パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

直立不動

2010-03-06 15:01:26 | Weblog
 バッキンガム宮殿の衛兵とか、大企業の受付の横に、制服姿の凛々しい青年が直立不動で立っている。

 どれくらいの時間,立っているのか知らないが、仮に1時間でとりあえず交代としても、1時間直立不動は大変だ。

 とても、私にはできない。

 と思っていたのだが、ためしに真似てやってみたら、これが意外や意外。

 1時間というわけにはいかなかったが、以前のように、足ふみしたり、屈伸運動したりしてた時より、確実に時間が早くたってくれる。

 じたばたしたって、時間は過ぎてくれない。

 意外に、私の個人的特性が「直立不動」に適しているということなのか、それとも、一般的に、じたばたするより、直立不動でどっしり構えていたほうがいいということなのか。

 ともかく、ひとつの発見ではある。

 ディランにも「監視塔をめぐって」という名曲があるし、欧米では、「見張り」「門番」などのコンセプトが、特に前衛的芸術のテーマになっている。

 カフカなんか典型だが、これまで、まったく否定的に考えていた。

 たとえば、「審判」も「城」も官僚制度に対する批判という側面でしか考えてこなかったが、だったら、面白い結論も出てこない。

 ともかく、これまで考えてもみなかったことなので、ちょっとみたいが、それでも、目の前に誰もいなくなってしまう夜中はきつい。

 「見張り」の意味がなくなってしまうからだが、ところがそんな状況でも、1時間に一人は、どこからかひょこっと姿を現すので、「見張り」の意味がまったくなくなるわけではない。

 それが「見張り」なのだといっても、やはりしんどいよ~、である。