明日へのヒント by シキシマ博士

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「めがね」  足るを知る

2007年10月17日 23時00分05秒 | 明日のための映画
めがね
あの「かもめ食堂」の荻上直子監督の最新作と聞いた時から、絶対に観ることに決めていました。
しかも、出演者には「かもめ食堂」の小林聡美もたいまさこが引き続き登場。
もう、これは期待しないわけにはいかないでしょう!
さて、実際に観た感想は?

春のまだ浅い頃。
ある南の海辺の空港に、持ち物は小さなバック一つという身軽ないでたちの女・サクラ(もたいまさこ)が降り立つ。
慣れた足取りで、まっすぐに浜を歩いていく。
時を同じくして、大きなトランクを引きずりながら、タエコ(小林聡美)という女が降り立つ。
頼りない手書きの地図を片手にタエコが辿り着いたのは、ろくな表札さえ無い小さな宿・ハマダ。
周りには、寄せては返す波と、サクラが始めたカキ氷屋以外に何も無い。携帯電話も圏外。
観光をしたいと申し出るタエコに、ハマダの主人・ユージは、「観光する所なんてありませんよ」と告げる。
ここには〝たそがれる〟こと以外に何も無いと…。
(106分)


私としては、「かもめ食堂」を超えるほど心に染み入る作品にはならなかったです。
でも、作品自体は素敵です。
このシンプルさで満足できるほどの境地に、まだ私のほうが辿り着けていないということでしょう。

「かもめ食堂」と同様で、なぜタエコがここへやって来たかなど、登場人物についての詳細な説明はありません。
だから観客は、そこに自分自身の姿を投影するなど、自由に想像することができるのです。
最初はこの地の空気感に戸惑うタエコが、しだいにこの地に馴染んでゆったりしていくように、観る者もまた心をほぐしていくことでしょう。
言ってしまえば、それだけの映画です。

でも、どうすれば心をほぐしてゆったりできるのか、その方法を押し付ける映画でもありません。
ただ、登場人物たちが〝たそがれる〟姿を淡々と見せるだけで、そこから何かを感じ取るか取らないかも、観客に委ねられます。

いくつも、心のタガを外してくれる場面がありますが、私がもっとも印象的に感じたのは、サクラさんがタエコに重いトランクを手放させるシーンです。
私はこのシーンを観ながら、「かもめ食堂」でもたいまさこさんが演じたマサコさんを思い出していました。
フィンランドの空港でなくした旅行鞄がやっと見つかり、中身を覗くシーンです。
サクラさんとマサコさんは同一人物のような気がします。
フィンランドの経験があるからこそ(鞄の中身なんて大したことないと知ってるからこそ)、躊躇なくタエコに捨てさせることが出来たんじゃないかと…。なんてね。

このあとの、タエコを乗せたサクラさんの自転車がゆっくりと画面を横切っていくシーンは、お伽噺か何かのようでしたね。素敵でした。

私たちの暮らしは、携帯電話、パソコン、DVDレコーダーなど、便利な物で溢れているけれど、そういう物では決して心が満たされることはありませんね。物欲というものは際限がないから。
生きていくために本当に不可欠な物なんて、そう多くはないはず。
余計な物を手放せば、様々なしがらみからも開放され、風通しが良くなるんでしょうね。
そんなゆったり感の中で、はじめて見つかるものだけが、きっと本当に心を豊かにしてくれるんだと思います。

この世で一番の贅沢は、あらかじめ意味や答えを用意しないってことだと確信するから。
だから、どんなに忙しくても、(いや、忙しいからこそ)こういう時間を持ちましょう!



この機会に、荻上直子監督の作品をDVDで観てみましょう!

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