玉飛接近

右玉&左玉、ときどき詰将棋

基本手筋集(1)

2012年11月20日 | 右玉
今回は右玉の基本手筋集パート1(対居飛車編)。

1.継ぎ歩のカウンター

第1図は私の将棋。後手が△7五歩と仕掛けてきたところです。

▲同歩△同角▲5八金△7三銀▲2五歩△7四銀▲6五歩△同銀▲2四歩△同歩▲2五歩△同歩▲同飛(結果1図)

△7四銀に▲6五歩と餌を撒くのがポイント。△同銀にはすかさず▲2四歩~▲2五歩の継ぎ歩で十字飛車を狙います。
ココセではなく相手の方のうっかりで技が決まってしまいましたが、実戦でここまで上手くいくことはありません。とはいえ、継ぎ歩からの十字飛車は常に意識しておくといいでしょう。

2.△6九角への返し技

第2図は▲4八玉に△6九角と打たれた局面。
この角打ちが怖いので▲5八金から行く人が多いと思いますが、返し技があります。

▲5八金△7八角成▲同銀△8八金▲5六角△8七金▲2五桂(結果2図)

△8八金までは必然の進行。これに対し、▲5六角~▲2五桂が右玉の返し技。
銀が逃げれば▲1三桂成~▲8三歩、銀を取れば▲3三桂成~▲8三銀で飛車を押さえ込めます。
なお、この順は3三銀+7三歩型でのみ成立する技ですのでご注意を。

3.棒銀へのカウンター

第3図は私の将棋。後手が居玉のまま棒銀で攻めてきました。

▲6五歩△7五歩▲6六角△8六歩▲同歩△7六歩▲同銀△8六角▲4八玉△7三銀(結果3図)

棒銀には▲6五歩と角の利きを通すのがカウンターへの第一歩。△7五歩には▲6六角と上がり銀を睨みます。△7六歩に▲同銀と応じ、△7二飛には▲8四角の王手。実戦では△8六角と王手をしてきましたが、▲4八玉と逃げて陣形が完成。この後、後手の角を殺して右玉の圧勝となりました。
棒銀には▲6五歩~▲6六角と覚えて下さい。

4.飛車の捕獲

第4図は私の将棋。基本手筋ではありませんが、右玉党が見逃しがちな技があります。

▲9七角△7六飛▲8七金△7八飛成▲7七金△5八龍▲同玉(結果4図)

▲8七歩と謝る手もありますが、ここは勇気をもって踏み込みます。
ただでさえ薄い玉なのにさらに薄くなってしまいましたが、右玉有利で戦えます。

5.早逃げ

第5図は右玉対居飛車穴熊の終盤。「玉の早逃げ八手の得」の格言が活きます。

▲4八玉△1七歩成▲2四歩△2七と▲2五桂△2六角▲5七玉(結果5図)

すぐに▲2四歩と指したいですが、その前に▲4八玉と早逃げするのが好手。△2七とが王手にならないのが大きい。△2六角の王手に▲5七玉と安全地帯に逃げ込むことに成功し、強く戦えます。

雁木型左玉(高田流左玉)の組み方

2012年11月15日 | 左玉
今回は雁木型左玉(高田流左玉)の組み方の一例を紹介(題材は私の将棋)。

1.△4四角型
▲7六歩△3四歩▲6六歩△6二銀▲1六歩△1四歩▲6八飛△5四歩▲4八玉△5三銀▲3八銀△4四歩▲7八銀△3二銀▲3九玉△4五歩(第1図)

6六歩型なので3二銀のまま位を取りましたが、4三銀としてから突くのが普通です。

▲6七銀△4四角▲5六銀△3三桂▲5八金左△4三銀▲7七角△3五歩(第2図)

4四角~3三桂~4三銀と雁木の厚い形が完成。
3五歩と突くのが早く欲張りすぎですが、5六銀型なので早めに突きました。

▲8六歩△2二飛▲8五歩△2四歩▲8八飛△7二金▲8四歩△同歩▲同飛△8三歩▲8六飛△2五歩▲2八玉△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△2一飛▲7五歩△5二金▲9六歩△4二玉(第3図)

長手数進めましたが、これで左玉が完成。

2.角交換型
▲7六歩△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八飛△5四歩▲4八玉△4四歩▲5八金左△5三銀▲6五歩△3二銀▲3八玉△4三銀▲2八玉△4五歩(第4図)

6五歩と突かれているので、銀を上がってから位を取ります。

▲2二角成△同飛▲8八銀△7二金▲3八銀△3五歩▲7七銀△3三桂▲1六歩△1四歩▲6六銀△5二金▲9六歩△2四歩▲9五歩△2五歩▲7五歩△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△2一飛▲7七銀△4二玉(第5図)

長手数進めましたが、これで左玉が完成。
今回も3五歩のタイミングが早いですが、美濃囲いが完成したので突いてみました。

後手番での組み方を紹介しましたが、先手番でも組み方は変わりません。
また、私は序盤の早い段階で3五歩を突きますが、普通は陣形が完成した後で突く場合と突かない場合とに別れるので、今回の駒組みよりも1手早く左玉が完成します。
皆さんには3五歩を突かない駒組みをお勧めします。

左玉のバイブル

2012年11月13日 | 左玉
今回は左玉関連書を紹介。

■バイブル

1.高田尚平『高田流新感覚振り飛車破り』[絶版]
 『週刊将棋』の連載を纏めた、高田尚平六段による「変幻位取り」と「高田流左玉」の解説書。
 実戦を基にした解説で、高田流を指す人は必携の書。

■『高田流新感覚振り飛車破り』以外で左玉について書いている棋書

 2.小林健二『続・[定跡]相振り飛車』[絶版]
  相振り飛車の定跡本。
  第3章「穴熊攻略最新型編」で左玉を実戦を基に解説(先手2パターン、後手1パターン)。

 3.週刊将棋編『我が道を行く定跡の裏街道』[絶版]
  B級戦法本。
  第1章第6節で「睨み倒しの位取り」として左玉を解説。

 4.田丸昇『振り飛車破りユニーク戦法』
  左玉使いとしても知られる田丸昇八段によるマイナー戦法での振り飛車破り本。
  第5章で対美濃・対金無双の指し方を解説。

 5.週刊将棋編『痛快!ワンダー戦法』(毎日コミュニケーションズ)
  B級戦法本。
  第1章で「右四間6筋位取り」「対升田式・地下鉄飛車」という変則左玉を紹介。

 6.細川大市郎『とっておきの右玉』(毎日コミュニケーションズ)
  第2章「先手右玉6七銀型対振り飛車」で角交換型左玉を解説。
  角換わり右玉の本ですが、角交換型左玉を解説している唯一の本なので要チェック。

 7.新井田基信『新ニーダの定跡研究』[絶版]
  『アマレン』の連載を纏めた小冊子。
  「高田流」(初出は02年10月号)で石田流からの速攻を解説。

■左玉について書いているサイト

 8.ポカ将棋道場
  「5七銀・6七銀の戦陣」で左玉を紹介。

 9.戦術と局面の検証室
  高田流左玉、変則左玉の棋譜があります。

 10.Hanon's Memorandum
  変則左玉の記事・棋譜があります。

 11.右玉最前線
  右玉の解説がメインのblogですが、高田流左玉の記事もあります(実戦譜あり)。

歩の判断

2012年11月09日 | 右玉
今回は端歩と飛先の歩について。

1.端歩

端歩を受けるのが右玉の基本です。
特に対居飛車の場合は玉側の歩は必ず突くものと思ってください。玉の広さが違います。
対振り飛車の場合は読みを入れた上で判断するとしか言えない(対振り飛車右玉の玉側の端歩の判断はとても難しい)のですが、個人的には囲いが完成している場合は突いてもいいと思っています。端攻めを食らう可能性がありますが玉の広さが違いますし、入玉する時に有利に働く場合があるからです。
角側の歩ですが、対居飛車・対振り飛車ともに急戦以外は突く(または受ける)のが基本です。

2.飛先の歩

飛先の歩を▲2六歩のままにするのか、▲2五歩と突き越すのかは非常に難しい問題です。
実戦経験を積んで自分なりの基準を作るしかないのですが、参考までに私の判断基準を書きます。
と言っても、基本的に▲2六歩と突くタイミングの判断(→ここ)と変わりません。
 1.相手玉の位置・囲い
 2.急戦の有無
それぞれについての説明です。
まず1。玉の位置については以前書いたので、今回は囲いについて書きます。
 ・矢倉……先攻できる場合は▲2六歩保留先攻されそうな場合は▲2五歩と突き越す
 ・菊水矢倉……▲2五桂と跳ねるため▲2六歩保留
 ・左美濃……銀冠への組み替えを阻止するため▲2五歩と突き越す
 ・ミレニアム……上部を厚くさせないため▲2五歩と突き越す
 ・穴熊……▲2五桂と跳ねるため▲2六歩保留
次に2。以前、急戦の有無は相手の右銀の位置・動きで判断すると書きましたが、今回はそれの延長線上の判断となります。囲い完成後の急戦(矢倉+斜め棒銀or7五での1歩交換)に対してのみ▲2五歩と突き越すことを考えます。これは継ぎ歩攻めのカウンター(基本手筋集で紹介します)を入れるためです。▲2六歩保留のままでも戦えるのですが、継ぎ歩攻めは終盤に利くこともあるので、突き越した方が得です。

以上が私の基準ですが絶対にこう指さなければならないというわけではありませんので、実戦経験を積んで皆さん独自の判断基準を作ってください。

玉の囲い方

2012年11月07日 | 右玉
今回は玉の囲い方について。


基本図からの玉の囲い方を4パターン紹介します。
「○手囲い」で統一しましたが便宜上のものなので、正式名称ではありません。
皆さんの好きなように呼んでください。


(基本図から)5八金→2九飛→4八玉で完成。
「3手囲い」は戦場に1路近いのが短所ですが、手早く完成するのが売り。


(基本図から)4八玉→2九飛→3八玉→4八金で完成。
「4手囲いI型」は、スタンダードな囲い方。
4八玉の瞬間に6九角と打たれる隙が生じますが、返し技があるので大丈夫(基本手筋集で紹介します)。


(基本図から)5八金→2九飛→4八玉→3八玉で完成。
「3手囲い」から右に1路玉が寄った形。
バランスがとれ、見た目もかっこいい(笑)。銀の退路がないのが短所。


(基本図から)5八金→2九飛→4八玉→3八玉→4八金で完成。
「4手囲いII型」から右に1路金が寄った形で、1手遅れて「4手囲いI型」と同形になります。

以上、玉の囲い方を4パターンを紹介しましたが、どれを選択するかで戦い方が変わります。
1手の違いが大きく影響するのでどう囲うか迷いますが、状況に応じてとしか言えません。