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Memorandum about "Metal Contamination and the Epidemic of Congenital Birth Defects in Iraqi Cities"

2012-12-04 20:55:55 | 時事ネタ(海外)
今回は小ネタ。

イラクの中部にファルージャ(Fallujah:الفلوجة‎)という都市がある。
2003年にイラクが米軍とかによる侵攻を受けた後、2004年に激しい戦闘が繰り広げられた場所である。
この件については以下参照(手抜き+宣伝)。
・『ファルージャ 2004年4月』(doi-toshikuni.net)

で、今年9月になって、その ファルージャ周辺で生まれた子ども達の健康について調査した結果が公表されたのだが・・・。
・イラク:新生児の異常急増 04年以降(2012年12月3日 毎日jp)

以前から、イラクでは何らかの異常を持った状態で生まれてくる新生児が増えてる、なんて話があったのよね。
原因については、米軍が使った劣化ウラン弾云々って言われてるが・・・。
とりあえず、2012年12月3日分 毎日jp『イラク:新生児の異常急増~』から前半・中盤部分を(略

---- 以下引用 ----
【ロンドン 小倉 孝保】
イラク中部ファルージャで米軍による激しい軍事作戦が行われた04年以降、障害児の出生割合が急激に高まっている可能性があることがわかった。
イラクや米国の研究者らが国際医療科学誌に論文を発表した。
爆弾などに含まれた毒性金属が母体を通して新生児体内に蓄積された可能性を指摘している。

 論文は「シュプリンガー」の9月16日号に米ミシガン大の環境毒素学者、サバビエアスファハニ氏やバスラ医科大のサバック講師ら6人が連名で発表した。
イラクの戦争被害については南部バスラなどで劣化ウラン弾の影響が疑われる事例が報告されているが、ファルージャでの出生異常に関する科学的報告は初めてとみられる。

 2010年にファルージャ総合病院に出産や産後治療に訪れた計56家族を対象に1991年から2010年までの20年間について、夫婦のほか双方の親や兄弟など親族も含めた出産状況を聞き取ってまとめた。

 その結果、91年から20年間に生まれた新生児は計202人。
91~00年では新生児58人のうち障害があったのは1人(1.72%)、01~03年では19人のうち2人(10.5%)だったのに対し、攻撃が激化した04~06年では33人のうち10人(30.3%)、07年以降は92人のうち50人(54.3%)に障害があった。
「04年以降」の障害児出生割合(48%)は「03年以前」(3.89%)の約12倍。
主な障害は心臓疾患、神経系疾患などだった。

また、新生児と両親の毛髪を分析した結果、障害を持つ新生児は障害のない新生児に比べ鉛含有量が5倍、水銀含有量が6倍だった。
ウラン含有量に差はなかった。
親の毛髪の鉛、水銀の含有量にも大きな差はなかった。

障害児出生割合が高まった原因として、米軍が使用した爆弾などの毒性金属が水や食料から母体を通して新生児の体内に入った可能性を指摘している。
爆弾や銃弾には、水銀や鉛などの毒性金属が含有されているという。

 ただ、ファルージャ総合病院で過去の出生記録が発見できず聞き取りで出生状況をまとめたため、過去にさかのぼるほど記憶違いが大きくなる可能性や、障害を持つ新生児の出生をより強く記憶している可能性もある。
(以下略)
---- 引用以上 ----

問題の論文ってのは、『Bulletin of Environmental Contamination and Toxicology(環境汚染と毒物学誌 紀要)』の第128号(No.128)に掲載された『Metal Contamination and the Epidemic of Congenital Birth Defects in Iraqi Cities』という題のモノ。
紀要だが査読済みのモノを掲載するので、一応内容の正確性についてはそれなりに保証されてるようだが・・・。
↓原文へのリンクあり(刺激の強い画像があるので閲覧注意)。
・Bulletin of Environmental Contamination and Toxicology(Journal No.128)(springer.com)

以下は、イタリア・パレスチナ・イラン・ファルージャにおける障害の無い新生児とファルージャにおける障害を持ってる新生児について、毛髪に含まれる水銀量の比較を行った表(Fig.3)の画面メモ。
・表(Fig.3)の画面メモ

こっちは、イタリア・イラン・ファルージャで障害の無い新生児を持つ親と ファルージャで障害を持ってる新生児を持つ親の毛髪に含まれるウラン・スズ・水銀量の比較を行った表(Fig.4)の(略
・表(Fig.4)の画面メモ

イランの親の毛髪に含まれるウラン量が多いのは何でだろうか・・・?

ともかく、この論文の〆では、今後の調査や治療だか予防策(?)についても触れていた。
以下、『Metal Contamination and~』から〆の部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
Present knowledge on the effects of prenatal exposure to metals, combined with our results, suggests that the bombardment of Al Basrah and Fallujah may have exacerbated public exposure to metals, possibly culminating in the current epidemic of birth defects.
Large-scale epidemiological studies are necessary to identify at-risk populations in Iraq.
The recognition that birth defects reported from Iraq are mainly folate-dependent offers possible treatment options to protect at-risk populations.
---- 引用以上 ----

イラクに金属汚染をもたらした原因を辿ると、米軍とかによるイラク侵攻が(略


それなのに、米軍は論文の調査結果を無視する姿勢を・・・。
以下、2012年12月3日分 毎日jp『イラク:新生児の異常急増~』から最後の〆を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
サバビエアスファハニ氏は毎日新聞に「論文は、ファルージャの人々が毒性金属に汚染され、出生異常割合が驚異的に高まっているていることを示した。障害児出生は今後も増える可能性があり広範囲な環境調査を急ぐべきだ」と述べた。
米国防総省広報担当者は「ファルージャなどで米軍の武器に含まれる金属と障害児出生増加を関連付ける公式報告はない。我々は戦闘地域での人々の健康には常に最大の関心を持っている」と話している。
(以下略)
---- 引用以上 ----

自分達が非難されるのを恐れて、障害を持ってる新生児の増加との関連を認めたくない感バリバリなんだけど(苦笑)。
つか、米軍がそれを認めるまでに、どれだけそうした子ども達が生まれてくるんだろうか・・・?


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