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英英思考を制するものは英語を制す。英英辞典とネイティブ向け読み物への早期移行が異次元の高速学習を可能にした。

本日の五文型クイズ(19)解説編

2010年06月08日 | 本日の五文型クイズ
主語Sは青、動詞Vは赤、目的語Oは黄色、補語Cは銀色で色分けすると以下のようになります。

①In reality, while imposing other sanctions, the South wants the Kaesong Industrial Zone — just across the border in the North, home to more than 120 South Korean companies employing more than 43,000 North Korean workers and accounting for more than half of all inter-Korean trade — to remain in business.

Both realpolitik and economic reality make caution imperative for South Korea.(ここでmakeは使役動詞)

③According to North Korean defectors in Seoul, Pyongyang has already instructed its people to prepare for "combat."

出典は、韓国海軍哨戒艦「天安」の撃沈の背景と今後の朝鮮半島の動向について論じたTIME誌のTension in the Koreas: That Sinking Feelingです。
 ①~③のいずれも、主語、動詞、目的語、補語を持つSVOC構造の第5文型になっています。
 文法書によって、第5文型は「O=Cになる」という説と、「OC間で主述関係が成立する」という説のふたつがある現状で、当ブログにおいては後者の「OC間で主述関係が成立する」という説を採用しています。 
 古典的名著と目される「英文法解説」(江川泰一郎著)改訂三版の331頁には、「『S+V+O+不定詞』の構文を8品詞5文型の学習文法の枠内で処理することは不可能なので,本書の旧版においても各動詞の意味と統語的な特徴に基づく分類を試みたが、さらに検討を加えて分類をしてみた。」という記載がありました。「英文法解説」は「第5文型O=C説」のようです。 
 しかし第5文型のOCを主述とみなせば、「S+V+O+不定詞」の構文はまぎれもない第5文型で、こうすれば第5文型の守備範囲が飛躍的に広がります。最近はそのように解説している本もいくつか出ていて、一例を挙げますとシグマベスト「入試英文法問題特講」(西きょうじ著、2004年第一刷発行)が第五文型に関して「この形は基本的にOC部分でひとつの意味のかたまりを形成しており,OC部分に主語+述語の関係があるといってよい」というシンプルな説明に加えて、例文が網羅的に示されていました。
 「英文法解説」(江川泰一郎著)改訂三版の193頁には「つまり第5文型の文には第2文型の文が組み込まれており,組み込みにあたっては第2文型のbe動詞が削除されたと考える。」とされています。しかし第5文型のOCを主述とみなせば、第1~第5まですべての文型を組み込めるのが第5文型です。
 上記の①と②は目的語以下に第2文型が組み込まれた第5文型、③は目的語以下に第1文型が組み込まれた第5文型です。五文型分類に関する当ブログ運営者の考え方につきましては、本日の五文型クイズ(12)解説編をご参照頂ければ幸いです。
 文法はしょせん実用の道具で、使いやすい文法が主流になるのが望ましいと思います。大量の分類不能文を出してしまう旧来の「第5文型O=C説」よりは、「第5文型のOCは主述になり、第1~第5まですべての文型を組み込めるのが第5文型」という視点に立った方がはるかに使い勝手のよい五文型分類になります。

(第1文型を組み込んだ第5文型の例) I made her laugh.

(第2文型を組み込んだ第5文型の例) We call him Hide.

(第3文型を組み込んだ第5文型の例) I want you to study English.

(第4文型を組み込んだ第5文型の例) Supreme Court Justice Anthony M. Kennedy wants the teen-agers of America to give this question some serious thought.
出典はTIMEFORKIDS January 28, 2002 Talking About Freedom

(第5文型を組み込んだ第5文型の例) I want you to make workers work hard.

 第1文型~第4文型は主語が文末まで行為もしくは状態の主体であるのに対して、第5文型は目的語が第二の主語に転換しOC間での主述関係が成立する特異な文型でありながらも英語では多用されるため、第5文型をしっかり理解すれば英文理解の精度が大幅に高くなります。
 前述の西きょうじ氏は代々木ゼミナールの看板講師です。元駿台予備校講師の故伊藤和夫氏、山口俊治氏の著書にも、第5文型ではOC間に主述関係がある旨、明記されています。けっして権威主義的な五文型談義をするつもりはありませんけれども、「第5文型ではOC間に主述関係が成立する」と考えることによりパターンで理解できる英文が大幅に増えるため、五文型分類は真価を発揮します。
 いまだに「第5文型ではO=C」という不便な解説がなくならないのは、第5文型は本質的に二重主語の構文で、「象は鼻が長い」とやや似た主語の不明瞭性を帯びているからであろうと私は想像しています。ただ、「目的語が第二の主語に転換するSVO(S')Cの構文」と考えれば、第5文型は難しくありません。英語を学ぶ際には、単語も文法も英語の発想で理解していく方がはるかに進歩が早いと思います。
コメント
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