環境活動が企業の大きな評価ポイントになり、“地球にやさしい会社”でないと物やサービスが売れない時代になりました。それ自体は歓迎すべきですが、中には表面だけ“地球にやさしい会社”を装う企業もあります。そういう偽装行為を「グリーンウォッシュ」と呼ぶそうです。緑の活動で汚れた部分を洗い流すという意味らしいです。
環境系のポータルサイトを見ると、毎日のように企業の植樹活動が報告されていますが、そのほとんどがグリーンウォッシュではないかと私は疑っています。「環境活動=植樹」という発想が安易ですし、植樹した苗木の8割は枯れるかシカに食べられて残らず、実施した方の自己満足だけが残るという空しい活動です。
セキスイハウスが顧客の家の庭に5種類の樹木を植える「5本の樹」運動を展開しています。私はこれもグリーンウォッシュだろうと思っていました。でも、失礼な誤解でした。
セキスイハウスはJR大阪駅から徒歩10分の超一等地に8,000㎡の緑地を確保し、「新里山」と名づけて多様な樹木や植物を植え、田んぼで稲を作り、畑で野菜を育てています。それを実際に見て、「この会社は本気だな」と思いました。
隣のビルから見た「新里山」。左下の人物から大きさを想像してください
東京の六本木ヒルズの屋上にも似たような緑地があるようですが、屋上緑化はデッドスペースの有効利用。平地の場合はビルを建てるなど他の経済的な収益を捨てて緑地化するわけですから、企業としての覚悟が違うでしょう。
田んぼでは稲が、畑ではトウモロコシやトマトが育っていました
しかも、植えてあるのは公園によくある樹ではなく、イヌシデ、ハイノキ、シロダモ、ツリバナなど、言わばマニアックな樹。サクラもソメイヨシノではなく、ヤマザクラやウワミズザクラを植えています。樹の選び方で本気度が伝わってきました。
都会では見ることのないイヌシデ
顧客の庭に植える「5本の樹」も在来種に絞り、日本を5つのエリアに分けてそこに自生する樹種のリストを作成しています。鳥や昆虫など日本本来の生物多様性を生かすために、一般的に人気の高いアメリカハナミズキなど外来種を排除しているのです。「5本の樹」のキャッチフレーズは、「3本は鳥のために、2本は蝶のために」。自然の好きな人には効果的な殺し文句ですね。
トンボやカエル、メダカが生息する水辺
しかも、樹にはQRコードをプリントした名札が掛けられ、携帯を通じて樹木の情報やその樹に集まる鳥の声を聴くことができます。こういうディテールまで徹底できたのは、アドバイザーに恵まれたからでしょう。
このプロジェクトを担当した社員の中学校の先輩が写真家の今森光彦氏。世界的な生物写真家であり、滋賀県の私有地を里山として守っているナチュラリストでもあります。
もう一人のアドバイザーは、日本野鳥の会の元職員でNHKラジオの「夏休み子ども電話科学相談」に出演していた藤本和典氏。樹木と鳥の関係の専門家です。たまたま親戚がセキスイハウスの社員だったことからつながりができたようです。
巣箱もかけてありました
企業がやることですから最終的には環境よりも商売が優先するでしょうが、いいかげんなグリーンウォッシュが多い中、セキスイハウスの「新里山」と「5本の樹」は好感度が高いです。私の家はミサワホームですが、このことをもっと早く知っていたらセキスイハウスにしたのにな~(笑)。
同じ敷地の隣に聳えるのはセキスイ所有の梅田スカイタワー
JR大阪駅周辺では大規模な再開発が進行中で、サッカースタジアムを造るとか、地下に北陸新幹線の駅を設けるなどの構想があるようですが、もしそうなったとしてもこの「新里山」は継続して欲しいものです。
「5本の樹」のウェブサイトはこちら
「新里山」のウェブサイトはこちら
環境系のポータルサイトを見ると、毎日のように企業の植樹活動が報告されていますが、そのほとんどがグリーンウォッシュではないかと私は疑っています。「環境活動=植樹」という発想が安易ですし、植樹した苗木の8割は枯れるかシカに食べられて残らず、実施した方の自己満足だけが残るという空しい活動です。
セキスイハウスが顧客の家の庭に5種類の樹木を植える「5本の樹」運動を展開しています。私はこれもグリーンウォッシュだろうと思っていました。でも、失礼な誤解でした。
セキスイハウスはJR大阪駅から徒歩10分の超一等地に8,000㎡の緑地を確保し、「新里山」と名づけて多様な樹木や植物を植え、田んぼで稲を作り、畑で野菜を育てています。それを実際に見て、「この会社は本気だな」と思いました。
隣のビルから見た「新里山」。左下の人物から大きさを想像してください
東京の六本木ヒルズの屋上にも似たような緑地があるようですが、屋上緑化はデッドスペースの有効利用。平地の場合はビルを建てるなど他の経済的な収益を捨てて緑地化するわけですから、企業としての覚悟が違うでしょう。
田んぼでは稲が、畑ではトウモロコシやトマトが育っていました
しかも、植えてあるのは公園によくある樹ではなく、イヌシデ、ハイノキ、シロダモ、ツリバナなど、言わばマニアックな樹。サクラもソメイヨシノではなく、ヤマザクラやウワミズザクラを植えています。樹の選び方で本気度が伝わってきました。
都会では見ることのないイヌシデ
顧客の庭に植える「5本の樹」も在来種に絞り、日本を5つのエリアに分けてそこに自生する樹種のリストを作成しています。鳥や昆虫など日本本来の生物多様性を生かすために、一般的に人気の高いアメリカハナミズキなど外来種を排除しているのです。「5本の樹」のキャッチフレーズは、「3本は鳥のために、2本は蝶のために」。自然の好きな人には効果的な殺し文句ですね。
トンボやカエル、メダカが生息する水辺
しかも、樹にはQRコードをプリントした名札が掛けられ、携帯を通じて樹木の情報やその樹に集まる鳥の声を聴くことができます。こういうディテールまで徹底できたのは、アドバイザーに恵まれたからでしょう。
このプロジェクトを担当した社員の中学校の先輩が写真家の今森光彦氏。世界的な生物写真家であり、滋賀県の私有地を里山として守っているナチュラリストでもあります。
もう一人のアドバイザーは、日本野鳥の会の元職員でNHKラジオの「夏休み子ども電話科学相談」に出演していた藤本和典氏。樹木と鳥の関係の専門家です。たまたま親戚がセキスイハウスの社員だったことからつながりができたようです。
巣箱もかけてありました
企業がやることですから最終的には環境よりも商売が優先するでしょうが、いいかげんなグリーンウォッシュが多い中、セキスイハウスの「新里山」と「5本の樹」は好感度が高いです。私の家はミサワホームですが、このことをもっと早く知っていたらセキスイハウスにしたのにな~(笑)。
同じ敷地の隣に聳えるのはセキスイ所有の梅田スカイタワー
JR大阪駅周辺では大規模な再開発が進行中で、サッカースタジアムを造るとか、地下に北陸新幹線の駅を設けるなどの構想があるようですが、もしそうなったとしてもこの「新里山」は継続して欲しいものです。
「5本の樹」のウェブサイトはこちら
「新里山」のウェブサイトはこちら
これはほんとに本気ですね。
その地域に自生する植物、在来の生物に目を向けることが大切だと思いますが
それを実行しているところに私も本気を感じました。
都心から近い場所にこうした空間を作るというのもいいですね。
大阪に行くことがあれば行ってみたいです。
イヌシデは昨年、千葉に行った際に公園で見ました。
樹皮が独特で面白い木だと思いました。
ヤマシギもリストアップされているので、「ホンマかいな、誰が同定しているんだろう」と疑問になりましたが、bulbulさんはヤマシギを大阪市内で見られたんですね。
この緑地の反対側にも小さな森を作っていて、緑の多いビルだな~と思っていましたが、裏側にもっとたくさんの緑があったわけです。
このプロジェクトを担当した社員は、ギタバさんや私のように樹木大好き人間で、プロジェクトが軌道に乗った後、退社して、現在は木工職人を目指して修行中だそうです。ドラマがあるでしょう?
丸木舟の記事でこちらを知り、その後毎回大変楽しみに拝見しています。
今回こちらの記事がとても参考になり、私のブログや、私が参加している小田原市の環境シティプロジェクトのメンバーに紹介させて頂きました。
事後承諾で申し訳ありませんが、リンクさせて頂きましたのでよろしくお願いいたします。
私も木が大好きです。何時も感心しながら読んでいます。
メンバーにご紹介いただいたり、リンクしていただいたり、こちらとしましては大変ありがたいことです。
そちらのブログも少し見せていただきました。植物、動物、樹木や鳥など幅広い領域の記事を書いておられますね。私もこれから毎回見せていただきます。
今後ともよろしくお願いします。