善きサマリア人化計画 I wanna be Anpanman.

救命処置普及や災害救援活動、バス釣り、バイクツーリングや日々の徒然などの日記で~す。(@満州ぎょうざ)

昨日の事故

2009年10月19日 19時05分07秒 | 救命普及・災害活動記
「18日午後4時ごろ、北浦に面した茨城県潮来市釜谷のドックで、釣り大会に参加していた自営業、Aさん(42)=横浜市=が水中に転落した。

 転落に気付いた釣り大会参加者たちが魚群探知機で捜索を始め、いかりを使って引き上げたが、Aさんは約2時間後に死亡が確認された。

 県警行方署によると、Aさんは大会終了後、1人でボートの後片付けをしていて転落した。同署は事故とみて原因を調べている。」

抽出元:産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/091018/dst0910182237009-n1.htm


昨日参加した大会の終了後、こんな痛ましい事故が起こりました。
私はAさんを直接には知りませんでした。

大会が無事に終了し、たまたまドックそばの駐艇場所でボートを片付けている時でした。
桟橋からの落水者がいるようだとの騒ぎを聞きつけて大急ぎでドックの桟橋に向かいました。

そこでは10名程度の人たちが2艇のボートを使用しながら既に捜索活動を行っていました。
瀬戸さんに至っては、身の危険を顧みず素潜りで捜索まで始めておりました。

ふと思うと、3D魚探を付けた弟のボートがまだ戻っていないことに気付きました。そして弟に電話して、すぐにマリーナに戻るように頼みました。
落水した場所は10メートル四方のエリアだったようですが、誰も落水した瞬間を目撃していませんでした。
程なくして戻ってきた弟のボートに乗り込んで、サイドイメージの3D魚探を掛けたところ、すぐに沈んでいる人影を発見できました。
そして桟橋の上から捜索をしてくれていた人たちが、瞬時にその場所に沈んでいた人を救いあげました。
その時すでに落水から2~30分以上経過していたと思われます。

我々もすぐに上陸し、兄弟でCPRを実施。完全に生体反応が無い状態での救出ですので直ちにCPRを行いました。

私は心臓マッサージを担当し、弟のヤスは人工呼吸を担当。
その時は無我夢中でしたが、CPR中に要救助者が一瞬、口内に詰まった物を吐き出した瞬間には正直怯みました。それでもヤスは人工呼吸を続けてくれて、途中から別の人も人工呼吸に加わってくれました。想像を絶する凄惨な光景でした。
それでも必ず助けたいし、救急隊に引き継ぐまでは絶対に諦めない、とCPRを続けました。

CPRを開始して20分ほどでしょうか、ようやく消防隊が駆け付けてくれてCPRを引き継ぎました。

引き継いだ後も、自分の手が小刻みに震えてるのがわかりました。想像をはるかに超えた凄惨な光景が、深く脳裏に刻まれました。

いつか何かの役に立てばいいと、阪神大震災の救援ボランティアから帰京した直後に東京消防庁の上級救命講習の認定を受けました。去年、久々に上級救命講習を再受講しました。15年前とは大分やり方が変わってきておりました。そして今年の4月にも救命講習の講義を受けたばかりでした。
ヤスも数年前に上級救命の認定を受けていたので、自然に救命活動に加わりました。

でも結局は助けることはできませんでした。悔しくてたまらないのが正直な気持ちです。

亡くなられた方のご家族には心よりお悔やみを申し上げます。
朝には元気で出かけて行ったご主人が、突然に居なくなる現実。家族のためにも助かってほしかった。ほんとに悔しくて涙が出ます。

また、当日桟橋で捜索活動にあたってくれた人達、救急車の誘導やCPRのサポートをしてくれた人達などなど、その場にいた全員が傍観者ではなく率先して動いてくれたことが、ものすごく心強かったです。
また、放心状態の私を見かねて気遣ってくれた皆さん、本当にありがとうございました。

もう二度とこのような事故が起きないように、心から願うばかりです。

そして亡くなられた方のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

合掌

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 気が変になりそう | トップ | 亡くなられた方の死を無駄に... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (K2)
2009-10-19 19:42:08
昨日は、いろいろとお疲れ様&ご苦労様でした。あの時のお兄さんとヤスさんの迅速な処置はとてもすばらしかったです。自分の何もできなさには、はがゆい思いがあります。せめて自分のできる精一杯が、救急車の誘導ぐらいでした。なさけない。
帰りの道中では、家族の方(特に小さなお子様たち)とのことを思うと自然と涙が出ていました。
釣りの方でも役立たずでしたが、懲りずに乗せて下さいね。
本当にお疲れ様でした。
返信する
K2さま (ぎょうざ)
2009-10-19 22:54:17
お疲れ様でした。
釣果もサイヤクでしたが、あんな事故が起こるとは残念でなりません。

あの時に現場にいた全員が心に深い傷を負ってしまったことでしょう。

そのことも気がかりです。

ホントにありがとうございました。
返信する

コメントを投稿

救命普及・災害活動記」カテゴリの最新記事