久しぶりの映画レビューは「カーズ」です。
ピクサーの作品は大好きで、DVDも何枚か持っています。
「トイ・ストーリー」「トイ・ストーリー2」「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」
どれも、CGの技術も然ることながら、常に肯定的なメッセージを送り続けていることに好感を持ちます。
が、好きなのでよく観ていると、ストーリーがどれも類型的なことが気になって来ます。
〝一人では困難なことも皆が協力し合えば乗り越えられる〟と言う、いつも判で押したような同じメッセージ。
それは繰り返し唱えてもよい大切なメッセージだし、高いレベルでのマンネリだから、私は一応、好意的に観ているんですけどね。
今回の「カーズ」はいままでの作品に比べ、どの程度マンネリでどの程度新しいのか、期待と不安がありました。
既に観た何人かからも、絶賛とイマイチの両方の感想を聞いていましたから。
〈ストーリー〉
自動車レーサー(というより、車そのものです)の新星、ライトニング・マックィーン。
彼は飛ぶ鳥を落とす勢いで、デビュー1年目にして「ピストン・カップ」優勝という快挙を狙っている。
自分の力を過信し、仲間の声に耳を貸さず、独力で優勝できるものと思っていた。
しかし結果はマックィーンを含む3台が同着。日時と場所をあらため、優勝決定戦が行われることになった。
そのレーシング会場へ向かう途中、道を間違えたマックィーンが迷い込んだ、ルート66沿いの小さな町〝ラジエーター・スプリングス〟
最初は早くここを抜け出しレーシング会場に向かうことだけを考えていたマックィーンも、時代に取り残されたようなその町で、しだいに人…じゃなくて、車の心の温かみを知っていく…
まず冒頭、いきなりリアルで迫力あるレースのシーンから始まり、今までのピクサー作品とはすこし趣きが違うのかなと思いました。
そして、そのあと出てくるルート66沿いの風景は、きっと日本で言えば「ALWAYS 三丁目の夕日」に当たる郷愁を、アメリカに置き換えれるとこんな感じになるのかなと思いました。
とにかく、映像的には申しぶんないです。
全編、登場するのは擬人化した自動車だけ。この物語の世界は自動車だけが住む世界という設定で、人間や他の生き物はいっさい登場しません。どうやら子供も存在しない世界のようです。
これに違和感を持ってしまうかどうかで、この作品の好き嫌いは分かれると思います。私は大丈夫でした。
と言うより、いままでのピクサー作品には人間世界も描かれていたので、どうしても‘トイ’や‘モンスター’側の気持ちに成り切れず、人間の立場のまま見ていた部分があったのですが、今回は‘車’に成り切って見ることができました。
実は、これは重要なことだと思います。
私は、これによって、かつてのピクサー作品とは違うテーマに出会えた気がします。
自分ではないものの立場で、古き時代を振り返る。
誰にも負けず先頭を走り、金を得て、名声を得てきたアメリカが忘れてきた大切なもの。それを車の気持ちで振り返るのです。
描き出されたのは、〝古き良きアメリカの再生〟への願いでした。
これは普通に人間の立場で唱えれば、説教っぽくなるだろうし、素直に聞いてもらいにくいメッセージでしょう。
車の気持ちで、というのは巧いですね。
確かにストーリーは変わり映えのしないいつものパターンに見えますが、最初のほうの「自分さえ良ければ」というマックィーンの姿勢は、今のアメリカにも重なって見えます。
そのマックィーンが、ノスタルジックな車たちと風景に出会う中で、忘れていた大切なものを見つけて行くのです。
そういう観かたでこの作品を観てしまうと、いつもと同じ〝皆が協力し合えば困難を乗り越えられる〟という定番の物語でも、その先に目指すものが、今までと同じとは言えない気がしてきました。
ピクサーなりの手法で、今の病んだアメリカの軌道を正そうとしているように見えます。
社会が抱える様々な問題を直接的に語る映画はありますが、それと同等のメッセージを、私はこの映画の中に見つけることが出来ます。
作品としての完成度という点で「モンスターズ・インク」に及ばなかったかも知れませんが、ピクサーは新しい段階に進んだ気がします。
次回作の中からはどんなメッセージを見つけ出せるのか、今から楽しみです。
ピクサーの作品は大好きで、DVDも何枚か持っています。
「トイ・ストーリー」「トイ・ストーリー2」「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」
どれも、CGの技術も然ることながら、常に肯定的なメッセージを送り続けていることに好感を持ちます。
が、好きなのでよく観ていると、ストーリーがどれも類型的なことが気になって来ます。
〝一人では困難なことも皆が協力し合えば乗り越えられる〟と言う、いつも判で押したような同じメッセージ。
それは繰り返し唱えてもよい大切なメッセージだし、高いレベルでのマンネリだから、私は一応、好意的に観ているんですけどね。
今回の「カーズ」はいままでの作品に比べ、どの程度マンネリでどの程度新しいのか、期待と不安がありました。
既に観た何人かからも、絶賛とイマイチの両方の感想を聞いていましたから。
〈ストーリー〉
自動車レーサー(というより、車そのものです)の新星、ライトニング・マックィーン。
彼は飛ぶ鳥を落とす勢いで、デビュー1年目にして「ピストン・カップ」優勝という快挙を狙っている。
自分の力を過信し、仲間の声に耳を貸さず、独力で優勝できるものと思っていた。
しかし結果はマックィーンを含む3台が同着。日時と場所をあらため、優勝決定戦が行われることになった。
そのレーシング会場へ向かう途中、道を間違えたマックィーンが迷い込んだ、ルート66沿いの小さな町〝ラジエーター・スプリングス〟
最初は早くここを抜け出しレーシング会場に向かうことだけを考えていたマックィーンも、時代に取り残されたようなその町で、しだいに人…じゃなくて、車の心の温かみを知っていく…
まず冒頭、いきなりリアルで迫力あるレースのシーンから始まり、今までのピクサー作品とはすこし趣きが違うのかなと思いました。
そして、そのあと出てくるルート66沿いの風景は、きっと日本で言えば「ALWAYS 三丁目の夕日」に当たる郷愁を、アメリカに置き換えれるとこんな感じになるのかなと思いました。
とにかく、映像的には申しぶんないです。
全編、登場するのは擬人化した自動車だけ。この物語の世界は自動車だけが住む世界という設定で、人間や他の生き物はいっさい登場しません。どうやら子供も存在しない世界のようです。
これに違和感を持ってしまうかどうかで、この作品の好き嫌いは分かれると思います。私は大丈夫でした。
と言うより、いままでのピクサー作品には人間世界も描かれていたので、どうしても‘トイ’や‘モンスター’側の気持ちに成り切れず、人間の立場のまま見ていた部分があったのですが、今回は‘車’に成り切って見ることができました。
実は、これは重要なことだと思います。
私は、これによって、かつてのピクサー作品とは違うテーマに出会えた気がします。
自分ではないものの立場で、古き時代を振り返る。
誰にも負けず先頭を走り、金を得て、名声を得てきたアメリカが忘れてきた大切なもの。それを車の気持ちで振り返るのです。
描き出されたのは、〝古き良きアメリカの再生〟への願いでした。
これは普通に人間の立場で唱えれば、説教っぽくなるだろうし、素直に聞いてもらいにくいメッセージでしょう。
車の気持ちで、というのは巧いですね。
確かにストーリーは変わり映えのしないいつものパターンに見えますが、最初のほうの「自分さえ良ければ」というマックィーンの姿勢は、今のアメリカにも重なって見えます。
そのマックィーンが、ノスタルジックな車たちと風景に出会う中で、忘れていた大切なものを見つけて行くのです。
そういう観かたでこの作品を観てしまうと、いつもと同じ〝皆が協力し合えば困難を乗り越えられる〟という定番の物語でも、その先に目指すものが、今までと同じとは言えない気がしてきました。
ピクサーなりの手法で、今の病んだアメリカの軌道を正そうとしているように見えます。
社会が抱える様々な問題を直接的に語る映画はありますが、それと同等のメッセージを、私はこの映画の中に見つけることが出来ます。
作品としての完成度という点で「モンスターズ・インク」に及ばなかったかも知れませんが、ピクサーは新しい段階に進んだ気がします。
次回作の中からはどんなメッセージを見つけ出せるのか、今から楽しみです。
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いまからDVDのコレクションに入れようと楽しみに待っている映画です。
やっぱクルマもの。
走ってるシーンが一番輝いて見えました!
ブログにコメント&TBありがとうございました。
シキシマ博士さんとほとんど同じ感想を持っています。
レビューのキーワードまで同じですね。
なんだか、嬉しいですね。
「マンネリだ」「ワンパターンだ」という声も聞いていたんですけど、やはり観て良かった。
新しいこともちゃんとやってくれてましたね。
あの雄大な風景の中での車たちの疾走感、ノスタルジックな雰囲気は、いままでのピクサー作品には無かったと思います。
そこから浮かび上がってくるテーマも、いままでとちょっと違ってましたね。
大満足です!
こちらこそ、自分と同じような見方をしている人がいるというのは心強いです。
日本が昭和ブームなのと同じように、アメリカでも古い中の良いものを再認識しようとしているのかも知れませんね。
この映画、ただ先を急ぐよりも、とどまってまわりの仲間を見ることの大切さに気づかせてくれました。
これからもよろしくお願いします。