
文句なしの傑作!
ここ数年間に観てきた映画の中で一番好きです。
数多くの映画やドラマ・小説や漫画を観なくても、この1本だけで、殆ど満たされる。そんな感じです。
しばらくは他のものを観なくても、この感動を反芻していれば大丈夫…かな?
〈ストーリー〉
高校2年生(17歳)の少女・紺野真琴(声・仲 里依紗)は、明るく元気、楽天的な性格。
クラスメートの男子ふたり、間宮千昭と津田功介と、放課後に野球のノックをしながらたわいのない話をするのが毎日の楽しみ。
この楽しい友達関係は、ずっと続くものと思っていた。7月13日までは…。
その日、真琴は、ブレーキの故障した自転車で遮断機の下りた踏切に突っ込んだ。
「死ぬ!」と思った瞬間、真琴の体は数分間前にタイムリープしたのだ。
特殊能力を身につけた真琴は、自分の望む通りになるよう、同じ時間を何度もリプレイする。
そうやって、なにもかもが順調に行くかと思われた。
が、自分が順調な分、そのシワ寄せが他の誰かのところに行っていることに気づく。
さらに…、千昭や功介との友情関係にも微妙な変化が…。
(細田守監督作品/98分)
原作は、筒井康隆氏のジュブナイル小説「時をかける少女」。
過去に何度も映像化されてます。
もっとも代表的なのが1983年公開の大林信彦監督の映画「時をかける少女」(主演・原田知世)。
しかし、今回ついに、それを超える作品が現れました。
この映画のどこが良いか? と聞かれたら「すべて!」と答えるしかありません。
主人公・真琴の躍動感・感情表現の豊かさ。
ふたりの男子との距離感の描き方の上手さ。
商店街のざわめきや踏切の音から伝わる日常のリアル感。
空の青さ、入道雲の白さ、グラウンド、体育館、堤防…。それら自体が喜びや切なさを体現しているようで、感性を刺激されます。
…これらのリアリティによって、我々観客は真琴と一体になり、ともに笑い、泣き、駆けることになります。
真琴が慕う叔母さんが、旧作(オリジナル)の主人公・芳山和子だという設定も心憎いです。
友情が恋愛に変わっていく過程の、心の描写も見事。
青春映画の部分だけ見てもかなり良いです。
が、しかし、ここにタイムリープという設定を加えたことで、その青春期がかけがえの無い大切なものであることを、いっそう明確に際立たせます。
二度と繰り返せないはずの時間をやり直し、もっとも望む結果を得ようとする真琴。
最初はたわいない自分の欲求を満たすだけで満足していた真琴は、やがて自分の行動が周りに及ぼす、望ましくない影響に直面します。
自分の身に起きることは取りも直さず、同じ時間という器の中での、自分ではない〝誰か〟との繋がりの中で形成されていくわけですから、自分が得をすれば誰かが損をするのは必然です。
そしてさらに、
永遠に変わらないと信じていた〝今〟(千昭や功介との関係性)さえも、時間の流れは容赦なく変貌させていきます。
留めようと躍起になってタイムリープを繰り返しても、真琴の前にはすぐに新たな〝今〟が出現してしまいます。
何度修復を試みても、満たされることは決して無く、やがてその行為は最悪の結果に結びついてしまいます。
そこから、真琴も、我々も学びます。
過ぎた過去を憂えたり、未だ見ぬ未来を悲観するのではなく、常に新しい〝今〟と真摯に向き合うこと。
〝今〟の自分の〝意識〟が変われば、もう決定付けられた過去からも別の意味合いを掬い取ることが出来るし、今から理想の未来をスタートさせることも出来る。
歪んだ時間を最終的に修復出来るのは、タイムリープの能力ではなく、意識の作用によるのだということ。
意識が伴って初めて、タイムリープの能力はその本来の役割を発揮するのだということを。
そんな意識を抱きつつ迎える終盤、物語は加速し、最良の方向を目指します。
が、それは切なく、溢れる涙を抑えることが出来ません。
最終的に物語は、表面上、本来の時の流れに戻って終わります。
が、真琴も我々も、〝意識〟に大きな科学変化を起こしたはずです。
でなければ、こんなに清々しい訳がないですから。
必見です!
ここ数年間に観てきた映画の中で一番好きです。
数多くの映画やドラマ・小説や漫画を観なくても、この1本だけで、殆ど満たされる。そんな感じです。
しばらくは他のものを観なくても、この感動を反芻していれば大丈夫…かな?
〈ストーリー〉
高校2年生(17歳)の少女・紺野真琴(声・仲 里依紗)は、明るく元気、楽天的な性格。
クラスメートの男子ふたり、間宮千昭と津田功介と、放課後に野球のノックをしながらたわいのない話をするのが毎日の楽しみ。
この楽しい友達関係は、ずっと続くものと思っていた。7月13日までは…。
その日、真琴は、ブレーキの故障した自転車で遮断機の下りた踏切に突っ込んだ。
「死ぬ!」と思った瞬間、真琴の体は数分間前にタイムリープしたのだ。
特殊能力を身につけた真琴は、自分の望む通りになるよう、同じ時間を何度もリプレイする。
そうやって、なにもかもが順調に行くかと思われた。
が、自分が順調な分、そのシワ寄せが他の誰かのところに行っていることに気づく。
さらに…、千昭や功介との友情関係にも微妙な変化が…。
(細田守監督作品/98分)
原作は、筒井康隆氏のジュブナイル小説「時をかける少女」。
過去に何度も映像化されてます。
もっとも代表的なのが1983年公開の大林信彦監督の映画「時をかける少女」(主演・原田知世)。
しかし、今回ついに、それを超える作品が現れました。
この映画のどこが良いか? と聞かれたら「すべて!」と答えるしかありません。
主人公・真琴の躍動感・感情表現の豊かさ。
ふたりの男子との距離感の描き方の上手さ。
商店街のざわめきや踏切の音から伝わる日常のリアル感。
空の青さ、入道雲の白さ、グラウンド、体育館、堤防…。それら自体が喜びや切なさを体現しているようで、感性を刺激されます。
…これらのリアリティによって、我々観客は真琴と一体になり、ともに笑い、泣き、駆けることになります。
真琴が慕う叔母さんが、旧作(オリジナル)の主人公・芳山和子だという設定も心憎いです。
友情が恋愛に変わっていく過程の、心の描写も見事。
青春映画の部分だけ見てもかなり良いです。
が、しかし、ここにタイムリープという設定を加えたことで、その青春期がかけがえの無い大切なものであることを、いっそう明確に際立たせます。
二度と繰り返せないはずの時間をやり直し、もっとも望む結果を得ようとする真琴。
最初はたわいない自分の欲求を満たすだけで満足していた真琴は、やがて自分の行動が周りに及ぼす、望ましくない影響に直面します。
自分の身に起きることは取りも直さず、同じ時間という器の中での、自分ではない〝誰か〟との繋がりの中で形成されていくわけですから、自分が得をすれば誰かが損をするのは必然です。
そしてさらに、
永遠に変わらないと信じていた〝今〟(千昭や功介との関係性)さえも、時間の流れは容赦なく変貌させていきます。
留めようと躍起になってタイムリープを繰り返しても、真琴の前にはすぐに新たな〝今〟が出現してしまいます。
何度修復を試みても、満たされることは決して無く、やがてその行為は最悪の結果に結びついてしまいます。
そこから、真琴も、我々も学びます。
過ぎた過去を憂えたり、未だ見ぬ未来を悲観するのではなく、常に新しい〝今〟と真摯に向き合うこと。
〝今〟の自分の〝意識〟が変われば、もう決定付けられた過去からも別の意味合いを掬い取ることが出来るし、今から理想の未来をスタートさせることも出来る。
歪んだ時間を最終的に修復出来るのは、タイムリープの能力ではなく、意識の作用によるのだということ。
意識が伴って初めて、タイムリープの能力はその本来の役割を発揮するのだということを。
そんな意識を抱きつつ迎える終盤、物語は加速し、最良の方向を目指します。
が、それは切なく、溢れる涙を抑えることが出来ません。
最終的に物語は、表面上、本来の時の流れに戻って終わります。
が、真琴も我々も、〝意識〟に大きな科学変化を起こしたはずです。
でなければ、こんなに清々しい訳がないですから。
必見です!
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楽しい“今”が永遠に続いてほしいという思いは誰もが持つものですよね。でも人が成長していくうえではこの思いは時に叶わぬものにもなってしまいます。
前に進むことによって楽しい“今”が終わってしまう怖さはありますが、でもそれに向き合うことの大切さが主人公紺野真琴を通して心まで響いてきましたね。
久しぶりに何度でも見たい、そしてずっと忘れたくない映画に出会えたと思いましたよ。
映画を観た時の感動を再び呼び起こしてくれるような、
響きのある感想です。グッときました。
TB頂いたことに本当に感謝です。ありがとうございますッ!
瑞々しい登場人物たちと、青空のように爽やかで清々しい映像、そして物語の良さ。
本当に、どれをとっても申しぶんないですね。
ゲ○戦記などより、こういう作品を海外の映画祭などに出品して欲しいですね。
でも、最後に真琴は、変わっていくこと・成長していくことを肯定的に受け入れます。
留まってくれないからこそ、常に新しい“今”を大切にしたい。
そうしながら、私たちも未来へ向かって行きたいですね。
私もまた観に行きたい映画です。
zooquieさんのブログの記事も、ストレートに気持ちが伝わって来てググッと来ますよ。
でも本当に、この感動はずっと大切にしたいですね。
今後もよろしくお願いします。
この感動を反芻していれば大丈夫という気持ち、よくわかります。
これからもよろしくお願いします。
この作品のコメントを頂けるのがいちばん嬉しいです。
これほど誰もが絶賛する映画って滅多にないですね。本当に傑作です。
多くの人に観てもらいたいですね。
ところで、かみぃさん。
「犬神家の一族」の制作に携わられていたんですね。すごいです。
公開したら観に行かせていただきます。
楽しみです。
そんなにいいのかあ。
シキシマ博士がそこまで言うならチェック入れておかねばなりませんね。
原田知世版は観てないです。(^o^;
とにかく超えたんですね?
超えたんですよー!
これを観ずして今年の映画は語れないです。
こっちゃんも観ればきっと、金犬賞をあげちゃいたくなると思うよ。
ホントにお勧めです!
シキシマ博士ももう1回観に行く予定でーす!