきあたりばったり、その日、キャンプ場へ向かうクルマの中で雑に決めてスーパーに立ち寄って食材を買い、現地に向かうか、先にキャンプ地に着いて設営後に何を食べるか決め、買い物に出かけるかのどちらかだった。ひと言でいえばおざなりになっていた。
だからというわけではないが、今回は食べたものの写真を1枚も撮っていない。
9月12日(木)から15日(日)までを予定した3泊4日のキャンプでは、何年ぶりかでぼくが事前にメニューを作って臨んだ。それというのも、楽しい食担をずっと女房に奪われたままだったからである。
家では台所へさえ入らず、料理なんかまったくしたことのない亭主だけど、キャンプとなると喜々として食事作りをはじめる。なぜか、キャンプの食坦は楽しい。だから、今回の久々のキャンプを機にこの大役を取り戻そうとしたのである。
久しぶりに作ったメニューでは、買い出しの必要もあるので、食材から調味料も1枚のペーパーまとめ、プリントして持参した。
うっかりレシピのコピーを忘れてきたが、食材と調味料がわかっていれば調理の方法はあらかた察しがつく。それほど簡単な料理ばかりだった。
■ 12日 初日はいたって簡単に
>昼=コンビニ弁当
設営優先で現地に向かうクルマの中ですませた。
>夜=天丼・ご飯・餃子鍋・漬け物・総菜・味噌汁
天丼はスーパーの総菜売場でかき揚げと魚の天ぷらを買い、麺つゆで甘辛く煮てパックご飯の上にのせてつくる。これ、わが家の初日の定番化したメニューである。
そんなうしろめたさもあって今回は計画の段階で「餃子鍋」を加えた。だが、天丼があるからカロリー過多になるし、「そんなの天丼に合わないわ」という女房によってあえなく却下された。うまいのになぁ。
*餃子鍋……ダシを少々入れて沸騰させてたお湯に冷凍餃子を放り込み、細かく切ったネギと一緒に煮こみ、ポン酢で食べる。面倒なときは、最後にポン酢で煮込んでしまう。それもキャンプ流の調理法。
漬け物と総菜はスーパーで適当なできあいを買う。味噌汁はカップ味噌汁でじゅうぶん。これがうまいのである。ぼくの好みはマルコメの長ネギだけど、さほどこだわりはない。このあたりは女房の、消極的ながらなんとか同意にこぎつけた。
■ 13日 やっぱりダッチオーブンを持参したかった
>朝=餅&ブタ肉・お茶
スライスしたブタ肉で包んだ餅をホットサンド・メーカーのバウルーで焼き、ポン酢で食べる(この味を知ってから、ホットサンドを長いこと作っていないな)。ほかには前夜の残りの総菜と漬け物をつまみ、飲み物はペットボトルのお茶ですませる。季節は、まだ冷たいお茶でもいい陽気だ。
>昼=たまご納豆もりそば
人数分の納豆とたまごをボールに入れ、ふわふわになるまでよくかき混ぜる。そばは茹でたものを買っておき、沸騰したお湯にくぐらせる。キャンプ装備には各自用の大きめの器がないので、もりそばとした。
お椀に納豆と麺つゆを入れて、ザルに盛ったそばを各自でとり、混ぜながら小口切りした万能ネギを散らして食べる。絶品であった。
>夜=ミルク鍋・漬け物
奈良の明日香地方の郷土料理「明日香鍋」が原型。トリ肉を入れてダシをとり、ネギをはじめキノコなど季節の野菜と切り込みを入れたウインナーソーセージを牛乳で煮込む。本家の明日香鍋との違いは、においのきついチーズを使って味を整えることだ。チーズはクセが強いほど美味になる。最後にうどんを入れて煮込む。
ふつうの鍋で作っても問題ないが、ダッチオーブンで調理すると味に深みがでる。却下された餃子鍋も同じである。ミルク鍋は、焦げつかせないように強火にせず適度な火加減で煮込む。
これだけでは物足りないかもしれないと思い、「イカキムチ」を、そして酒の肴に「カプレーゼ」を作るつもりだったが、女房からまるで相手にされず、またしてもあえなく却下だった。たしかに、ミルク鍋だけでじゅうぶんだったし、ぼくの場合、酒の肴はサラミソーセージがあれば何もいらない。
*イカキムチ……ぶつ切りにしたイカをごま油で炒め、小切りにした白菜キムチ、タマネギと一緒にさらに炒める。最後に醤油と豆板醤で味を整える。
*カプレーゼ……オーソドックスにスライスしたトマトとモッツァレラチーズ、生バジルを交互に並べて塩、コショウを振り、オリーブ油で味つけする。
■ 14日 野外では明快な味つけがいい
撤収予定日の朝なのでスーパーでクリームパンを買っておいた。前夜のミルク鍋が残るのを想定してできあいのサラダですませる。飲み物は、ペットボトルのお茶&インスタントのカフェオレ。
コーヒーもそうだが、アウトドアでは微妙な香りや味を楽しもうなどと考えないほうがいい。つまり、本格的にネルドリップで淹れたコーヒーよりもインスタントをおいしく飲むコツを覚えたほうがいい。
■ まぼろしとなったメニューは次回に
キャンプの日程が1日切り上がったので14日の昼と夜、15日の朝の予定がまぼろしのメニューとなってしまった。実際に女房から「却下!」を食らいそうなものもあるし、積みこみの関係で準備できなかった道具もあるから計画どおりにはいかなかっただろうが、とりあえず、わくわくしながら作った計画なので記録にとどめておくことにする。
もし、予定どおり15日までキャンプができたときのメニュー計画は次のとおり。
【14日】
>朝=・雑炊(前夜のミルク鍋にパックご飯を入れる)
>昼=・越前風おろしそば(生そば/麺つゆ/大根おろし/貝割れ大根/削り節)
>夜=・炭焼きサンマ(大根おろし)
・かつ煮(かつ/麺つゆ/だし/たまご)あるいはとりの唐揚げの甘辛煮
・サラダ(市販)
・焼きなす(なす/ショウガ/カツブシ)
・カップみそ汁
【15日】
>朝=・パン(パン/ジャム)
・ウィンナーエッグ(ウィンナーソーセージ/たまご/サラダ油/塩/コショウ)
・コーヒー
秋はやっぱり炭焼きのサンマ(上の写真は数年前のもの)に尽きる。盛大に煙を上げて焼けるのも都会生活では難しくなっており、いまやキャンプならではのメニューだ。
もし、10月や11月のキャンプが実現したら、これらもそちらで流用することが可能である。その前に、また、飲み屋で、「うん、これってキャンプにいいじゃないか」なんてメニューを見つけてキャンプ流にアレンジしているかもしれない。