衆議院選挙2005 ブログ選挙ポータル
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2005年09月15日  |  お知らせ
 

「衆議院選挙2005 ブログ選挙ポータル」ご利用ありがとうございました

2005年8月16日からスタートした「衆議院選挙2005 ブログ選挙ポータル」(公示前は「緊急ブログアンケート!!」)は、選挙戦終了にともない、9月16日(金)午後6時をもちましてトラックバック・コメントの受け付けを停止させていただきます。記事はしばらくの間、公開します。

初めての試みでしたが、多くの方に閲覧およびトラックバック・コメントを頂き、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

今後ともgooニュースとgooブログの取り組みにご注目ください。

(gooニュース×gooブログ スタッフ一同)

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2005年09月14日  |  特別寄稿:佐々木俊尚
 

佐々木俊尚 特別寄稿!『ブログは選挙に影響を与えたか (下)』

■壁となった公職選挙法

 なぜか。公職選挙法によって、候補者の側が意図的にインターネットにコミットすることを避けてしまったからだ。公選法は146条で選挙期間中の文書図画の頒布・掲示を禁じており、総務省は「公選法はインターネットを想定していないが、公示後のブログやウェブの更新は146条に抵触する」という判断を示している。この結果、ご存じのように、ほとんどの候補者は公示後はブログやウェブサイトの更新をやめてしまった。ブログの更新という低いレベルの行為でさえ、この状況である。アメリカや韓国のような、ネットでの選挙活動などいまの法律下ではあり得ない。公選法を改正しない限り、候補者が積極的にネットの世界に入り、その中で人々と対話していくことは不可能なのである。

 もちろん、そうした動きがまったくゼロだったわけではない。公示前、ブログを作って意見発信を行った候補者は少なくなかったし、自民党はブロガーを対象にした懇談会を開催し、意見交換を行っている。しかし付け焼き刃の政治家の「ネット化」では、しょせんはダイナミズムを生み出すほどの動きにはならなかった。これらの動きは、「世の中にブログというものが存在する」という認識を永田町にもたらした程度の影響しか与えなかったのである。

■ネット世論が後押しした「加藤の乱」

 過去を振り返ってみれば、たぶん政治家の中でもっともインターネットの世界に積極的にコミットし、そのパワーを採り入れようと試みたのは、加藤紘一元官房長官だろう。加藤氏は2000年、野党の森内閣不信任案に賛成票を投じようと「加藤の乱」を起こした。加藤の乱は結果的には自民党主流派の切り崩しにあって、あえなく潰走してしまう。しかしこの時期に加藤氏が開いていたホームページには、3週間で100万件を越える爆発的なアクセスがあり、「加藤さん、がんばって」「森に負けるな」といった激励が大量に書き込まれたのである。1日に3000通以上のメールが届いた日もあったというから驚かされる。そして加藤氏はこうしたネットの世論に押され、森内閣に勝負を挑み、しかし最終的には永田町の論理に阻まれて敗れ去った。

 この時のマスコミの論調には「実態のないネットの意見に呑み込まれて、世論が自分を支持していると勘違いしてしまった」と加藤氏を批判する声が少なくなかった。だがいまになって振り返ってみれば、この加藤の乱で衝突したのは<ネットの世論>と<永田町の論理>であって、<ネットの世論>と<リアルな世論>の衝突ではなかったのではないだろうか。そもそもマスメディアで発言した有識者たちは、どうして<リアルな世論>が<ネットの世論>と乖離していると考えてしまったのだろう?

■世論はどこにある?

 ネットユーザーは、自分たちの世論が<リアルな世論>とかけ離れているとは考えていない。自分たちの<ネットの世論>が圧倒的なマスであり、リアルな世論とイコールであると考えている。リアルな世論と乖離しているのは、<マスメディアの誘導する世論>や<永田町の論理>の方ではないか――というのが、ネットで意見を発信している多くの人たちの考えではないだろうか。このあたりのさまざまな<世論><論理>の衝突がここ数年ひんぱんに起きており、それが「世論って本当はどこにあるんだ?」という議論にもなっている。

 日経ビジネス誌は投開票直前に作られた号で、ネット世論と選挙との関係について、こんなふうに書いている。

 ネット世論が実際の選挙結果にどの程度影響を及ぼすかは、未知数だ。2004年の参議院選挙でもネット世論は盛り上がった。だがその内容は実際の投票結果と乖離していた。「2ちゃんねるなどに頻繁に意見を書き込む人々は、もともと反民主党の傾向が強い。今回の選挙は新聞やテレビが早くから自民優勢を予見したため、彼らにとって(民主党たたきの書き込みが)絶好の遊び場となった」と北田(暁大・東大大学院)助教授は分析する。

 政治談義が好きな2ちゃんねらーたちは自民党に投票する可能性が高いが、特定の人が複数の名前で書き込んでいるためネット世論は実際より大きく見える。「選挙権を持たない若年層の書き込みも少なくない」(若者の社会文化を研究する国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの鈴木謙介研究員)ため、ネット世論は投票結果に直結しにくいのだ。
 結果的には、日経ビジネス誌のこの読みは誤った。小泉支持のネット世論と、リアルな世論がほぼ合致したのである。これが単なる偶然なのか、あるいはネット世論にリアル世論が追いついたということなのか、それともネット世論がリアル世論に影響を与えた結果なのかは、今のところ検証しようがない。しかしもし仮に次の総選挙、あるいは次の参院選で公選法が改正され、インターネットの選挙運動が本格解禁される事態ともなれば、ネットとリアルのからみあいの本質がついに浮かび上がってくる日がやってくるかもしれない。

■ブログに見る新たな可能性

 ブログは確かに、一次情報をマスメディアに頼り、さらにはセグメント化され、分断された集団に対してしか意見を発信できないかもしれない。しかしブログによって政治に対する意見が交換されていくことによって、旧来の有識者の論壇の枠組みを超えた、あらたなネット上の「論壇」が形成されていく可能性をはらんでいる。新たなパワーの出現である。

 そしてこうした論壇で交わされた意見は、トラックバックやコメントによって凄まじい速度でネット上を波及していく。その増幅器(アンプリファイアー)としての機能は従来のメディアにはないものだ。将来的にネットの世論がリアルな世論と結びつくことになっていけば、このアンプリファイアー機能は破壊的な能力を持つことになるだろう。それがいい方に転ぶのか、それとも悪い方に転ぶのかはまだわからないが――。

(2005年9月14日)

■ PROFILE

佐々木俊尚
(ささき としなお)
1961年生まれ。毎日新聞社で支局、本社社会部を経験。海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材。1999年10月アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。

佐々木俊尚の「ITジャーナル」
http://blog.goo.ne.jp/hwj-sasaki/

(gooニュース)

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2005年09月14日  |  特別寄稿:佐々木俊尚
 

佐々木俊尚 特別寄稿!『ブログは選挙に影響を与えたか (上)』

衆議院選挙は11日に投・開票され、自民党が296議席を獲得しました。激動の総選挙をブログの視点から伝えてきた「衆議院選挙2005 ブログ選挙ポータル」。最後に、投票日前の選挙期間中にも今回の「ブログ選挙」を展望した佐々木俊尚氏に、もう一度寄稿していただき、今回の選挙結果にブログやネットは影響を与えたのか、あらためて検証します。


「ブログは選挙に影響を与えたか」
特別寄稿 by 佐々木俊尚(フリージャーナリスト)


 総選挙は、自民党の地滑り的圧勝に終わった。果たしてこの圧勝に、インターネット世論の影響はあったのだろうか。今回の選挙は、ネットの世界では「ブログ選挙」とも呼ばれた。ブログで語られたさまざまな言論や意見は、何らかの世論を生み出したのか。そしてそうしたインターネットの世論は、リアルワールドの選挙結果に何らかの影響を与えたのか――その動向に多くの人が注目したのである。

 結論から言えば、インターネット世論のリアル世論への影響力は、目に見えるかたちでは現れてこなかった。

■自民支持した無党派層

 もちろん、「浮動票」「無党派層」と言われる有権者たちがこぞって自民党に票を投じ、それが同党の圧勝という結果になったのは明らかだ。投票率は小選挙区で67%を突破し、前回2003年の衆院選と比べて7ポイント以上アップした。その小泉改革路線は、必ずしも都市部の支持を集めたというだけではなかった。投票率は全国津々浦々で6~10ポイントもアップしているのだ。読売新聞の出口調査によれば、これらの無党派層は投票者全体の19%を占めていて、うち自民党に票を入れた人が32%、民主党が38%だったという。「なんだ、民主党の方が多いじゃないか」と思う人もいるだろう。しかし前回2003年の衆院選では、無党派層のうち自民党に入れたのは21%、民主党は56%だったのである。今回の選挙で自民党は11ポイントも上昇し、民主党は逆に18ポイントも下落したのだ。

 数字に現れてきているこれらの傾向をわかりやすく単純化してしまえば、こういうことだだろう――これまで何となく「反自民」で来て、選挙であまり積極的には投票していなかった人が、今回は小泉改革を熱烈に支持し、民主党から気持ちを離反させただけでなく、さらには積極的に投票所にまで足を運んで、自民党に票を投じた。

■検証できないネット世論の影響

 こうした典型的な無党派層が主にどのぐらいの年齢で、どの程度の年収を持ち、どのあたりに住んでいるのかという分析は、マスメディアの報道を見る限りでは、まだはっきりとは行われていない。「無党派層の多くの部分は20代から30代の若者ではないか」という識者の指摘は少なくないが、それを証明するデータはない。

 同様に、こうした無党派層が投票する際、インターネット上のさまざまな意見に影響を受けたのかどうかについても、それを明確に証明するすべはない。確かにネット上では「小泉改革を支持すべきだ」「郵政民営化反対派を落選させろ」といった意見が目立ったし、選挙結果もそれらの意見の通りになったのだが、しかしそれをもってして「ネットの世論が投票に影響を与えた」と断言するのはあまりにも拙速すぎる。

 結局のところ、ネット世論とリアル世論のからみぐあいが今回の選挙では、あまり明確にはならなかったのである。しかしまあ冷静に考えてみれば、いくらネット上で総選挙についての意見交換が盛り上がったとしても、それはしょせん「ネットの世界の中のできごと」に過ぎないわけで、リアルとの関係性がはっきりしないのは、最初から予想されたことだったのだ。

■分断されたブロゴスフィア

 もちろん、背景事情としてはいくつか指摘できる。日本のブログは相変わらず趣味的な内容や身辺雑記などが主流で、政治的な意見を発信するブログ文化はまだあまり醸成されていない。総務省は今春にブログ利用者の数が335万人に達していたという統計を発表しているが、ブログはそのメディアの特性上、テレビなどのマスメディアとは違ってセグメントがきわめて細かく分けられている。趣味のブログを読んでいる人は、あまり政治的なブログを読まないし、その逆も考えられる。同じブロゴスフィア(ブログ世界)といっても、ブログの内容によってブロガーたちは細かく分断されてしまっている可能性がある。だから政治的な意見を書くブログは存在としては目立つけれども、全体のブログ母集団の中では少数派でしかないのではないか。

 しかしもっと大きな要因がある。それはネットの世論とリアルの世論がからみあう「場所」が存在しなかったということだ。

■リアルムーブメント起きず

 このgooの総選挙特集で、私は投票日前の9月4日、『日本で「ブログ世論」は生まれるか』という記事を書いた。この中で海外の事例として、韓国とアメリカのケースを挙げた。韓国では2002年の大統領選挙の際、オーマイニュースを核にして「ノサモ」と呼ばれる盧武鉉応援団が出現し、選挙運動をネット上で展開して大きな注目を集めた。またアメリカでは2004年の大統領選で、民主党候補にノミネートされていたハワード・ディーンが、ブログやSNSを軸としてボランティアの組織化を行った。

 この2つの事例を見てみると、共通する要素があることに気づかされる。どちらのケースも、候補者(もしくはその支援者)が積極的にインターネットにコミットし、その結果としてネットユーザーやブロガーたちを巻き込んでいき、その結果としてリアルワールドにも影響力を及ぼす広範囲なムーブメントを起こすことになったのだ。

 ところが今回の日本の総選挙では、そうした状況は生まれようもなかった。


(2005年9月14日)

■ PROFILE

佐々木俊尚
(ささき としなお)
1961年生まれ。毎日新聞社で支局、本社社会部を経験。海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材。1999年10月アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。

佐々木俊尚の「ITジャーナル」
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(gooニュース)

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2005年09月11日  |  ウェブログと選挙
 

ブログは選挙結果に影響を与えた? 与えてない?

「初のブログ選挙」と呼ばれた今回の衆議院選挙は、午後8時で投票が締め切られました。

自民党幹部とブロガーが懇談会を開いたり、ネット利用をめぐって政党がつばぜり合いを繰り広げたりして、注目を集めたほか、ブログやSNSを使って投票率をあげようと、企業家たちが「YES! PROJECT」を立ち上げ、若者に投票を呼びかけました。また、多くのブロガーが自身のブログに、政策や投票行動について書き込んでます。「ネットは無視できない存在だ」、「ネットの影響力は限られている」など、さまざまな意見が出ています。投票率上昇と今回の選挙結果に、ブログは関係があるのでしょうか。

「ブログと選挙」に関係する、トラックバック・コメントをお待ちしています。

投票7. ブログは選挙結果に影響を与えた?与えてない?※最終集計結果・2005年9月16日
与えた 649人(37%)
与えてない 1103人 (63%)

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2005年09月07日  |  インタビュー:近藤淳也
 

「ネットでまじめな議論を」 はてな近藤淳也さんインタビュー

「公職選挙法違反ではないか? いや違うのでは」。サービス開始時にインターネット界で話題となった「総選挙はてな」は、予測市場と呼ばれる日本では耳慣れない仕組みを利用。政党を会社に見立てて株式(アイデアポイント)を発行、その株式をユーザーが取り引きすることで政党の時価総額=議席数を予測するサービスだ。

「話題を提供することで選挙や政治に関心を持ってほしい」と語る、株式会社はてな代表取締役近藤淳也さん(29)に、「総選挙はてな」の意義、そしてブログやネットのリアル社会への影響についてインタビューした。

近藤淳也 株式会社はてな代表取締役

1975年生まれ。三重県育ち。京都大学理学部卒業、同大大学院中退後、自転車競技のカメラマンを経て、2001年にはてなを創業。社員は現在13名。ブログサービスの「はてなダイアリー」や「人力検索」をはじめ、予測市場の仕組みを用いた「はてなアイデア」、気に入ったブログのエントリーにポイントを送信できる「投げ銭」などのユニークなサービスと、顧客の声を重視する姿勢がネットユーザーから支持されている。



■ 「総選挙はてな」と予測市場

今回の選挙は2つの点で注目されていると思います。1つ目は若い人の関心が高い点、そして2つ目はインターネットの影響があるのか、という点です。はてなは社員13人、平均年齢が30歳を切る会社ですが、解散になった次の日に、社内で「何かできないか」との話が持ち上がりました。はてなには「はてなアイデア」(予測市場の仕組みを用い、要望や不具合報告を効率的に吸い上げるサービス)というサービスがあり、これを使って「総選挙はてな」をスタートしました。「総選挙はてな」は、普段は選挙や政治に関心を持っていない若い人たちに向けて、はてなからも話題を提供しようという試みです。

▲総選挙はてな
予測市場と呼ばれるシステムは、アメリカではすでに大統領選挙を含め、さまざまなテーマで使われています。個人的にすごいと思ったのがアカデミー賞の予想で、予測市場を使わない専門家や大手ポータルサイトは外しているのに、予測市場を使った「Hollywood Stock Exchange」というサイトが、かなりの確立で的中させていたことです。そのとき「予測市場ってすごいな」と思い、「はてなアイデア」に採り入れました。それを今回選挙に応用したわけです。

総選挙はてなをスタートさせてから、「はてなアイデア」全体のアクセスが2万から7万に増えていますので、ユーザーの関心は高まっていると言っていいでしょう。

サービスを開始した直後から「公職選挙法に違反しているのではないか」「大丈夫なのか」といった、批判と言うよりもむしろ心配の声がユーザーの皆さんから多数寄せられましたが、最近は落ち着いています。予測市場は人気投票とは異なるので、公選法違反には当たらないと考えています。総務省にも問い合わせていますし、ダメと言われれば速やかにサービスを停止するつもりです。

■ 話題を作って投票率を上げたい

はてなでは、会議の模様をポッドキャスティングで紹介しているのですが、1回の会議につき何千もダウンロードされています。一方、国会の議事録など、最近はネット上で公開されている情報が増えてきているにもかかわらず、あまり読まれていない気がします。ネットユーザーは政治に興味がないのかもしれません。「何も変わらない」とのあきらめが広がるのは、好ましくない状況です。

はてなのユーザーは20代、30代がメインです。はてなから選挙に関する話題が提供されれば、選挙に関心を持つ人も増えるでしょうし、投票率上昇に貢献できると考えています。

■ まじめに議論しなければ影響力はない

ネットの影響力も注目されていますが、残念ながらいい方向に行っていない気がします。例えば、まじめに郵政民営化について意見を述べている議員に対して、「この議員の言ってること痛いよね」というような反射的な書き込みは、悲しいものがあります。ブログによってワイドショーのチャンネルがひとつ増えただけになってしまいます。

それに、これからはリアルニュースをネタにして書くと言うような、リアルのおいしいところだけを吸うのではなく、ネットから情報発信していくようにならないといけない。そのためには、例えばブログ上で法案の対案を出すぐらいのまじめな議論が必要です。政治のことを分かりやすく書くようなブログがあればいいですね。とか言いながら、自分は何も書いていないわけですが(笑)。

ネット上に限らず、まじめに議論することが格好悪いという風潮があります。いくら「ブログ選挙」「ネット選挙」と騒がれても、政策や法案などの本質的な議論を正面からやっていかなければ、影響力は出ないでしょう。

私たちはせっかくブログという議論の場所を持ったのだから、「言ってもどうせ変わらない」と言うのはもったいないと思うのです。ブログでディスカッションするスキルを身につけて、まじめに議論できるムードを作り出していきたいです。

■ ネットもリアル化する

ネットも実社会との接点が増えてきています。一番感じたのは、2004年12月に起こったスマトラ島沖地震の義援金を、はてなポイントで集めたときです。遠い地域での出来事なのに、多くのユーザーが参加して60万円を超える義援金を寄付できました。ネットからリアルへのひとつの例ではないでしょうか。

今回の予測議席数が実際の結果と近ければ、はてなという仮想の街とリアルの世界のつながりが一層実感できます。予測結果がどうなるか、とても楽しみです。

(gooニュース 2005年9月3日 株式会社はてなにて)


jkondoの日記
http://d.hatena.ne.jp/jkondo/

総選挙はてな
http://senkyo.i.hatena.ne.jp/



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2005年09月06日  |  特別寄稿:佐々木俊尚
 

佐々木俊尚 特別寄稿!『日本で「ブログ世論」は生まれるか (下)』

■ 皮肉に覆われた日本のネット文化

 ではこうした状況は、日本でも生まれてくるのだろうか。今回の総選挙が、果たしてその天王山となるのだろうか。

 私は従来、日本のネット世論についてはかなり疑わしく感じていた。韓国やアメリカと比べ、日本ではネットの世界とリアルワールドの距離がきわめて遠い――そのような感覚的な印象を持っていたためだ。

 社会学者の北田暁大氏は、匿名掲示板の2ちゃんねるについて「≪巨大な内輪空間≫とでも呼ぶべき奇妙な社会性の磁場が形成された」と説いた(『嗤う日本の「ナショナリズム」』、NHKブックス刊)。また2ちゃんねる管理人の西村博之氏はかつて私の取材に、「2ちゃんねるには熱い人、一生懸命がんばっている人を馬鹿にする文化がある。そして、そもそも2ちゃんねるにいることはとても恥ずかしい、という共通認識もあるんです」と語ったことがある。

 皮肉っぽく冷笑的に世間を見るその文化は、2ちゃんねるのみならず、ブログも含めた日本のインターネット世界を覆っているように見える。ネットによって他のユーザーとつながっていくことの面白さだけを追求したその文化は、つきつめれば壮大な暇つぶしのようでもある。そしてそうした文化からは、リアルワールドを変革しようという強い意志は現れてこないのではないか――私はそう考えたのだ。

 おまけに、日本にはディベートや議論に関する文化的土壌が乏しい。自分が書いた意見についての異論を書き込まれると、「ああ、この人は私のことを嫌いなんだ!」と思ってしまうという人は、日本人には少なくないだろう。冷静な議論にまでなかなか進まないのである。そしていったん議論になると、今度はそのまま感情的なもつれへと突き進んでしまったりする。

 そういう背景があるためか、日本のウェブではみずからの意見を強烈に主張するという文化は、米韓あたりと比べても相対的に少なかった。ブログの世界でも、どちらかといえば身辺雑記的なあたりさわりのない日記を書くケースが昔から多かったし、その状況はいまもあまり変わっていない。そしてそうした文化を持つブログの世界では、政治的な世論形成の場は作られにくいのではないか――私にはそう思えたのだ。

■ 総選挙が導く地殻変動

 ところがここに来て、状況は急激に変わってきているように見える。自民党がブロガー向けの懇談会を開いたのはなかなかいい話だったけれども、それ以上に実態としてのブログ世界は急激に政治性を帯び始めている。郵政民営化や総選挙、政権交代について言及するブロガーは増えているし、トラックバックやコメントによってそれらの意見が有機的に結合し、交換され、さらに地平を拡大していくという状況は生まれつつあるように見える。

 たとえば東京工業大の奥村学助教授らが開発しているブログ検索「blogWatcher」のブログ解析結果によれば、最近1か月間のブログのホットなキーワードランキングで、「民営」「郵政」という単語がそれぞれ2位、3位を占めている。また総選挙に特化したコンテンツを公開してるブログ検索エンジン「テクノラティ」のサイトを見ても、公示から4日を経た9月3日で「郵政民営化」がまだ、「過去12時間で最も検索された話題」の2位に入っている。関心は失われていないのだ。

 小泉首相が衆院を解散した時、ネットでは郵政民営化について最高潮の盛り上がりを見せた。この盛り上がりに対して、永田町では「インターネットや若者の間の突発的なブームでしかなく、投票日ごろにはみんな飽きてしまうに違いない」と冷めた目でネット世論の盛り上がりを見る関係者は少なくなかった。だが事態は、彼らの想定の範囲を超えて進みつつあるように見える。

 しかしもちろん、こうした状況だけをもってして、「ネットに世論が形成されつつある」とみるのはあまりにも時期尚早だ。とはいえ、これが何かの地殻変動の表れであるのは間違いないようにも思える。そしてその地殻変動が何を意味し、そしてネットの世界にどのような影響を与え、さらにはネットとリアルの関係性をどう替えていこうとしているのかについては、さらに注意深く見ていかなければならない。

 総選挙が終わり、その選挙結果が明らかになったとき、ブログの世界がどのような反応を見せ、どのような結論を導き出すのか。また政界をはじめとするリアルワールドの側は、ネットから巻き起こった「何ものか」に対して、どのような総括を行うのか。とりあえずはその成り行きを見極めたうえで、もう一度この「ブログ選挙」の行方をとらえ直してみたいと思う。

(2005年9月4日)

■ PROFILE

佐々木俊尚
(ささき としなお)
1961年生まれ。毎日新聞社で支局、本社社会部を経験。海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材。1999年10月アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。

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2005年09月06日  |  特別寄稿:佐々木俊尚
 

佐々木俊尚 特別寄稿!『日本で「ブログ世論」は生まれるか (上)』

特別寄稿第五弾は、フリージャーナリストの佐々木俊尚氏。今回の「ブログ選挙」は、インターネット世論形成への序章なのか、それともブームに過ぎないのでしょうか。

IT分野に精通し、日本のネット文化への造詣も深い佐々木氏に、すでにネット世論が政治を動かしているとされる韓国やアメリカの状況を分析しつつ、ネットとリアルの関係の行く末を展望してもらいました。

佐々木氏には、今後も「ブログ(ネット)選挙」の動きをウォッチしていただき、選挙後にも寄稿していただきます。


日本で「ブログ世論」は生まれるか
特別寄稿 by 佐々木俊尚(フリージャーナリスト)


 「ブログ選挙」とも呼ばれている今回の総選挙。これまで身辺雑記や技術系の話題などに偏っていたブログの世界で、突如として郵政民営化や政権交代についての真面目な議論が巻き起こっている現象は、たしかにインターネットの世界で何かが起きつつあるという印象を与えるものだ。

 その現象は、いったい何を意味しているのだろうか。少し乱暴なまとめかたになってしまうかもしれないが、つまるところ多くの人がもっとも気にかけているのは、次のようなことだろう――ネットで「世論」が形成されようとしているのかどうか。そしてそのバーチャルな世界の「世論」は、リアルワールドを動かすパワーを持っているのかどうか。

 政治とネットの関係について、少しおさらいしてみよう。

■ 韓国ネティズンのパワー

 お隣りの韓国では、インターネットのパワーがすでに政治の世界でも存分に力をふるっている。その中核に存在しているのは、著名なウェブサイト「オーマイニュース」だ。韓国の有力紙が軍事政権時代から政府に報道をコントロールされ、市民にあまり信頼されていなかったのに対し、オーマイニュースは有力紙が報じない政府の腐敗を次々と報道し、一気に知名度を上げた。読者に記事を送ってもらい、『市民記者』という肩書きと署名をつけて掲載するという読者参加型のメディアである。

 そしてオーマイニュースを中心とするインターネットの世論は、2002年の大統領選挙で、盧武鉉氏を当選させる原動力となった。「ノサモ」と呼ばれる盧武鉉氏の応援団がネット上で結成され、インターネット掲示板やメールを使った選挙運動を繰り広げたのだ。韓国ではネットと市民(シティズン)の造語であるネティズンという言葉がよく使われているが、大統領選での盧武鉉氏の勝利は「ネティズンの勝利である」と語られた。そして大統領選でオーマイニュースのページビューは以前の10倍にも増え、世論調査でも「投票行動にはネットの影響が一番大きかった」という回答が最多を占める結果となったのである。そしてこの選挙をきっかけに、政府やマスメディアもインターネットの影響を無視できなくなり、公式発表はまずネットでリリースし、その反応を見てから記者会見を開くといったスタイルが定着するようになった。また従来はネットの報道を無視していた有力紙も「インターネットの情報によると」というクレジットをつけ、ネットで報じられたニュースを二次情報として流すようになった。

■ 大統領選挙キャンペーンの常識を覆したブログとSNS

 アメリカではどうだろうか。アメリカのブログはもともと、政治的な議論の場として発展してきたという歴史的な経緯がある。

 アメリカにはもちろん1990年代からブログという媒体は存在していたが、注目が急に集まるようになったのは、2001年9月11日の同時多発テロがきっかけだった。当初は事件に遭遇した人たちの現場レポートからスタートし、やがて「同時多発テロをどうとらえるべきなのか」「アフガニスタンへの報復的侵攻は是なのか非なのか」といった議論を行う場へとブログは進化していった。そしてこうした意見をさかんに発信するブログは「ウォーブログ(戦争ブログ)」と呼ばれるようになり、一般市民だけでなく著名な評論家や学者、ジャーナリストも先を争ってブログを開設するようになったのである。この結果、ブログの知名度は一般社会の中でも著しく向上し、プロの書き手へとメジャーデビューするブロガーも現れるようになった。

 そしてまだ記憶に新しい、現職のブッシュ大統領とジョン・ケリー民主党候補が戦った昨年の大統領選。この選挙で、ネットの政治への影響力には強い注目が集まった。たとえば民主党大統領候補だったハワード・ディーンは、Blog for Americaというブログを開設。ディーンの考え方や政策などを表明するとともに、参加するブロガーたちがさまざまな意見を書き込む場としても利用された。コメントもトラックバックも開放され、多くの人々が議論や意見交換を行ったのである。開設してみると、1日に1000を越えるコメントが寄せられた日も多かったというから、驚かされる。そしてこのブログは、一般の人々から政治献金を受ける場所としても利用されたほか、ボランティアの募集やポスターの配布なども行われ、選挙キャンペーンのポータルサイトのような様相にさえなっていったのである。さらに、Blog for Americaに集まった選挙ボランティアたちを結びつけるため、SNS(ソーシャルネットワーキング)も活用された。このSNSのディーンコミュニティには、20万人近い人が集まったという。

 この結果、ディーン陣営は若者たちから小口の政治資金を広く浅く集めることに成功し、大口の企業献金やパーティー券が中心だった選挙キャンペーンの常識を、根底からひっくり返してしまうことに成功したのである。ネットの威力が、実際の選挙・政治にも力を及ぼすことが可能であることを、実際に示したのだ。

(2005年9月4日)

■ PROFILE

佐々木俊尚
(ささき としなお)
1961年生まれ。毎日新聞社で支局、本社社会部を経験。海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材。1999年10月アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。

佐々木俊尚の「ITジャーナル」
http://blog.goo.ne.jp/hwj-sasaki/

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2005年09月05日  |  インタビュー:平井良明
 

選挙ポータル「ELECTION」 平井良明さんインタビュー

「ネットと選挙」という言葉が注目されている以前から、候補者情報、ネット世論調査などの選挙情報をインターネット上で紹介しているサイト「ELECTION(エレクション)」。昨年からは、政治家のブログポータル「エレログ」もスタートした。

選挙が始まると1日10万ページビューを超え、開票速報時は1分で5万アクセスを記録するこのサイトは、2人のボランティアによって運営されている。エレクション生みの親で、ONLINE ELECTION推進委員会・西日本統括事務局の平井良明代表(35)にインタビューした。

平井良明(ひらい よしあき) ONLINE ELECTION推進員会・西日本統括事務局代表

九州工業大学情報工学研究科修士課程在学中に起業。1995年ホームページ制作などを業務とするイーハイブ・コミュニケーション合資会社設立。97年に(株)イーハイブ・コミュニケーションを設立して代表取締役に。インターネットシステムの企画開発などを行っている。2000年6月に選挙情報専門サイト「ELECTION」を立ち上げた。



Q. エレクションを立ち上げるきっかけは。

2000年のアメリカ大統領選挙(ブッシュVSゴア)の予備選で、共和党のマケイン候補がインターネットを使って選挙資金を集めるなど、新しい手法で戦いました。それを聞いて「選挙」というキーワードで検索してみたところ、日本では選挙専門のサイトはありませんでした。政党のホームページは貧弱で、議員のホームページも非常に少なかった。世間ではネットという情報ツールがもてはやされていたのに、選挙では使われていなかった。そこで、選挙情報をまとめて出していくサイトを作ろうと思ったわけです。

Q. 公職選挙法とネットとの関係が話題になっていますが。

エレクションの目的は、特定の政治家や政党を応援するのではなく、有権者が判断する情報を提供していこうという姿勢ですので、公職選挙法には抵触していないと考えています。ただ、公選法はグレーの部分が非常に広いので、ダメだったら止めるというスタンスです。いまのところ、何の注意も受けていません。

総務省の解釈では、以前は選挙期間中はホームページを閉鎖、現在はホームページの更新をストップすべきだということですが、それでは選挙期間中起きる新しいニュースや出来事に対する候補者の立場を知ることができません。有権者が判断する材料が少なくなってしまいます。

ネットが普及してきている今、公選法は時代に合わなくなってきていると思います。今後はネットが選挙活動に使えるよう、明確な方針を打ち出してもらいたいです。

Q. ホームページを管理する上で気を付けていることはありますか。

選挙ですから売名行為のようなものもあります。このため、コメントやトラックバックは事前にチェックしてから出すようにしています。また、いわゆる「祭り」防止も注意しています。コメントがすぐに反映されてしまうと、次々とコメントが書き込まれ、議論が過熱してしまいます。「一度こちら側でチェックする」と書いておくことで、利用者も冷静になるのか、「祭り」になったことはありません。
▲選挙情報専門サイト「ELECTION」


Q. ネット選挙、ブログ選挙という言葉がマスコミをにぎわせています。

ネットが普及したというのが一番の理由でしょう。それにブログができて、ホームページを作ることが簡単になり、技術に詳しくない議員の方でも気軽に更新ができるようになりました。ブログがないころは、選挙直前にホームページを作り変えるだけの方も多かったのですが、最近では普段でも更新している議員が増えてきています。

実は、ブログがはやり始めたころはあまり注目していませんでした。私自身システム屋ですから、掲示板とそんなに変わらないと考えていました。しかし、実際に使ってみると、トラックバック、コメント、RSS、携帯対応、それぞれの機能が面白いし、なにより使いやすいツールでしたので、さっそく「エレログ」を始めることにしました。

「エレログ」は04年の参院選から動いています。19人の議員が登録して、積極的に使っていたのは10人ぐらいでした。今回の衆院選での登録者は35人と、着実に増えています。

政治家とブログは相性がいいと思います。国会議員は1000人近くいますが、マスコミをにぎわして注目を集める議員は一握りです。テレビでのパフォーマンスもいいのですが、地道に政治活動をやっている議員の姿は、マスコミからはなかなか伝わりません。まじめに活動されている方ほど、有権者に自分の言葉で伝えたいのではないでしょうか。有権者にとっても、ブログから議員の人となりが伝わってきます。実際、「エレログ」を見ているユーザーから「議員活動を身近に感じるようになった」との声もあります。

今後は、ブログのコメント欄、トラックバック欄を使った政策論争にも期待したいです。ひとつの問題や政策を、議員と有権者、専門家が話し合う場所にしてもらいたい。議員同士がコメントやトラックバックを使って議論すれば盛り上がるし、いろいろな角度から、さまざまな人が議論することで問題点が見えてきます。それに、テレビと違ってブログは文章に残るので、言いっ放しができない。後々、議員の発言を有権者がチェックすることができます。

Q. ネット言論が実際の選挙に影響を与えるとお考えですか。

ネットは無視できない存在になりつつある、という状況でしょうが、まだまだです。一般的なネットユーザーが求めているのはエンターテインメントです。政策などの難しい問題は反応が鈍い。それに、サイトへのアクセスも9割近くが男性。女性にも関心を持ってもらわないといけません。ただ、そう遠くない将来、選挙といえばネットを見る時代が来ると思います。

Q. 今後エレクションはどうなっていくのでしょうか。

選挙というキーワードを全部扱いたい。このサイトを運営するまでは知らなかったのですが、国政選挙だけでなく、知事選や町議選などを含めれば、毎週のように日本のどこかで選挙をやっている。政治家の選挙以外にも、大学の学長選挙、商工会の理事長選挙、学校の生徒会長の選挙まで、選挙は無限にあります。

その割に、選挙で何をしたらいいのか、何をしてはいけないのか、分かりにくい。その上、選挙に興味がないのが格好いいという風潮があります。「行っても何も変わらないなら無駄だよね」という雰囲気です。

しかし、私たちは選挙で選んだ人に自分たちの将来を何パーセントか預けているわけです。選挙は民主主義の根幹です。せっかく持っている権利を活用すべきです。ネットを使った情報発信が増えて、若い人に関心を持ってもらって、選挙がもっと身近なものになるように願っています。

(gooニュース 2005年9月1日 ELECTON事務局にて)


選挙情報専門サイト「ELECTION」
http://www.election.co.jp/



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2005年09月03日  |  特別寄稿:小倉秀夫
 

小倉秀夫 特別寄稿 『ブログと選挙──どこまで自由化すべきなのか? (下)』

■ ブログと公職選挙法の未来

 では、公職選挙法を改正して、選挙期間中、特定の候補者なり政党なりを推薦ないし支持しあるいは反対する内容のエントリーを立ち上げあるいはコメントを自由に投稿できるようにするべきでしょうか。

 特に国会議員や地方自治体の長を選ぶ選挙の場合、「勝てば官軍」といいますか、勝つことによるメリットはとても大きいので、虚偽ないし誇大な発言を行ってでも自分が支持する候補者を当選させあるいは支持しない候補者を落選させたいという誘惑に駆られがちです。現在でも、衆議院が解散される前後から公示日直前にかけて、特定の政党ないし候補者を不当に貶めまたは必要以上に持ち上げているブログや、特定の政党に関するある種の陰謀論を他人のブログのコメント欄に投稿される方は少なからず存在しています。

 それらの活動が組織的に行われているのか否か、組織的に行われているとしてその駆動力は金銭その他の現実的な利益なのか宗教的なものなのかは全く分かりませんが、選挙に関する話題をエントリーとして立ち上げると程なくして特定の政党に関する陰謀論的なコメントが投稿される等の現象が見られますので、選挙期間中のネット上での表現活動を公職選挙法による規制の対象外とした場合には、虚偽ないし誇大な発言がネット上で横行し、国民による判断が不当に歪められるおそれが多分にあります(そうでなくとも粘着系ブロガー・コメンテーターに対して「対抗言論」で対処するのは大変であるのに、選挙期間はごく短いしその期間中スタッフは大忙しですから、この場合、「対抗言論」というのは実際的な対抗手段たり得ません。)。

 すると、現実的には、新聞紙・雑誌による選挙に関する報道及び評論に関する規定を参考にして、ある種のブロガーに対して報道及び評論を掲載する自由を認めていく方向での改正というのが精々なのではないかという気がしてなりません。

 さすがに、「定期に有償頒布する」という要件はクリアしがたいし、選挙期間中もブロガーに報道及び評論をなさしめるようにするという観点からは有償性というのは不要な要件ですから、これに類する要件は不要でしょう。ただ、選挙活動に対する量的な規制の脱法行為となるのを防ぐという意味では、毎月3回以上新たにエントリーを立ち上げること、そのような状態を公示又は告示の日の1年以上前から継続していることなどは要件としてもよいでしょう。

■ ブロガーに問われる責任と匿名・顕名問題

 また、発言者に発言に対する責任を追及される可能性を負わせて虚偽ないし誇大な発言をしにくくするとともに、特定の政党ないし候補者との間に特別な関係があればそれは明らかにされる可能性を担保すべきという観点からすると、選挙期間中に選挙に関する報道及び評論を掲載することが許されるブロガーは、「共通ID」等によりその氏名及び住所が確実に把握され、不特定人により容易に知りうる状態に置かれていることが必要になるのではないかと思います(「IT時代の選挙運動に関する研究会」はメールアドレスでいいといっているようですが、メールアドレスだけでどうやって責任をとらせるおつもりなのでしょう(ex.羽田タートルサービス事件 ※注1)。)。

 そして、何人たりとも、ブロガーに対して「金銭、物品その他の財産上の利益の供与、その供与の申込若しくは約束をし又は饗応接待、その申込若しくは約束をして」自分たちに有利なことを書かせようとしてはいけないとか、ブロガーもそのような利益供与等を受けてはいけないという趣旨の規定も設けられるべきでしょうし、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならないという趣旨の規定も設けられるべきでしょう。

 これは、選挙ビラについて作成者の氏名等を掲載しなかったからと言って刑事処罰することは問題であるとしたMacintyre vs. Ohio選挙管理委員会についての米国連邦最高裁判決よりは後退しているかもしれません。ただ、米国における「匿名発言の自由」に対する憧憬というのは建国の歴史に裏打ちされたものであってそのまま日本で受け入れられるものではないですし(従前の憲法学者はほとんど「匿名発言の自由」を日本法の解釈に導入していません。)、Macintyre氏はその氏名等を掲載しないビラも配ったというだけで、基本的には逃げも隠れもしていなかったのに対し、我が国では、特定の政党や政治家を批判するブログの多くがトレーサビリティの低い匿名でなされているという現実を目の当たりにしてしまうと、それも仕方がないのかなあととりあえず思います。

(2005年9月3日)


※注1 羽田タートルサービス事件
 インターネットサイト上に労働条件について書き込みを受けた会社が、発信者情報の開示を求めたが、発信者のメールアドレスとID・パスワードしか情報開示を受けられず提訴した。判決では、レンタルサーバー会社に情報開示が認められたが、経由プロバイダーについては特定電気通信役務提供者に当たらないとして請求は棄却された。



■ PROFILE

小倉秀夫
(おぐら ひでお)
弁護士。中央大学法学部兼任講師。1968年生まれ。著作権等の知的財産権、IT関係はとりわけ強い。これまで、中古ゲーム差止訴訟、「mp3.co.jp」ドメイン名訴訟、対WinMXユーザー発信者情報開示請求訴訟などで勝利を収め、ファイルローグ事件では、高裁での逆転勝利をねらう。主な著書として『著作権法コンメンタール』(編著:東京布井出版)、『インターネットの法務と税務』(共著:新日本法規)などがある。

「benli」(ブログ)
http://benli.cocolog-nifty.com/

「東京平河法律事務所」(事務所HP)
http://www.tokyo-hirakawa.gr.jp/staff/ogura.html


(gooニュース)

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2005年09月03日  |  特別寄稿:小倉秀夫
 

小倉秀夫 特別寄稿 『ブログと選挙──どこまで自由化すべきなのか? (上)』

特別寄稿第四弾は小倉秀夫弁護士です。「ブログ(ネット)と選挙」と公職選挙法の関わりが、ニュースなどでも取り上げられています。IT法の第一人者で、自らブログを持ちネット上で発言されている小倉弁護士に、専門家の立場から「ブログ(ネット)と選挙」「ブロガーの選挙報道や論評」の問題点と将来の可能性について寄稿していただきました。


ブログと選挙──どこまで自由化すべきなのか?

特別寄稿 by 小倉秀夫(東京弁護士会所属 中央大学法学部 兼任講師)


■ 選挙の平等とインターネット

 「ブログと選挙」といいますか、「インターネットと選挙」という話題になると、常に問題となるのが公職選挙法との関係です。

 公職選挙法にて選挙活動の方法及び量について様々な規制が設けられている趣旨が、財力等によって選挙活動が左右され、候補者間の平等が図れなくなることを防止する点にある以上、候補者(政党を含む。)によるウェブサイトのようにコストがかからないものについてはこれを規制する合理的な理由はないという考え方は一理ないわけではありません。

 もっとも、訴求力のあるウェブサイトを作成しようと思うと、議員事務所や政党のスタッフなどの手には余ってしまうのであり、それ相応の実績のあるプロを雇ったりなんかすると結構コストがかかるので、話はそう単純ではありません。動画配信を利用すれば、政見放送類似のことまで自前でできてしまうわけで、動画配信のためのインフラを用意できる候補者・政党とそうでない候補者・政党の差は開くばかりではないかという危惧もないわけではありません。

 まあ、そういう問題は各候補者の方で考えればよいことだとして、では、ブログ上で特定の政党なり候補者に投票するように呼びかけたりあるいは特定の政党なり候補者なりに呼びかけたりするエントリーを立ち上げたり、その種のコメントを投稿したりすることはどうでしょうか。

■ 公職選挙法とメディア

 まずは、現行の公職選挙法との関係で見ていくこととしましょう。

 現行の公職選挙法は、「選挙運動のために使用する文書図画」については、第142条ないし第143条にて定められた方法・量を超えて頒布又は掲示することを禁止した上で、第146条第1項において、
 何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。
としています。その一方で、報道の自由への配慮から、第148条第1項において、
 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第百三十八条の三の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。
と定めています。もっとも、「新聞紙」「雑誌」と銘打てば自由に文書を配布できるのでは選挙活動規制のための文書配布等の制限の趣旨に反してしまいますので、同条第2項において、
 新聞紙又は雑誌の販売を業とする者は、前項に規定する新聞紙又は雑誌を、通常の方法(選挙運動の期間中及び選挙の当日において、定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙又は雑誌については、有償でする場合に限る。)で頒布し又は都道府県の選挙管理委員会の指示する場所に掲示することができる。
とするとともに、同条第3項において、
 前二項の規定の適用について新聞紙又は雑誌とは、選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、次に掲げるものをいう。ただし、点字新聞紙については、第一号ロの規定(同号ハ及び第二号中第一号ロに係る部分を含む。)は、適用しない。

一  次の条件を具備する新聞紙又は雑誌
イ 新聞紙にあつては毎月三回以上、雑誌にあつては毎月一回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであること。
ロ 第三種郵便物の承認のあるものであること。
ハ 当該選挙の選挙期日の公示又は告示の日前一年(時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙にあつては、六月)以来、イ及びロに該当し、引き続き発行するものであること。
二  前号に該当する新聞紙又は雑誌を発行する者が発行する新聞紙又は雑誌で同号イ及びロの条件を具備するもの
と規定しています。

■ 「選挙運動」とは

 もっとも、公職選挙法上の「選挙運動」とは「一定の選挙に付、一定の議員候補者を当選せしむべく投票を得若しくは得しむるに付、直接又は間接に必要且有利なる周旋勧誘若しくは誘導その他諸般の行為をなすことを汎称する」(大審判昭和3年1月24日刑集7巻6頁)とされており、単に特定の候補者の当選を妨害するような行為はこれに含まれないとされています(大審判昭和5年9月23日刑集9巻678頁)。

 ただし、直接には特定の候補者の当選を妨害する行為であっても、それが間接に他の候補者の当選を目的としてなされる場合には、公職選挙法上の選挙運動となるとされています(最判昭和47年10月6日刑集26巻8号443頁)。

 したがって、小選挙区において自民党と民主党が事実上の「一騎打ち」状態にある場合においてその一方を当選させるために他方の候補者の当選を妨害するような行為を行った場合の他、比例代表において特定の政党の当選者を増加させる目的で他の政党の当選者を減少させるような行為を行った場合にも公職選挙法上の「選挙運動」にあたるとされる可能性はあろうかと思います。

 ただし、公職選挙法上の「選挙運動」にあたらない場合であっても、公職選挙法第235条第2項によれば、
当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
とされており、法定外文書等を頒布・掲示した場合(二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金)よりも重い法定刑が定められています。

■ ブログは「文書図画」なのか

 1996年10月に旧自治省が行った
公職選挙法の「文書図画」とは、文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、スライド、映画、ネオンサイン等もすべて含まれます。したがって、パソコンのディスプレーに表示された文字等は、公職選挙法の「文書図画」に当たります。
という公権的解釈を総務省が継承していることから、誰かが自分のみを危険にさらしてこの解釈に逆らって行動し、正式に起訴されて法廷で当該解釈の当否を争わない限り、この解釈がまかり通ることになります。

 すると、特定の候補者なり政党なりを推薦ないし支持する内容のエントリーを選挙期間中に立ち上げたりする行為は公職選挙法第143条に違反するということになります。

 また、衆議院選挙の場合、比例代表の部分がありますから、特定の政党を貶めるエントリーを立ち上げてその当選者数を減少させようとする行為もまた同法に違反する可能性があります。

 ブログの場合、たとえ毎日定期的に更新していたとはいえ、ブログの場合、有償で頒布されるものではありませんし、第三種郵便物の承認などあろうはずがありませんから、公職選挙法第148条にいう「新聞紙又は雑誌」にあたらないことも明らかです。他人のブログのコメント欄や掲示板に投稿する行為が「文書図画」の「掲示」にあたるかは若干悩ましいところはありますが、いざ刑事裁判になったら認定されてしまうような気がします(実際に、捜査するかは別問題として。)。

(2005年9月3日)


■ PROFILE

小倉秀夫
(おぐら ひでお)
弁護士。中央大学法学部兼任講師。1968年生まれ。著作権等の知的財産権、IT関係はとりわけ強い。これまで、中古ゲーム差止訴訟、「mp3.co.jp」ドメイン名訴訟、対WinMXユーザー発信者情報開示請求訴訟などで勝利を収め、ファイルローグ事件では、高裁での逆転勝利をねらう。主な著書として『著作権法コンメンタール』(編著:東京布井出版)、『インターネットの法務と税務』(共著:新日本法規)などがある。

「benli」(ブログ)
http://benli.cocolog-nifty.com/

「東京平河法律事務所」(事務所HP)
http://www.tokyo-hirakawa.gr.jp/staff/ogura.html


(gooニュース)

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