mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

第20回 aAg Seminar 報告(4) 全身で音と遊ぶハイパー・エフェクト

2016-06-07 07:48:52 | 日記
 
【( )は参加者の口挟み、【 】はト書き。無印は講師・fmnくんの話。】
 
★ 面白い放送大学
 
 少しこれまでの話に補足しておきますね。皆さん放送大学を聴きますか。もちろん毎日ではないけど、私は聞いて役に立てている。やはり知らないことを知るってのは大変なことで……。ただで見せてくれますから、見ています。自分の興味、日本文学や外国文学とか、宇宙はどうなっているとか、丁寧に映像が出ていて、10分みるとあとは安らかに寝付いているのもいいですね。
 
 それで、5月の放送大学で音楽の話があった。ヨナ抜きとか都節とか琉球音楽とかいろんなものを紹介していて、それを録音している。今の話と絡んでくるので、やりますね。
【機器を操作して音を出す。説明で区切りながら】
 長音階……、
(これっ、楽器は何?)
 これはシンセサイザーの音です。低いドの音と高い方のドの音。長調と短調の音律、12音階。1オクターブを12に分割した、その基準となるのがラの音。摂氏20度で440Hzとしていますが、ヨーロッパの音楽では、派手やかさを求めて443~445Hzとしている。我々ヴァイオリンは442Hzをつかっている。
(絶対音感ではわかるの?)
 わからない。ただ派手に感じられるっていうふうに、感触が変わるのでしょうね。
 
★ アナログの音源装置はどう変わってきたか
 
 レジュメをお配りしましたが、皆さんはマイクロソフトのウィンドウズいくつを使っていますか。(ウィンドウズ10よ)(おれも変えられちゃった)
 私も、いつも「NO」「NO」って入力していたんですが、気が付いたら10に変わってた。10にされちゃった。そしたら使っている途中で調子が悪くなって、放り出していたら今朝、なんか動き出したので、大急ぎで追加したのが、このプリントです
【と、あとから配った別のA4版プリントをみる】
 
 「音楽再生の歴史と将来」これをちょっと見てください。この話をします。トーマス・エジソンが蓄音機(フォノグラフ)を発明したのが1877年。円筒形の波形の記録機です。その10年後に、後にレコードを呼ばれる円盤状の録音ができるようになった。1900年ごろには、回転数が78回転のSPが普及したけど、当時は約30センチの円盤で5分くらいの録音しかできなかった。
 
 その後プレス式の量産販売ができるようになって1950年代にはステレオの時代がやってきた。LPができ、1960年ごろからカセットテープが広まっていった。レコードと違って、持ち運びができる。ウォークマンなんてのもできた。レコードに代わって普及していく。そのうち、ヘッドフォンで独りで音楽を聴くという楽しみ方が定着するようになった。
 
 ここまでが、アナログですね。この間にもう一つ進歩があって、音の増幅器・アンプが進歩した。真空管の増幅を半導体で増幅するようになった。増幅機能は真空管が間違いなく優れています。だけど高いのね。そこで半導体が使われるようになった。
 
★ デジタルの時代がアナログの音に近づく
 
 1980年頃からCD(compact disc)が登場する。音質の劣化が少ない。頭出しが容易にできる。録音時間も74分を実現した。1980年代の中ごろには持ち運びできるプレーヤーもつくられて、カセットテープの市場を奪っていった。
 
 ところがCD(の録音)はとびとびのサンプリングをとっているんですね。MDはもう少し細かいサンプリングをしている。いま使っているipodを聴くと生に聞こえる。ハイレゾって言ってますが、コンピュータのメモリーユーズが発達したので、細かければ細かいほど解像度が優れて、アナログに近くなる。デジタルの発展というのは、音の解像度のモンダイなんですね。
 
 TVも、近づいてみると、点の集まりでしょ。かなり離れて初めて画像が見える。離れないと人間の眼の解像度もあって、みえない。それがハイヴィジョンになり、4Kや8Kになって、映像としてはそのように解像度を細かくしていっている。音も同じなんですね。
 
 今の音楽ファイルには、原音をデジタル化したCDものとハイレゾ音源とがあります。ハイレゾ音源は、原音をデジタル化したものです。CDに比べてより細かくデジタル化して保存していますから、音の波形は原音に近い形を描きます。つまり、レコーディング・スタジオやコンサートホールで録音されたクオリティがほぼ忠実に再現されるというわけです。
 
★ 可聴域を超える音を人間は聴いている
 
 人間の耳は2万ヘルツまでしか聞けないんです。ところが放送大学で、驚くような話をしていました。
 
 さっき(前回「報告」の最後のところで)、葉っぱが音を感じているという話がありましたね。今月の放送大学で言っていたことですが、いま配ったやつの一番下、ハイパーソニック・エフェクトというのが、わかってきました。2000年に論文発表されて、可聴域を超える周波数をもった音が、ヒトの生理活動に影響を及ぼすという現象がある、というのですね。ハイパーソニック。つまり、ウルトラ、超ですね。ハイパーはギリシャ語に由来しています。スーパーはラテン語由来。同じ「超」という意味ですが、スーパーの上をゆくのがハイパーという使い方を今はしています。
 
 20kHz以上の「超」というのも、マッハ1とか超音速ジェット機とか、音のスピードと比べているのとは違って、可聴域を超えた音を意味します。人間には聞こえない。それが影響を及ぼす。聞こえないから、音とはみなされて来なかったんですね。だが使ってはきたんです。妊娠した人の超音波検査、我々機会屋が管の中の劣化度合いを調べるのに使ったりする超音波探勝装置とか、海の中の潜水艦がつかうソナーとか、魚群探知機とかに用いています。ではどこで聞いているのか。耳の感覚とは違う。脳機能をイメージしてもらうとたしかに聞きとっている。全身での聴き取り、肌で聞いているようです。木が音楽を葉っぱで聞くというのと同じで、身体の細胞で聞いている。それが脳活動に快感をもたらすということがわかってきた。これから注目されます。
 
★ ハイパー・エフェクトは生で肌に伝わる
 
 このハイパー・エフェクトを発揮する音は、どういうところで出ているか。楽器で言うと、インドネシアのガムラン、チェンバロ、琵琶、尺八。ヴァイオリンもそれがでている。楽器ではありませんが、熱帯雨林もそういう音を出しているそうです。
 
 ところがこのハイパー・エフェクトですが、超音波だけをとり出して聴いたのでは効果がない。楽器の演奏などのきれいな音楽を含んだところへ超音波を聞かせると、脳が、映像でいうと真っ赤になる。快感があるんだそうです。その可聴域の音だけだと何でもない。超可聴域の音と両方が合わさって、脳に影響が及んでいる。ところが、ヘッドフォンを耳に当てて、両方の可聴域の音と超音波を聞かせても、なんとも変化がない。つまり耳で聞いているのではない。身体の細胞が聴きとるという作用があって初めて、効果を発揮するというのです。
 
  音は体で聞いている。ホワイトノイズ(*)ではだめ。楽器のなかでも、ピアノは非常に発達した西洋音楽の最高峰ですが、ピアノは二万ヘルツ以上は出ない。でなくてもいい。フルートも出ない。オーケストラも出ていない。ところがインドネシアのガムランからは出ている。私は仕事の関係で3年ばかりインドネシアにいたのですが、ほんとうのガムランなんかは面白くもなんともない。ところがそれがいいんだよという(*「ホワイトノイズは広い周波数にわたって均一に近いので、擬音としては「ザー」という音に聞こえます」)。
 
 琵琶や尺八なんかも、可聴域を超えた音が出ている。
【ここで放送大学の講師の話を聞かせながら、話しをつづけます。】
 《ガムランの可聴域だけを聞かせると、脳の奥の部分の動きがおさえられました。》つまり、脳は活性化しなかった、というのです。次にガムランの高周波成分だけをやっても駄目だった。ところが、双方を同時に再生すると、脳の血流量が増えて赤くなりました。《視床下部と前頭前野に投射している活動が中脳や視床下部にも影響して、美しさや豊かさを感じることが増幅されている。生きていくうえで不可欠な脳の活動ですので、アルファ波が出ています……。》
 
 ガムランの音楽が、総合ビタミン剤のような働きをしている。基幹脳の血流に変化をもたらし、NK細胞にも刺激を与え、癌の予防になる。ストレスを受けるとアドレナリンを放出するのと同じように免疫細胞の活性化に影響を与えている。
 
★ 経験したことのないような心地よさ
 
 ガムランの音も録音してあるのですが、音だけ聞いても効果はありませんから、再生は止めておきます。私はあらためて、ガムランをインドネシアへ行ってきいてみたいと思っています。チェンバロは音に高周波が出る。熱帯雨林の音も、そういう音が出ている。この、2000年の論文は、インターネットで見られる論文のベストテンに入っている。まだ未開の領域ですが、面白いですね。
(ガムランは生演奏で、ホテルのウェルカム音楽として使われているね)
(尺八の音を聴かないと、駄目ですか)
 ハイ、みているだけではだめですね(笑)。
 
 我田引水ではありませんが、生演奏を聴いてください。今日も幸せをもたらす音を聴いていただきましたね。ヴァイオリンはそのような音が出ている。
(上手だったよ)
(耳が遠くなっても、それでも効果があるんだ。)
 そうですね、耳で聞いているわけではないから、いいんですね。
(人間の細胞が聴覚的な感覚を持っているってことですからね。もともと植物から進化してきたのですから)
 古楽器の好きなプロも多いんです。ヴィオラ・ダ・ガンバとかね。それを弾いた人の話では、経験したことのない、天国に行ったようなそんな気分を感じたと言っています。尺八なんかも、いいんじゃないですか。
 
★ 加齢とハイパー・エフェクトと怖い未来
 
(アンダー16には聞こえて、年寄りには聞こえなくなるってどういうこと?)
(音を受け取る耳の絨毛が震えて聴きとっているけど、それが倒れて起きなくなっている。その倒れた絨毛の領域の音がいつも鳴っている状態ですね。だからいつも、耳鳴りがする。セミが鳴く。加齢ですよ。)
 私は高音が聞こえないと言われると心外でね。いつも聞こえている。こう、しーんと。
(プリントの中の「豊かな時間的変化構造をもつ」ってどういう意味?)
 時間とともに変化する音。可聴域の中に納まって、ハーモニーとかメロディとかリズムがいいとかまずいとかというのではなく、雑多な音をふくめて時間とともに流れていく様々な周波数の音ってことです。自然音に近い。
(そういう高周波の音って、録音技術が進歩して行っても音域をカバーできないの?)
(製品化する意味がないと考えてきたからですよ。ヒトに聞こえない領域をつくっても売れない。技術的に不可能というのではなくて……)
 売れれば作れるんですよ。たぶん十年二十年後には、売り出されると思いますよ。
(そんなに時間はかからないよ。だって、去年7月に自動運転の話をしてもらったばかりなのに、もう今年は走りはじめているんだもの。むしろ、政治家が演説をしながら超音波を出してみたら、聴いている人がみんな心服していい気持になってくれるっていうと、すぐに商品化してくれってことになりますよ)
 おそろしいことになりますね(笑)。

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