河川敷の土手には、A環状鉄道の高架が通っていた。丁度水管橋と数十メートルを隔てて並行している。
その高架の脇のコンクリートのスロープに、丸山運送の10トンユニック車を停車させ、A用水K水管橋の管内面塗装の剥離テストを行う。
今回は極短時間のテスト工事なので、機材をトラックに積んだまま行うことになっていた。
「なんや?例の防音カバーは使わへんのか?」
現場の中を、あまり似合わない作業着とヘルメットでブラブラ歩いていた渡が、トラックの荷台でいつもの様にむき出しになっているハスキーを見て言った。
「最初はそのつもりだったんですけど、防音カバーを装備すると、重量は1.5トン増量になる上に、馬鹿でかくなって機材一式がトラック一台じゃ納まらないんですよ」
「そうか、で、今日は騒音の方は大丈夫か?」
渡は心配そうに土手の向こうにある民家を見ている。
「ま、たかが数m2ですからね、十分も掛からないから大丈夫だと思いますよ。しかもここから民家まで少しだけ距離がありますからね。もちろん本番の工事をやるならそうは行きませんけどね」
私は渡に答えながら、ハスキー周りのセットアップを完了させた。
「木田君、中の準備は完了だよ」
小磯とハルも管内から上がって来る。
「ガン一本だと、段取りが早くてイイね。木田さん、今日は誰が撃つのよ?」
「お前が撃つか?」
小磯がハルに一応訊く。
「いいよぉ、俺は、こういうのはいつも小磯さんの役目でしょ」
「がはははは、分かったよ」
ハルは最初から、今日はガンを撃つつもりは無かったらしい。
「じゃ、小磯さん、お願いしますね」
「ま、俺しか居ないか」
小磯はそう言いながらも、満更ではない顔をしている。
小磯は『デモ工事』とか、『テスト工事』という名前が付くイベントが大好きだ。なぜなら必ずウォータージェットの物珍しさから、大勢の見学者が居て、注目を浴びながら仕事が出来るからだ。
二十分後、ハスキーのアイドリングが完了し、40,000psiの圧力を掛け終わると、私はマンホールから管内に入り、エアラインマスクを被った小磯に向かって、指を四本立て、その後に親指を立てた。
「木田さん、大丈夫かね?今、写真を撮るからね」
K建設所長の鴻野が、主任の柳や、若い社員に指示を出す。
小磯は、黄色のスプレーで示された小さなスペースの前でガンを構え、開始の合図を待っていた。
その高架の脇のコンクリートのスロープに、丸山運送の10トンユニック車を停車させ、A用水K水管橋の管内面塗装の剥離テストを行う。
今回は極短時間のテスト工事なので、機材をトラックに積んだまま行うことになっていた。
「なんや?例の防音カバーは使わへんのか?」
現場の中を、あまり似合わない作業着とヘルメットでブラブラ歩いていた渡が、トラックの荷台でいつもの様にむき出しになっているハスキーを見て言った。
「最初はそのつもりだったんですけど、防音カバーを装備すると、重量は1.5トン増量になる上に、馬鹿でかくなって機材一式がトラック一台じゃ納まらないんですよ」
「そうか、で、今日は騒音の方は大丈夫か?」
渡は心配そうに土手の向こうにある民家を見ている。
「ま、たかが数m2ですからね、十分も掛からないから大丈夫だと思いますよ。しかもここから民家まで少しだけ距離がありますからね。もちろん本番の工事をやるならそうは行きませんけどね」
私は渡に答えながら、ハスキー周りのセットアップを完了させた。
「木田君、中の準備は完了だよ」
小磯とハルも管内から上がって来る。
「ガン一本だと、段取りが早くてイイね。木田さん、今日は誰が撃つのよ?」
「お前が撃つか?」
小磯がハルに一応訊く。
「いいよぉ、俺は、こういうのはいつも小磯さんの役目でしょ」
「がはははは、分かったよ」
ハルは最初から、今日はガンを撃つつもりは無かったらしい。
「じゃ、小磯さん、お願いしますね」
「ま、俺しか居ないか」
小磯はそう言いながらも、満更ではない顔をしている。
小磯は『デモ工事』とか、『テスト工事』という名前が付くイベントが大好きだ。なぜなら必ずウォータージェットの物珍しさから、大勢の見学者が居て、注目を浴びながら仕事が出来るからだ。
二十分後、ハスキーのアイドリングが完了し、40,000psiの圧力を掛け終わると、私はマンホールから管内に入り、エアラインマスクを被った小磯に向かって、指を四本立て、その後に親指を立てた。
「木田さん、大丈夫かね?今、写真を撮るからね」
K建設所長の鴻野が、主任の柳や、若い社員に指示を出す。
小磯は、黄色のスプレーで示された小さなスペースの前でガンを構え、開始の合図を待っていた。
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