樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

川の木と鳥

2013年12月19日 | 木と鳥・動物
1カ月ほど前、野鳥の会と国交省が合同で京都の河川を巡視しました。目的は、洪水対策として河川に繁茂する樹木を伐採する際、できるかぎり野鳥などの生物多様性を維持するため、どの程度残すべきかを検討すること。
もともと9月下旬に予定されていましたが、9月16日の台風18号で京都府内に大きな被害が発生し、特に桂川流域は嵐山をはじめ大規模な水害に遭ったため2カ月延期されました。
桂川で4地点、宇治川で4地点、木津川で2地点の伐採予定地をマイクロバスで巡視し、国交省の説明を聞きました。
桂川には洪水の爪痕があちこちに残っていました。写真は橋の上から撮った中州の樹木。下流に向ってなぎ倒されています。



国交省も、以前は3面コンクリートの機能一点張りの河川改修をしていましたが、最近は自然環境に配慮せざるを得なくなったようで、環境保護団体の声を聞く姿勢を示してくれています。
流域住民からは地方議会の議員や国会議員を通じて、「樹木を全部伐採してほしい」という圧力がかかっているようです。
国交省としては、流量確保のためには皆伐が望ましいものの、生物多様性確保のために少し残したいというスタンス。一方、私たちは野鳥の営巣や繁殖、採餌、隠れ場所としてできるだけ多くの樹木を残してほしいというスタンスです。


皆伐するとこういう殺風景なことになります

私は「樹木だけでなく藪も残すべき」と主張しました。ホオジロ、アオジ、ウグイス、ベニマシコなど、河川では樹よりも藪を利用する鳥が多いからです。
流域住民にすれば「生物多様性より洪水対策」でしょうが、国交省の技術者は「ある程度樹木を残しても必要な流量は確保できる」と言っています。流れに沿って縦半分を残すとか、伐採エリアと非伐採エリアを交互にすること(つまり虎刈り)は可能とのこと。
来年、国交省から具体的なデータを提出してもらい、再度意見交換を行うことになりました。
宇治川では私がいつも鳥を見ながら歩いているあたりも伐採予定地になっていました。できるだけ多くの樹木と藪が残るように意見を述べるつもりです。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2013-12-20 06:30:26
おはようございます
こうした問題は、もし自分がそこに住んでいたらどう思うだろうと考えてみることがあります。
私も基本は可能な限り自然に近い状態で残してほしいですが、もし、、川の真横に住んでいれば、自分が住んでいる間にそんなことは起こらないと考えようとする、かな。
少しでも多くいい状態で残る場所があるといいですね。
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もともと (fagus06)
2013-12-20 06:44:18
「河畔林」という言葉もありますし、カワヤナギとかカワラハンノキという樹木があるように、川の流れに沿って樹木があったわけですから、皆伐状態が自然ではないはずです。
私も以前は宇治川のすぐ横に住んでいたので、流域住民の気持は推測できますが、樹木が全くないような川は魅力がないと思います。
野鳥の会も「全て残してほしい」と言っているわけではなく、可能な限り残してほしいという立場です。
来年また意見交換会に出席してきます。
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