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ICR(Oct. 2009-Sep. 2010): shrunked operating activities, reduced total expensives

2011-02-19 20:29:26 | 捕鯨騒動
昨日、南極海における「調査捕鯨」を切り上げることを決めた「調査捕鯨」団。
その片割れである日本鯨類研究所(ICR)が、よりによって昨日の段階で2009年度(平成21年度)事業報告書(2010年9月30日〆)を公開していた。
・平成21年度 事業報告書(財務諸表含む)(2011年2月18日 ICR;保存はお早めに)

実は、2008年度(平成20年度)の事業報告書の状況を踏まえて、Greenpeace Japan はICR や共同船舶といった「調査捕鯨」団を構成してる団体の運営状況の悪化を指摘していた。
・調査捕鯨船団、早期帰港の本当の理由(2011年2月18日 Greenpeace Japan)

そして、2009年度分の事業報告書は、改めて ICR の運営状況が厳しい状況であるのを裏付ける格好となった。
つーことで、今回は、ICR の事業報告書の中で触れてある財務諸表とかを紹介する。
ただし、今回は、全部文字起こしするのも面倒なので、事業報告書の画面メモのリンクを貼っておいた。
別の理由としては、前年度の事業報告書は最新の事業報告書が出た時点で公式サイトから削除される、ってのがあるが・・・。


まずは、2009年度分賃借対照表から『資産の部』について。
・2009年度 ICR 事業報告書 P.12 賃借対照表資産の部:画面メモ

以下、2009年度分賃借対照表『資産の部』で気になった所のコメント。

・流動資産扱いの現金預金が大幅に減少(前年度比 △636,556,364 の 312,886,286)。
・副産物の収益も少額だが減少(前年度比△ 21,947,491 の 9,461,789)。
・固定資産では、その他固定資産扱いの保証金敷金が減少(前年度比△ 22,396,000 の 36,754,600)
・全体の資産合計は減少(前年度比△352,267,270 の 6,051,558,695)

現金の目減りを固定資産取り崩しでカバーできなかったことを伺わせる。


次は、2009年度分賃借対照表から『負債の部』と『正味財産の部』。
・2009年度 ICR 事業報告書 P.12 賃借対照表負債の部・正味財産の部:画面メモ

2009年度分賃借対照表から『負債の部』と『正味財産の部』で気になった点。

・流動負債は全体では減少(前年度比△ 2,120,826,727 の 3,329,687,814)。
・ただし、流動負債では1年以内返済長期借入金を新たに計上(1,920,000)。
・固定負債では、長期借入金を新たに計上(1,747,148,000)
・負債合計は全体では減少(前年度比△ 352,722,727 の 5,297,821,814)

果たして、長期借入金って何に使うつもりなんだろうか・・・?


3つ目は、2009年度分正味財産増減計算書から『一般正味財産増減の部・経常増減の部』。
・2009年度 ICR 事業報告書 P.13 正味財産増減計算書一般正味財産増減の部・経常増減の部:画面メモ

以下、2009年度分正味財産増減計算書から『一般正味財産増減の部・経常増減の部』で気になった所のコメント。

・副産物収益は何気に減少(前年度比△ 992,614,354 の 5,470,634,856)
・受取補助金も減少(前年度比△ 80,764,000 の 29,233,508)
・他会計からの繰入額消滅(△ 1,160,000,000)
・2009年度分引当金取り崩しはなし(△ 22,653,000)
・経常収益は前年度から 25%減(前年度比△ 2,244,506,444 の 6,818,797,663)

副産物収益減少だけでなく、会計のあれこれで経常収益が減少ってのも妙な話だわな。
この辺りは、企業会計に詳しい人ならわかると思うけど・・・。


4つ目は、2009年度分正味財産増減計算書から『一般正味財産増減の部・経常費用』。
・2009年度 ICR 事業報告書 P.13 正味財産増減計算書一般正味財産増減の部・経常費用:画面メモ

以下、正味財産増減計算書から『一般正味財産増減の部・経常増減の部』で気になった部分の(略

・事業費合計は一般事業費・特別事業費も減少(前年度比△ 1,292,562,485 の 6,487,821,939)
・一般事業費(調査研究・情報文化・国際活動事業費)は約41%減(前年度比△ 284,732,314 の 409,844,558)
・特別事業費は約14%減少(前年度比△ 1,007,830, の 6,077,977,381)
・管理費は約8%増加(前年度比 22,883,967 の 302,456,267)
・引当金繰入額を新たに計上(28,064,000)
・経常費用合計は約26%減(前年度比△2,409,624,108 の 6,818,342,206)

去年度から続く事業縮小の流れがここでも出てるってことか。
裏を返せば、事業縮小を図ってでも ICR を存続させたいという意思を示してるかもしれん・・・。


5つ目は、2009年度分正味財産増減計算書から『経常外増減の部』。
・2009年度 ICR 事業報告書 P.13-P14 正味財産増減計算書経常外増減の部:画面メモ

以下、2009年度分正味財産増減計算書から『経常外増減の部』で気に(略

・退職給付引当金繰入はなし
・経常外利益も費用も 0。
・一般正味財産増減額はプラスに転じた(前年度比 167,934,664 の 455,457)
・正味財産期末残高は微増(前年度比 455,457 の 753,736,881)

色んなやりくりの末に財産を増やすことができたみたいだが・・・。
事業規模縮小と預金取り崩しでどうにかしのいだ、という感は否めない。


6つ目は、2009年度から登場したキャッシュ・フロー計算書(直接法)。
・2009年度 ICR 事業報告書 P.15 キャッシュ・フロー計算書(直接法)・事業活動によるキャッシュフロー:画面メモ
・2009年度 ICR 事業報告書 P.15 キャッシュ・フロー計算書(直接法)・事業活動によるキャッシュフロー:画面メモ

以下、結果だけ書いておく。

・事業活動によるキャッシュ・フロー:▲1,249,260,994
・投資活動によるキャッシュ・フロー:▲7,295,370
・財務活動によるキャッシュ・フロー:620,000,000
・現金および現金同等物の増減額:▲636,556,364
・現金および現金同等物の期首残高:949,442,650
・現金および現金同等物の期末残高:312,886,286

事業活動は厳しい結果だったか・・・。


最後は、財産目録と財務諸表に対する注記。
・2009年度 ICR 事業報告書 P.16 財産目録・資産の部:画面メモ
・2009年度 ICR 事業報告書 P.16 財産目録・負債の部:画面メモ
・2009年度 ICR 事業報告書 P.17 財務諸表に対する注記(その1):画面メモ
・2009年度 ICR 事業報告書 P.17 財務諸表に対する注記(その2):画面メモ
・2009年度 ICR 事業報告書 P.17 財務諸表に対する注記(その2):画面メモ

何気に国債を結構持ってるのな・・・。


こうして、2009年度 ICR 事業報告書をチラ見すると、改めて「調査捕鯨」の副産物を売って資金を稼ぐという手法が厳しい状況に置かれてるのがよくわかる。
そりゃ、ICR 理事長の藤瀬 良弘氏をして「これまでのように調査の副産物の収益で調査捕鯨を賄うという計画では、基本的なムリが生じてくるだろう」という発言せざるをえないわけだわ。


もっとも、そんな ICR とか共同船舶に対して DPJ の捕鯨対策議員協議会の小平 忠正会長は「このままでは捕鯨関係団体の経営が成り立たない。政府は必要な財政支援をするべきだ」なんてのたまってるが。
・調査捕鯨 来季も継続へ(2011年2月19日 TOKYO Web)

ダメだこりゃ。


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