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ワインと一緒に楽しむ山形 @白馬 La Neige東館

♪「大糸線に~ 揺られて着いた~ ここは松本 信州路~」なんて歌がありましたが、松本で蕎麦を手繰って 大糸線に揺られてついたのは「白馬」駅。
もともとは春先の山にできる「雪形」が「代掻き馬」の形に見えることから その山が「しろうま」と呼ばれ、漢字の当て字が「白馬」だったのですが、いつの間にか字面から『はくば』が定着し、村の名前も駅名も「はくば」となって、「しろうま」なんて呼ぶ人は土地の古老か昔を知る一部趣味人のみになってしまいました。

さて、今回は 「Hakuba de Al-che-cciano avec Vin a Yamagata」と銘打たれた La Neigeのワイン会。 
"avec Vin a Yamagata"は「ワインと一緒に楽しむ山形」とでも訳したらいのでしょうか、ゲストはいつものワインの作り手さんに加えて「ソースを使わず、素材をいかして、庄内を皿に描く」をモットーに鶴岡でイタリアンのレストランを営む奥田さん
庄内の食材を自ら運んで 前日から泊まり込んでの気合の入れ様。
さて、どんなお料理と山形産のワインとの出会いがあるか、とっても愉しみな企画です


イタリアン・カラーとクリスマス・カラーで彩られたテーブルセッティング


口開けは、「月山ワイン山ぶどう研究所」の、、、
「ソレイユ ルバン 甲州シュール リー 2012」

シュール リーは、直訳すると「滓の上」という意味になりますが、醸造過程で滓引きせず、瓶詰めまでタンクを移動させないため空気との接触が少なく、醗酵中の香りの成分が多く残り、フレッシュでフルーティな香味を保持することと、滓が自己消化して、ワインに旨味を与え豊かな味になるといわれています。
日本で最も広く栽培されているもともとは生食用の「甲州ぶどう」を使ったこのワイン。シャルドネなどヨーロッパ原産の葡萄と比べれば、重厚感に乏しい感はありますが、スッキリとした酸味の効いたワインに仕上がっています。

それと合わせるのは、「岩魚の燻製でサンドした平目のテリーヌと焦がした葡萄」

岩魚と平目の組み合わせはアルケッチャーノの定番料理にもあるようですが、ここでは月山ワインに使われている甲州ぶどうをバーナーで炙って香おばしさを加えています。
さらに、奥田シェフ「ワインの酸味と料理に使っているオリーブオイルを口の中で混ぜ合わせて賞味してください」。 酸味の効いた甲州がオリーブオイルと出会うことによってことさらにソースを使わずにドレッシングになるという趣向。
付け合せのグリーンサラダも 私があまり得意でない香草が入っているのですが、ほとんど気にならずに美味しくいただけます。

次のお皿は、「ホッキ貝とカラフル野菜の食感リゾット」

普通なら、「えっ ここでリゾット??」と思うのですが、見てのとおりチーズはほとんど使われていない上に 中華の油通しの手法で軽く火を通しただけの野菜とを これも噛むことで食感を楽しみながらの「口中調味」。

次の「白菜の冷たいブルーテスープと飛島のアワビ」は見た目はなんてことのない卵黄や生クリームを使った冷たいポタージュですが(と思って写真は撮らず…)、最後にこれも軽く火を通した 酒田の沖合に浮かぶ飛島のアワビと一緒に味わうと、磯の香りが愉しめる嗜好。

次の「鱒の身の43°調理と骨の135°調理とキュウリだけ」というネーミングの料理に合わせられたお酒が『夏子の酒』で一躍有名になった「亀の尾復活蔵・鯉川酒造」の「水酒蘭 純米酒(アルケッチャーノオリジナル)」。  「水酒蘭」は「ミシュラン」と読むそうです

こちらが「鱒の身の43°調理と骨の135°調理とキュウリだけ」

「43°」「135°」とあるのは、食材を加熱するときの温度。 奥田シェフの調理はまるで化学の実験のようだと聞いたことがありますが、湯煎で温度管理されたフライパンやこれも厳密に温度管理されたオーブンを使って調理しているそうで、43°というのがほとんど生の状態の鱒をもっとも美味しく食べられる温度で、135°はその骨が焦げることなくかつ軽い歯ごたえで食べられる最適の温度とか… 最初は鱒の付け合せは「キュウリだけ」のつもりでメニューを用意したのですが、自分で鱒を食べてみて「うん これはバターを添えたらもっといい!」とその場で閃いてクリーム状にホイップしたバターを添えてだすことに変えたようです。
実際に食べてみると、鱒が舌の上でとろけるよう… 次に件の純米酒で舌を洗って 今度はバターを添えてみると、これまた変わった美味しさ。 骨の香ばしさが 際立って感じられます。添えられたキュウリの食感も嬉しい

気が付くと 清酒に代わってグラスに満たされているのは「シャトータケダ 白2009」
山形を代表するタケダワイナリーのシャルドネです。
いただくお料理が 「山形未来地鶏と豆の手打ちパスタフレーグラ」

あまり馴染みのない名前の「フレーグラ」は、クスクスの原型と言われていますが、小麦粉(もちろん硬質小麦)に水を加えながら掌で混ぜて小さな粒状にし、仕上げにトーストしたもので、クスクスより粒は大き目です。
チョッと味が薄いな?と思いましたが、お皿の縁に添えられたパルメザンを加えながらいただくと、ちょうど良い塩加減。

メインディッシュの格の次のお皿になる頃には、ワインも「シャトータケダ 赤2009」
カベルネ・ソーヴィニョンとメルロをオーク樽で熟成させた、重厚感と優雅な香りの「主役級」の赤ワインです

出迎えるお皿は、こちらも主役級の「牛タンと牛蒡のフォンデュータと菜の花」

普通のイタリアンでいうと、フォンデュータとはナッツのような香ばしい香りのイタリアの牛乳で作る『フォンティーナチーズ』に牛乳、バター、卵で作るイタリア版チーズフォンデュですが、このお料理は奥田シェフ曰く「ごぼうの語源は『牛の房』、尻尾のことなんです。この料理は牛蒡を牛の尻尾に見立てて、牛の舌から尻尾まで、牛をまるごと食べちゃおうというアイデアです」
すりおろした牛蒡とフライしてカリカリになった牛蒡の食感の違いに加えて、ほろ苦さを残す菜の花、、、気が付くと結構なボリュームの牛タンをペロッと平らげていました

普通ならこの後はチーズをいただくところですが、今回はチーズもチョッとひねった嗜好で、サニーレタスで包まれての登場

お料理の名前は 「サニーレタスで包んだ白カビチーズ」

合わせるワインは これもチョッピリ癖のある月山ワインの「ソレイユ ルバン ヤマソービニオン2011」
なんと1月ほど前、西新井の「酒屋バル nibu」で勧められたワインで、期せずして『予習』しての参加になりましたが、深い紅色で山葡萄独特の果実の豊かなワインです。
見た目は「焦げたレタス」ですが、口に含むや 味の広がりが素晴らしい   しかし、このレタスで包んだ上に バーナーで焦げ目をつけて出すという発想がまた凄い

コースはこの後 「ラ・フランスのシャーベット」を挟んで、「だだちゃ豆のティラミス」


舌だけでなく 体も溶けてしまいそうです

奥田マジックは まだまだとどまるところを知らず、最後に供されたのが「カントゥッチと辛味大根」
「えっ? ビスコッティに大根おろしが載ってるだけ?」って感じで 写真も撮らずに口に運んでしまいましたが、これがまた最後のビックリ
「カントゥッチ」は アーモンドがぎっしり詰まった、トスカーナ地方の固い焼き菓子のことで、まぁ普通に言えば「ビスコッティ」と呼んで差支えないかと思いますが、辛味のある大根との相性がこんなに良いとは まさに「目から鱗」

今回のお料理を用意してくれた奥田シェフ。 お料理を自らテーブルに運んでサーブしながら 調理場とホールを忙しく往復  
サービスの合間にお話しを聞くと、食材を食べると 化学の実験のように加熱の具合や塩分の量や他の食材との組み合わせが分かる、「絶対食感」の持ち主とか

だから既成概念に囚われない斬新な発想の料理が出来るんですね~
ところで、「アルケッチャーノ」とはどんな意味なのか、イタリア語っぽい感じですが、シェフに聞くのを失念したので、家に帰ってから調べてみたら、『(こんなところに)あったじゃないか。』という庄内弁のようです。 こんなところも奥田さんの郷土愛かな?

料理の解説をする奥田シェフ


この日のお品書きは 奥田さん直筆のサイン入り

ホテルの中はクリスマスムードで一杯
一足早い 素敵なクリスマスプレゼントでした

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