美術の旅人 Voyageur sur l'art  

「美術」との多様な出会い。見たこと、感じたこと、思ったこと。

岡本太郎と生涯のパフォーマンス

2011-04-12 14:04:37 | 私が作家・芸術家・芸人

日本の抽象芸術運動の代表者、今年で生誕100年を迎える岡本太郎は、鋭い先見者としての目を持っていた。戦後帰国した彼が見たのは明治以降、西洋では写実主義への反省的な流れがあるにも関わらず、それを模範に魂なきアカデミズムを形成している極東日本のおかしな芸術界の姿であった。東北旅行で写した写真に如実に表れている批評家としての慧眼は、縄文土器という格好の道具を得てそこに切り込んでいく。しかし、彼が残した絵は強いメッセージ性、エネルギーを持っているものの、意図が勝ちすぎて、心を惹いてやまないような不可思議な魅力があるかというと、自分にはそうとは思えない。岡本一平を父に持ち、かの子を母に持った岡本太郎は、あらかじめキャラ立ちした存在だった。そのことの運命的な不幸が初めからあったかのように思える。「名前なんかどうでもいいのだ」といえるのは「岡本太郎」だから言える言葉だった。晩年の岡本太郎は、名プロデューサー岡本敏子の巧みな作・演出で、強烈な前衛芸術家岡本太郎を演じ続けた存在だったように思える。発見し評価する優れて批評的な視点は持っていたが、ピカソのような聖なる野蛮人にはなれなかった。彼が残した卓抜な語録は、そうした意味で一つひとつ反語のように聞こえる。


(タモリとの対談、youtubeでごらんください。リリパット国に来たガリバー、巨人と道化、最高のパフォーマンス!)



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