プロメテウスの政治経済コラム

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北海道夕張市財政破綻  地方自治体を食い物にする大銀行

2007-03-25 18:22:25 | 政治経済
日本共産党の紙智子議員は3月19日の参院予算委員会で、夕張市の財政破綻をめぐり、エネルギー政策転換、交付税削減をおこなってきた政府とともに、多額の貸し込みをおこなった大銀行の責任を追求した。
紙氏が示した、みずほ銀行三菱UFJ信託銀行に関する資料によると、破綻の直接的な原因の一つとなった観光事業会計の借入残高(2006年3月)は、みずほが32億円、三菱UFJ信託が29億円で、断トツの1、2位となっている。また、みずほ銀行による貸出総残高は、夕張市の借金が急増した1998年の6億6千万円から、99年の91億円へと激増している。夕張市がホテルやスキー場を民間から買い上げようとした際、地元金融機関が「採算が取れる見込みがない」と貸し出を渋り、道も地方債発行に反対したにもかかわらず、みずほ銀行と三菱UFJ信託はいとも簡単にそれぞれ20億円、15億円の貸し出しに応じた。
なぜ大銀行は気前よく貸し出しに応じたのか。紙氏は、地方自治体への貸付金は「優良債権」として分類される実態を指摘。「赤字拡大を百も承知で貸し込んだ大銀行の責任を一体、どう思うか」と追及した。紙氏は、利率2%で計算した場合、両銀行だけで手にした利息は06年までの九年間で26億円にのぼり、さらに元金についても、道による肩代わりや、前倒し返済の仕組みをつくっていたことを暴露「市民への過酷な負担押し付けの一方、大銀行が何食わぬ顔で莫大な利息をもうけ、元金も先に返済してもらい、逃げ出そうとしている」と批判し、少なくとも借金拡大の真相が明らかになるまで、金融機関への元利返済は凍結すべきだと強く要求した。
菅義偉総務相は「あくまでも市の責任でやってきた」ことと述べ、安倍晋三首相も「市と銀行との間の問題」などと大銀行の勝手な行動を擁護する姿勢を示した(「しんぶん赤旗」2007年3月20日)。

紙智子議員が夕張問題で、みずほ銀行と三菱UFJ信託銀行の「過剰融資」の実態と、貸し手責任を追及したのにつづいて、日本共産党の大門実紀史議員は20日、参院財政金融委員会でみずほ銀行が自己の不良債権処理の負担軽減に夕張市への貸付金を利用した疑惑を追及した。大門氏は、夕張市が353億円もの赤字を抱え、道や国に支援要請しているにもかかわらず、赤字の原因の詳細や銀行との関係を明らかにせず、党の独自調査の妨害さえしたことをまず厳しく批判。そのうえで、夕張市が2002年、当時、松下グループだった松下興産から26億円で買い上げたマウントレースイ・スキー場の問題を取り上げた。この買い上げを裏で動かしたのがみずほ銀行ではないかということである。この買い上げ資金調達のため、市は地方債発行を試みたが、事業の見通しがないと道も政府も拒否し、地元金融機関も貸し出しに応じなかった。にもかかわらず、みずほ銀行は簡単に市に20億円を融資した。その理由について大門氏は、「自治体への融資はリスクゼロというだけではない、独自の動機があった」とし、当時、松下興産が四千億円もの負債を抱え、みずほが巨額融資をしていた事実を指摘。夕張市への融資で松下興産資産(マウントレースイ・スキー場)を26億円で買い取らせ、自らの松下興産への不良債権処理の負担を軽減すると同時に、利息も稼ぐという「一石二鳥」の仕組みを暴露し、「まさにみずほの自作自演であり、市も承知していたはず。だからこそ市は資料を出さないのではないか」と政府を追及した。山本有二金融担当相は「一般的には何か問題点があれば厳正に対処するしかない」と答弁した(「しんぶん赤旗」2007年3月21日)。

世界的な新自由主義の席捲のもとで、資本は、とりわけ金融資本は、自己の社会的責任を投げ捨て、いまやまさに「ハゲタカ」である。自治体の破綻(倒産)で大変な負担がおしつけられ、苦しむのはそこに住む住民である。公的サービスなしでは生きられない弱者にとっては、命にかかわる。353億円も貸し込まれたうえに破綻した夕張市とハゲタカ金融資本の暗躍は、他の自治体でも起こり得る問題なのだ。

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