プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「道路」論議  まだ造るか無謀な巨大横断道  本当にしぶとい道路族

2008-02-22 18:35:04 | 政治経済
毎年、国・地方分合わせて5兆円以上の税収がある道路特定財源を今後10年間、道路族の思いのままにするという法案(道路整備財源特例法改定案)が国会で審議されている。道路特定財源が確保されていると無謀な高速道路や大型道路の建設も思いのままである。特定財源という硬直的な仕組みをなぜ維持しなければならないのか。まず一般財源化し、その中から必要な道路を造るというやり方ではどうしてダメなのか。天下りと癒着した政官財の利権をなんとしても守りたいからである。道路特定財源の一般財源化は行政改革推進法(06年成立)で決まったことでなかったのか。道路公団民営化の骨抜きといい、道路族は本当にしぶとい。

今後、10年間で59兆円もの巨費を道路につぎ込むことの根拠と必要性がどこにあるのか。国会論戦を聞く限り、税収にあわせて適当に計画をでっち上げるということのようだ。日本共産党の笠井亮議員は21日の衆院予算委員会で、道路特定財源をもとに採算を度外視した六横断道計画などが次々に進む実態を示し、「無謀な計画は撤回すべきだ」と政府に迫った。
笠井氏はまず、「全国一の大赤字路線」と言われる東京湾横断道路=アクアライン(総額一兆四千億円)を取り上げた。交通量は当初計画のわずか四割。97年開通以降、10年で三度も借金返済計画が作り直された(「しんぶん赤旗」2月22日)。笠井 この道路は成功したと思うか。
福田康夫首相 計画交通量と実績が大きく乖離(かいり)してしまった。この事態は、厳しく認識している。
冬柴鉄三国交相 猛省しなければならない。

ところが驚いたことに、東京湾には、このほか「第二アクアライン」と呼ばれる「東京湾口道路」(富津⇔横須賀)をつくる計画まであるのだ
笠井 この道路は、いくらかかると見積もっているのか。
冬柴国交相 調査していない。
笠井氏は「(『アクアライン』で)失敗しておいて、調査もしていないとは、全くひどい話だ」と批判。笠井氏は、政府が東京湾口道路を含めて、全国に六カ所(伊勢湾口道路、紀淡連絡道路、豊後伊予連絡道路、関門海峡道路、島原天草長島連絡道路)も海峡横断道路の新建設を計画し、今年三月に閣議決定しようとしていると暴露した。
「(計画は)調査の段階」などと弁明する冬柴国交相に対し、笠井氏が「調査はいくらで、どんな団体がやっているのか」とただすと、平井たくや国交副大臣は、調査費が77億円にのぼることを認めたが、「発注先を特定することは困難」と繰り返すだけ。笠井氏は「税金を使った調査が、どんな団体に渡っているかも言わないのはとんでもない」と批判。独自の調べで、国交省の天下りや大手ゼネコン役員が理事をつとめる財団法人「海洋架橋・橋梁調査会」が調査を請け負っていることを明らかにして、「これでは自分たちがうまくもうかるよう調査をしていると言われても仕方ない」と、閣議決定をやめるよう求めた。とうとう冬柴国交相は「今日の議論等を踏まえて検討させていただく」と答弁せざるをえなかった(「しんぶん赤旗」同上)。
道路特定財源を湯水のように使い無謀な計画を進めるやり方を止めるためには、道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止を国民世論としなければならない。

国交省役人のカラオケセットや野球用具、マッサージチェアなどは、ほんのお遊びである。発注元の国交省OBと受注先の業界団体が一体となって、自分たちが将来請け負う仕事がうまくもうかるように税金で不必要な大型道路プロジェクトをデッチあげ、受注のあかつきには大儲けする。その過程でさまざまな口利きで道路族議員は政治献金を手にする。毎年5兆円以上の税収に群がる連中が、なにがなんでもこの利権を手放したくないはずだ。
2年間の暫定として、田中角栄首相(当時)が導入したガソリン税(租税特別措置法)の暫定税率は、その後32年間にもわたって維持され続けている。1974年以降は、5年間ごとに延長が繰り返され、現在、自公与党は、さらに10年の再延長を求めているのだ。小泉「道路公団民営化」は、民営化後の道路会社の経営を「上下分離方式」とすることによって採算度外視で道路建設を続けることを可能とした本当にしぶとい道路族に鉄槌をくだすことができるのは、国民主権だけなのだ。
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