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迷える古羊、どこへ行く/トランプ対シー

2017-11-15 10:31:21 | 日記


●11月9日(木)
*中国訪問中のトランプは中国からもツイッターを投稿したそうだ。一見何でもないことのようだが、実は中国では一般の回線では市民はツイッターを利用できないそうだ。
恐らく情報管理、言論統制の一環であろう。
ツイッターだとアッという間に海外の情報が入ってくる。アッという間に共産党批判が広がる。

中国ではツイッターすら認められていない。
中国には言論の自由はない。
中国に民主主義はない。

もっとも、日本が本当に民主的な国かどうかは疑問だ。
国会でまともな話し合いなんて聞いたことないし、加計・森友・日報でも明らかなように、政府や官僚のやっていることは不透明だし、情報公開だって隠し事ばかり。
総務大臣による言論の自由を制限しようとする動きもあった。

50歩100歩。似たり寄ったり。当たらずとも遠からず。どっこいどっこい。

*海外との貿易や金融取引で日本がどれだけ儲けたかを示すのが経常収支だが、4~9月期の経常収支は11兆5300億円余りの黒字で、年度前半としてはリーマンショック以降10年ぶりの高水準を記録したとか。

この内、「輸出」から「輸入」を差し引いた貿易収支は、自動車輸出などが好調なので、2兆6800億円余りの黒字。
また、「海外への投資で得られる利子や配当」から「日本への投資に払う利子や配当」を差し引いた第1次所得収支は、10兆3800億円余りの黒字。

つまり、今や日本は製品を海外に売って利益を得るよりも、投資によって得る配当などの方が圧倒的に多い。
日本経済は一見好調のように見えるが、物作りではもう昔の勢いはない?

*チャリで元バイト先のスーパーへ。自分が働いていた頃の3人の女性社員の内の1人が、明日が最後で異動するというので一言お別れを言うためにやって来た。
そのあと、道で向こうからチャリに乗ってすれ違った人、地元に住んでいて今日は仕事が休みのベテランレジ女性Kさんだった。
自分、「今、スーパーに行ってきたところ」
Kさんの話によると、大病から数ヶ月前に復帰した店長、正直言って自分も余り良い感情は持ってないのだが、その店長のせいで店内がかなりギクシャクしているとのこと。明日が最後の経理女性も店長が絡んでいるらしい。他のある男性社員はしばらく休んだままとか、Kさん自身も店長に何か言われているらしい。
今自分は取りあえず何も仕事をしないでいるが、もしかしたら何か緩やかなバイトをと考えていなくもない。元のスーパーでまた短時間働かせて貰うというのも一つの選択肢であったが、最近の店長の話を聞いてその気は殆ど失せた。

帰宅。階段、1段飛ばしで13階。

*トランプ、昨日中国にやって来て、今日はシー(習)主席と首脳会談。
以前のトランプは、「アメリカは中国に陵辱(りょうじょく)され続けている。もう許さない」
「アメリカの対中貿易は多額の赤字だ。中国は史上最悪の泥棒だ」

ところが、今日のトランプは、「中国は良くやっている。責めるべきは破壊的な貿易赤字を増加させた過去のアメリカ政権だ」

トランプは大幅な貿易赤字を何とか減らそうとして中国にやってきたが、怒りの矛先を変えて赤字の原因をオバマなど過去の大統領に押しつけた。

何故そのように変心したのか。
トランプと一緒にやって来たアメリカの企業経営者達と中国との間で今日、総額2500億ドル、日本円にして28兆円という目の球が飛び出るほどの商談が成立した。

それを受けてトランプはホクホク、満面の笑みといったところだ。

本当は、知的財産権の問題とか、鉄鋼過剰生産・不当安値輸出とか、人民幣(人民元)の為替問題の話をしたかったトランプであるが、巨額の商談がまとまったことで、シーに勢いを殺(そ)がれてしまった。
シーは、アメリカの要求には簡単には応じられないとの姿勢だったが、トランプと激しく対立することなく、実に上手くトランプの攻撃を躱(かわ)した。

一方、米中貿易と同様に注目されていた朝鮮問題については、
トランプ、「アメリカは朝鮮の完全かつ永続的な非核化に取り組む。シー主席が努力すれば解決する」
「責任ある国は、武器・資金の提供や、貿易を行わないように団結すべきだ」
と述べ、朝鮮の後ろ盾となってきた中国に、「圧力の強化」による問題解決に一層の取り組みを求めた。

しかしシーは、「両国は全面的、厳格に国連安保理の制裁決議を履行し続け、対話や交渉を通じて朝鮮の核問題を解決するよう努める」
と述べ、あくまでも「対話」を通じての解決を主張。
これまた巨額の商談を成立させたことによりトランプの要求をやんわりと退けることに成功。

つまり、トランプから貿易、朝鮮、更には人権などに関して厳しい要求が予想されたが、シーは膨大な資金力によって強硬なトランプを丸め込んでしまった。

金で相手の気持ちをつかむ、というか中国の考えを押し通すのは中国のお得意の手である。
アジア・アフリカの国々には中国の膨大な資金が流れ込んでいる。フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国に占領された南沙諸島の島に自ら乗り込んでフィリピンの旗を立ててやると言っていたが、中国から巨額の経済援助を貰って、矛(ほこ)を収めてしまった。
巨額の財政赤字に苦しむギリシャの港の運営権を買い取って自分の港にしてしまったし、シーがイギリスを訪れたときには、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)にイギリスが先進国の中で率先して参加を表明してくれたお礼に、これでもかというくらいの資金援助をばら撒いてイギリスを完全に味方につけてしまった。

シーは自分が最もお得意とする手で、遂にアメリカまでをも手玉に取ってしまった。
巨額の商談成立によって、トランプの勢いを封印することに成功した。

事は全てシーの思惑通り。というか、思惑以上。
貿易不均衡是正の圧力に屈することもなく、朝鮮でも自分の考えを貫いて譲歩しなかった。

シーの方が強(したた)か、トランプよりも役者が一枚も二枚も上だった。

*さて、トランプが訪中の前に日本に来た際にアベはトランプとベタベタの親密ぶりを披露したが、そのことについてアメリカのワシントンポスト紙は、
「アベ首相はトランプ大統領の忠実な相棒(サイドキック)を演じた」と報じた。

アベはトランプの忠実な犬となった。

忠犬アベ公。

朝鮮問題に関して、日本はトランプと「圧力強化でアメリカと完全に一致」だったが、韓国は「融和的なアプローチも」、中国は「あくまでも対話で解決を」・・・
トランプ訪欧の際、フランスのマクロンはアメリカの温暖化防止条約離脱を批判、ドイツのメルケルはアメリカの移民・難民問題に懸念・・・

ここでも忠犬アベ公はトランプに尻尾(しっぽ)を振るだけ。

先月、国際政治学者のイアン・ブレマー氏が日本に来た。アメリカの影響力が低下してリーダー不在の世界秩序をGゼロの世界と呼び、現在の世界に潜む問題を指摘している。
先月18日、シー主席は「中華民族は更に豊かになり、幸せな生活をし、世界の諸民族の中でそびえ立つであろう」と述べた。
トランプがアメリカ第一主義を掲げ単独主義を進めているGゼロの世界において、中国はその穴を埋める絶好の機会だと見て世界の頂点、超大国を目指し、“世界制覇”の野心を鮮明にした。

中国の動きを紹介した後に更にブレマー氏は、
「Gゼロの世界において、もはやアメリカに世界を牽引していく力はない。アメリカ最強時代は終わった。ヨーロッパの国々がそうであるように、アメリカと友好的でありつつも、自国や世界全体にとって良くないと思われることに関しては、しっかりとアメリカに意見を言う姿勢が健全である」と述べた。

アベについては、「アメリカに追従するだけで、アベには“日本ファースト”が見えない。トランプには日本の考えをしっかりと伝えるべきである」と苦言。

トランプとゴルフをやって親密さを強調し、アメリカの忠実な相棒、そして忠実な下僕(しもべ)となった忠犬アベ公だが、日米同盟強化が本当に日本の安全に資するのか? 逆に日本を危険な方向に持っていくだけではないのか?