プロメテウスの政治経済コラム

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豚インフルエンザ騒ぎ  この種の情報操作には複眼的対応が必要だ

2009-05-07 18:33:41 | 政治経済
豚インフルエンザの感染が大騒動になっている。日本では毎時のTVニュースは新型インフルエンザ騒ぎが、常にトップニュースである。人類未経験の危険なウイルスが蔓延しているのだから、ものものしい対応をとるのは、当然である。しかし、世界での死者は5日までで、米国2人、メキシコ42人の44人。メキシコの死者が本当に新型インフルエンザによるものかどうもかなり怪しい。国連のWHO(世界保健機関)が発表する国際伝染病に関する6段階の警告表示は、数日間で「3」から「5」へと上がった。この警告表示は、2005年に鳥インフルエンザが蔓延した時に新設されたもので、07年の鳥インフルエンザの発生以来、3が続いていたが、今回初めて4に上がり、そして4月29日には、5になった。WHO当局者によれば、「近くフェーズを『6』に引き上げる方向で検討が進んでいる」という。新型ウイルスに対する警戒は怠れないが、ウイルス情報は、別の目的に使われる場合がしばしばあるので、この種の情報操作には複眼的対応が必要だ。

豚インフルエンザは、米国では、1976年に一度大騒ぎになったという。当時、豚インフルエンザが最初に発症したのは米ニュージャージー州の米陸軍基地内で、新兵が集団で発病したところから感染が始まった。米政府は大騒ぎして4000万人にインフルエンザのワクチンを予防接種したが、実際にはインフルエンザでは一人しか死亡しなかったが、ワクチンの副作用によって30人(一説には52人)が死亡してしまった。そして、当時の国防長官は若き日のドナルド・ラムズフェルドだった。ラムズフェルドは製薬会社との関係が深く、豚インフルエンザの感染が問題になった後、全米でワクチンの予防接種をする動きが、国防総省の主導で行われた(田中宇の国際ニュース解説「豚インフルエンザの戦時体制」2009年4月30日)。

鳥インフルエンザ騒ぎのときには、新型インフルエンザに効く薬として「タミフル」の備蓄が半ば、米国からの強制のような形で世界に広がったが、陰の立役者はやはりラムズフェルドだった。タミフルの特許をもっているのは、アメリカのバイオ企業ギリアド社で、ラムズフェルドは、このギリアド社の大株主であり、1997年から2001年まで同社の会長を務めていた。
イラク戦争を仕掛けたブッシュはスタンフォード石油グループ出身であり、副大統領のチェイニーは石油開発会社ハリーバートン重役、国防長官ラムズフェルドは軍事シン クタンク・ランド研究所の理事長、商務長官エバンスは石油産業トム・ブラウンの社長であった。このようにアメリカの政治権力者は、常に資本家でもある。彼らにとっては、政治は私腹を肥やすビジネスと表裏一体のものなのだ。今回の新型インフルエンザは、製薬資本にとっては、またしても千載一遇のチャンスであり、ラムズフェルドをはじめ陰でほくそ笑む者がたくさんおるのであろう

米国では、CDC(疾病対策予防センター)のほかに本土安全保障省や国防総省が対策に乗り出しているという。前掲の田中宇の国際ニュース解説によれば、事態は、911テロ事件後の米政府の対応を思わせるものものしさだ。田中さんは、911を契機に始まった米国と世界の「有事体制」が、実は軍産複合体による権限拡大・世界支配強化策の部分が大きかったように、今回の豚インフルエンザの件も、よく事態を見ていくと、有事体制を作るために必要以上の騒動を作り出している疑いがあるという。

ウイルスは、日本の731細菌部隊の例でも明らかなように軍事戦略と関係が深い。軍産複合体と製薬業界は、昔から深いつながりを持つ。伝染病は公衆衛生担当が主導して解決すべき問題なのに、米国では、それらの当局(CDC)よりも、本土安全省や国防総省が主導権を握って対応にあたっているという。本土安全省や国防総省は、社会的不安を煽ってなにを狙っているのだろうか。

今回の豚インフルエンザが、米日などの当局やマスコミが伝えるように、本当に世界的な疫病としてスペイン風邪以来の大惨事になるかもしれない。しかしその一方で、豚インフルエンザや鳥インフルエンザ、SARSなど感染病の国際的な騒ぎは、911テロ戦争と同様、米国防総省や軍産複合体による国際有事体制作りの戦略として、過剰な対策が採られている観も強い(田中宇 同上)。

フセインの大量破壊兵器の保有では、私たちは、米英政権にまんまと騙された。疫病の蔓延は何としても防止しなければならないが、米本土安全省や国防総省が表に出るときには、ただ大騒ぎするのではなく、私たちは、情報操作に別の目的が潜んでいないか疑ってみる、常に複眼的視点を持たなければならない。


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