植草 一秀氏によれば、現在、「日曜討論」の司会を担当している島田敏男氏と「ニュースウォッチ9」のキャスターを務める大越健介氏が、NHKを代表する偏向解説者の双璧らしい。5月17日夜のNHK番組「ニュースウオッチ9」は、野田佳彦首相をスタジオに招き、「社会保障・税一体改革」などを強引に進める首相の見解を約50分間にわたって一方的に報じた。「ニュースウオッチ9」が野田首相の言い分を無批判に報じるのは、これで3回目であった。大越氏は、3月には、番組に出演した自民党谷垣禎一総裁に、民主党の消費税増税推進の執行部と自民党が連携して、消費増税を決めてしまえということを、強引に誘導していた。大越健介氏のような、ただ上司から命令された偏向報道を喜んで実行する者がNHKの要所に起用されるのはなぜか。
その根底には、NHKへの政治支配を保障する「放送法」の仕組みがある。
メディアが実施する、人為的な操作が加えられた世論調査でも消費税増税に反対する意見が賛成意見を上回っている。メディアが消費増税について論評するのは自由だが、少なくとも、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」が求められる。
消費増税反対の主張は主に三つの視点から提示されている。
第一は、野田首相が推進する消費増税提案が、民主主義の適正な手続き=デュープロセスに反しているとするもの。
第二は、現在の経済情勢を踏まえたときに、現段階で消費増税を決定することは弊害が多いとするもの。
第三は、政府の財源調達方法として、消費増税ではなく別の道を探るべきであるとするもの。
この三つの視点のいずれか、あるいは、いくつかの組み合わせから、消費増税反対の主張が提示されている。
消費税増税反対は主権者国民の多数意見であり、各視点からの消費増税反対主張はそれぞれ根拠をもった考え方に裏打ちされているもので、消費税増税の是非について報道する際に消費増税反対論をほとんど無視するというのは明らかに偏向である。
NHKで、なぜ大越氏らのような偏向解説者が要所を占めるのか。
NHKは、放送法(昭和25年5月2日法律第132号)に基づいて設立された放送事業を行う特殊法人である。総務省(旧・郵政省)が所管する。「放送法」が「みなさまのNHK」の組織のあり方を規定しているのである。
組織を支配する源泉は何か。それは、カネとポスト=人員配置=人事権を握ることである。
NHKの最高意思決定機関は経営委員会である。
経営委員会の委員は12名である。内閣総理大臣が国会の同意を得て任命する。この12人の経営委員が互選で経営委員長を選出する【実態は政府・与党に近い位置にいる人物が、予め経営委員長含みとして経営委員に選任され、即経営委員長に「互選」されている】。
NHKの実際の運営において責任を持つのは、NHK会長、副会長、および理事から構成される理事会である。
理事は7人以上10人以内と定められている。
NHK会長は経営委員会が任命し、副会長および理事は、NHK会長が経営委員会の同意を得て任命する。
つまり、NHKの人事権の頂点に位置するのは内閣総理大臣であることがわかる。
これをNHK職員の側から見ると、自分が理事としてNHKの役員になれるかどうかを決定するのはNHK会長だが、同時に経営委員会の同意が必要だ。NHK会長は経営委員会が任命し、経営委員会の委員は内閣総理大臣が任命する。つまり、NHKのなかで、自分の出世、評価の向上を望むなら、内閣総理大臣(=政府・与党)のお気に入りでなければならい。NHKの人事権の仕組みは、基本的に政権批判ができないように仕組まれているのだ。
もう一方のカネ=予算はどうか。
NHKの毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画は、総務大臣に提出することが義務付けられている。
そして、これらは内閣を経て国会に提出され、国会の承認を受けなければならないこととされている。
逆に言えば、「みなさまのNHK」と言いながら、放送受信料を払う視聴者とは無関係に予算や事業計画を立てても、政府と国会の承認を得られれば、何の問題も生じない。政府・与党や多数党の国会議員の政治介入を容易に許す仕組みがカネの面でもつくられているのだ。
NHK経営委員会委員長の数土文夫氏が東京電力の社外取締役に内定したことが、大きな批判を生んだ。
NHKの東電報道が中立性を阻害されるというものだ。この批判は正鵠を射たものであり、数土氏がNHK経営委員長職の辞任に追い込まれたのは当然であった。
しかし、現行制度では、NHKが客観的な立場から政治権力に対して批判的検証を行い報道することは、一部の職員の良心に頼るほかなく、大越氏のような、ただ上司から命令された偏向報道を喜んで実行する者がNHKの要所に起用される仕組みがある限り、制度的に不可能である。政治権力に人事、ポスト、事業、財源のすべてを握られているNHKが政治権力批判などできるわけがないからだ。
放送法がこのように定められているのは、政治権力がNHKを政治的に利用するためである。この制度を抜本的に改革しない限り、「みなさまのNHK」が「私たちのNHK」に決してなることはない。「みなさまのNHK」の実体は「政治権力のNHK」なのだ。
時間の無駄だから、最後まで見なかった。
それにしても、スポンサーがいないからいいけど、仕事してほしい。被災者は忍耐しているけど、大越さんは遊びに行っている。常識でいいから、普通に取材して。
付和雷同、愚衆、日本男児ならなにか一本筋がほしいな。サラリーマンならもっとしっかりしてるけどな。
陳腐化すれば飽きられる。
滑稽に付き合っていると、自分が滑稽に見られるからな。
もっとましな方が、左遷されている。これも、悲しいな。
中韓といっしょにドボンか。