プロメテウスの政治経済コラム

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「第二次アーミテージ報告」  日本に米軍産複合体への全面従属を迫るもの

2007-02-18 20:42:56 | 政治経済
2000年10月にアーミテージ、ナイ両氏らがまとめた第一次報告書は、憲法改悪=集団的自衛権の行使、自衛隊海外派兵の拡大、在日米軍再編などを提言した。憲法改悪の正面突破はまだ果たされていないが、集団的自衛権の見直しが検討されており、「改憲手続き法案」が今国会で成立させられる寸前まできている。防衛省法案はすでに成立し、自衛隊の海外派兵は本来任務となり、海外派兵の恒久化法も検討されている。政府は、米軍再編特措法を今国会で成立させ、札束をちらつかせて地方自治体に米軍再編協力を迫ろうとしている。アーミテージ自身、第一次報告は、「ブッシュ政権の対日政策の青写真になった」と自画自賛しているのも宜なるかなである。

「第二次報告」の大きな特徴は、日本国内での憲法改悪や自衛隊海外派兵恒久法などの「議論」を絶賛し、これをいっそう促進させようとしていることである。その狙いは、同報告が示しているように、自衛隊の速やかな海外派兵と米軍との統合軍化、つまり米軍の配下でともに海外で戦争できる自衛隊の態勢づくりである。日米の軍事的融合・一体化のための方向をより露骨に示したものだ。自衛隊の米軍産複合体への全面従属といってよい。 その一つとして、日米制服組レベルの一体化を提言している。ハワイの米太平洋軍司令部への自衛隊員常駐と、東京の自衛隊統合幕僚監部への米軍人常駐である。米統合参謀本部に将校を置いている英国やカナダなどを念頭に置いているものとみられる(「しんぶん赤旗」同上)。

これらの提言の背景に米軍産複合体が日本の財政に寄生してさらに大儲けする欲求をもっていることは明らかである。日本が最近、米日ミサイル防衛計画に参加するためにいわゆる武器輸出三原則を緩和したのはいいことだ。次の段階として、残りの禁止項目を解除すべき、通信・早期警戒・情報分野での協力を促すための宇宙の軍事利用に関心をもっていることを歓迎、米国は、できるだけ早く日本にF22戦闘機の一個中隊を配備すべき、自衛隊は現在のF15戦闘機をF18、F22、F35を含む最新鋭のシステムに更新するようにすべき。
世界の兵器の40%~50%はアメリカの軍儒産業によって製造されたものである。F22ステルス戦闘機が17日沖縄嘉手納基地に飛来したが、ボーイング社とロッキード・マーティン社の共同開発したものだ。ミサイル防衛システムは、ボーイング社を中心にTRW、レイセオンが下請けとなって進めている。これらの企業にとって日本の自衛隊は上得意である。日本はなんといっても世界第二の経済大国であり、しかもアメリカ政府のいうことにきわめて従順である。

慶応大学助教授の小熊英二さんは、『SIGHT 冬号』のインタビューで「在日米軍再編の日本政府負担額の要求は3兆円でしょう。このうえ、自衛隊をアメリカのいいように使われたら日本財政が破綻しかねないですよ」、自分に「関係ない」という学生には自衛隊が米軍と一緒に方々で戦闘したら消費税を30%にしなきゃいけないかもしれない。そこまでしてアメリカの機嫌をとりたいか?そうでないなら改憲しないほうがいいよって」話しているとのことである(「しんぶん赤旗」同上書評欄」)。

私たちは、自民・民主両党の「改憲論議」を後押しし、対アジア政策の核としての日米同盟強化と、米国軍需企業の利益拡大を図ろうとする米軍産複合体の要求=「第二次アーミテージ報告」を受け入れるわけにはいかない。
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