大助の駆けある記

日本共産党・木佐木大助の山口県議会通信

9月県議会Ⅴ

2016年10月31日 | 記事
■一般質問③上関原発問題第一質問(2)
 この間の説明をお聞きしていると、県は「地点指定が引き続き有効」という国の見解だけで、「国のエネルギー政策上に位置付けられている」と開き直っておられるようだが、とんでもない事実誤認だ。

▼直ちに許可を撤回すべき
 先般、資源エネルギー庁からレクチャーを受けた際も担当官は、重要電源開発地点指定されていることをもって「国のエネルギー政策に位置付けられている」というのは、「山口県が言っていること」と明言し、「国のエネルギー政策に位置づけられているということは、明らかにない」とまで言い切っている。
 「地点指定」イコール「国のエネルギー政策に位置付けられている」というのは、山口県の勝手な解釈にすぎないと考えるが、お尋ねする。…④
 県民の目線に立った真っ当な考えから導かれる結論は、上関原発は、「当初免許時と変わって土地需要がなく」、引き続き「埋立を行う理由がない」ことが明らかになったことから、「期間延長に正当な事由がない」。よって延長申請は「不許可」だ。
 直ちに許可を撤回し、不許可処分とするしかないと思うが、知事の見解を求める。…⑤

□前田土木建築部長の答弁要旨(2)
④…重要電源開発地点は、推進することが特に重要な電源開発に係る地点の指定を行うこととした閣議了解に基づく国のエネルギー政策上の制度であって、経済産業大臣が地点指定するものであり、その地点指定は、個別の電源開発について、国のエネルギー政策上の位置づけを具体的かつ明確に示すものだ。
 したがって、重要電源開発地点としての位置づけが存続していれば、国のエネルギー政策の中で、上関原発が個別具体に、「推進することが特に重要な地点」と位置づけられていることとなるものだ。県としては、このような重要電源開発地点制度の趣旨や要件を踏まえ、判断した。
 なお、お示しの資源エネルギー庁からのレクチャーの内容について、国からは「重要電源開発地点に指定されていることは国のエネルギー政策に位置付けられていることになるのか」と聞かれ、「上関原発は重要電源開発地点に指定されているが、山口県が言う「国のエネルギー政策」が何を指しているのかが不明であるのでお答えできない。ただ、重要電源開発地点指定されているという意味で言えば、国のエネルギー政策に位置付けられていると言える」旨を回答したと聞いている。

⑤…県としては、埋立免許権者として、公有水面埋立法に基づき、適正な審査を公正な立場で行い、その結果、これまでの事業者からの説明により、期間延長に正当な事由があることが確認できたものだ。
 期間延長に、「正当な事由があると認められるとき」は、「許可しなければならない」とされていることから、埋立免許権者としては、「法的に許可するほかないもの」であり、撤回等は考えていない。

■総務企画委員会…釧路・根室へ県外調査視察
 10月24日~26日、北海道の釧路・根室の視察に行ってきました。
 今回の県外視察のメンバーは…槙本委員長(自民・岩国)・島田副委員長(自民・防府)と、友田(議運委員長・自民・下関)、西嶋(民進・山口)・上岡(公明・周南)・木佐木(共産・下関)の各県議が参加。残念ながら、畑原(議長・自民・岩国) 県議は病気療養、森中(自民新生・美祢)県議も、諸事情で欠席となりました。
 この視察に同行した執行部は…総務部の佐田次長と津田主査、総合企画部の北村次長と前田主査、議会事務局の津田書記で、合計11名。強行日程の中での呉越同舟の視察です。
 釧路市は、人口17万超。定数28の市議会で、4人の共産党議員団を擁しています。市役所ロビーには、憲法前文が大きく飾ってありました。釧路市での視察は「地震・津波の先進地」として、腹の座った防災対策と、大きな成果を上げつつある「釧路市の移住・長期滞在事業」の取り組みについてです。
 根室市へは、北方領土問題で向き合う現地の実態と取り組みについて、視察に入りました。対応は、市議会議長さんと、全国でも珍しい肩書の「北方領土対策課」の織田課長さん。
 2万7000人の根室市民の内、戦前の千島列島に在住した経歴を持つ方々の1世~3世は7000人。市民の4人に1人が、北方領土関係者です。
 根室市議会は定数18。共産党市議団は3人(神、鈴木、橋本の各氏) です。そして、文教厚生委員会の委員長は鈴木さん。北方領土対策特別委員会の副委員長は橋本さんで、根室市政に大きな影響力を発揮して頑張っていることを実感しました。
 その後、ノサップ岬にある「北方館」を訪問。歯舞諸島を目の前に臨みながら、小田嶋館長から、さらに詳しい説明を受けました。この日、館長は… 「厳しい領海・国境線の実態を見てもらうため」と、わざわざ海上保安庁の巡視船に、領海ギリギリの航海を要請してくれていました。最も近い貝殻島までわずか3キロ。国境線はその真ん中ですから、関門海峡よりも近い指呼の間です。
 「何としても、北方領土問題を抱える根室の実態を知って貰いたい」との思いが、ヒシヒシと伝わってきました。
 12月15日に、長門市で行われる「安倍・プーチン会談」は、当然注目されていおり、当日はこの「北方館」にも、マスコミが殺到するとのことです。
 それだけに、日本共産党が発表した提言「日露領土交渉の行き詰まりをどう打開するか…日ソ共同宣言60周年にあたって」が、注目されていることを実感できる視察にもなりました。


9月県議会報告Ⅳ

2016年10月24日 | 記事
■一般質問②上関原発問題第一質問
 原発問題について伺う。村岡知事は8月3日、中国電力による上関原発計画に係る公有水面埋立免許の延長申請を許可した。県民・国民世論を踏みにじり、県政に汚点を残す暴挙だ。強く抗議し、撤回を求める。 許可に至った理由について県は、次のような「理屈」を展開している。

▼県民より中電の意をくむ…詭弁
(一)7回目に求めた「補足説明」に対し、中国電力から「『上関原発に係る重要電源開発点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない』との国の見解を得た」と回答がされた。
(二)この見解は、上関原発の国のエネルギー政策上の位置づけが当初免許時とかわることなく存続し、今後も存続する見通しであることをしめす具体的な根拠となる。
(三)工事が指定期間内に完了しなかったことについて合理的な理由があることに加え、当初免許時と変わらず土地需要があり、引き続き埋立を行う理由があることが明らかになったことから、期間延長に正当な事由があると認められた、というものだ。
 この当初免許が、許可されたのは二〇〇八年十月二二日だ。
 その審査結果によると…、
(1)原子力発電の必要性については、国のエネルギー政策において重要な位置づけがなされている。
(2)重要電源開発地点に指定され、「電源開発の計画の具体化が確実な電源である」とされている。
(3)電力供給計画により、発電所の二〇一〇年度の着工が予定されている。ことなどを勘案して、許可処分が行われた。
 まず、問題なのは、国のエネルギー政策における原子力発電の位置づけだ。
 国のエネルギー政策の頂点にある「基本計画」における原子力発電の位置づけは、この八年間に大転換している。
 当初免許時は、「今後とも基幹電源として位置付け推進する」、二〇一〇年には「積極的に推進する」とされ、「二〇年までに9基、さらに三〇年までに少なくとも14基以上の新増設を行う」とまで明記された。
 十一年三月の福島原発事故を受け、十三年四月に策定された「基本計画」では、自民党が代表質問で自慢げに言われたように「重要なベースロード電源」と、記述されてはいるが、それは「震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」という前提付きだ。さらに「再稼働を進める」としただけで、「新増設」の記述は消滅している。
 こうした状況の変化を踏まえてもなお、県が「原子力発電の必要性が国のエネルギー政策において重要な位置づけされている」、「当初免許時と変わらない」と強弁される根拠はどこにあるのか。お伺いする。…①

▼3・11の教訓捨て去る
 2点目の「電源開発の計画の具体化が確実な電源である」というのは、重要電源開発地点指定の「要件」の一つだ。
 県は上関原発の「地点指定」が「引き続き有効」とされたことをもって、当初免許時と「変わりない」と言いたいのだろう。
 しかし、原発の「新増設」については安倍首相も、経産相も「想定していない」と繰り返し言明しており、「具体化が確実な電源」というのは、単なる「形式」にすぎない。この事実を否定されるのなら、「実質的」な根拠を示していただきたい。…②
 3点目の電力供給計画における「着工時期」は、ご承知のように五年連続、「未定」であり、事業者である中国電力は、新しい規制基準に適合した「原子炉設置許可申請」の目途すら、明らかにできないのが実状だ。
 これで、どうして「土地需要がある」と判断できるのか、答弁を求める。…③

□前田土木建築部長の答弁要旨(1)
①…原子力発電の位置づけについては、福島原発事故以降、原発政策に一定の見直しの動きがあるものの、平成2 6 年4月に閣議決定された「第4次エネルギー基本計画」において、「重要なベースロード電源」として位置づけられており、原発の必要性については明らかになっている。また、上関原発の重要電源開発地点指定については、この度の中国電力からの回答により、引き続き有効であり解除することは考えていないとする国の見解が示されたことから、重要電源開発地点に指定された上関原発の位置づけは、当初免許時と変わらず存続し、今後も存続する見通しであることが明らかになったものだ。

②… 原発の新増設の政府方針について、国会答弁などで「現段階では再稼働に集中しており、原発の新増設については、現時点で想定していない」とされていることは承知しているが、国として、原発の新増設一般に関してこのような考え方を示す一方で、上関原発の重要電源開発地点指定という個別具体的な問題に関しては、中国電力への回答文書の中で、地点指定は引き続き有効であるなどの明確な見解を示している。この国の見解は、エネルギー政策を所管する経産省から示されたものである以上、県としては、両者が相矛盾するものではないと受け止めており、地点指定の要件である「具体化が確実な電源であること」の実質的な根拠と言えるものだ。

③… 中国電力の電力供給計画において、上関原発の着工時期が未定とされていることなどから、原子力発電所本体の着工の「時期」については見通せない状況にあると認識しているが、一方、重要電源開発地点の指定は、電源開発の具体化が確実な電源であることを要件としており、この指定が有効であるとの国の見解が示されたことから、「土地需要がある」と判断したものだ。

■9・19を忘れない…アベ暴走政治を許すな!
 10月19日正午。「あの9 / 1 9 の暴挙を忘れない!総がかり行動・下関」の定例宣伝が行われました。 場所は、いつもの下関市役所前公園。スクランブル交差点を挟んで、自民党下関支部も入居する、いつもの唐戸商店街です。
 山下社民党市議を皮切りに、次々とリレートーク。私も大いに訴えさせていただきました。
 今回もキリスト者の皆さんが、多数参加されていました。宣伝終了後、「神も仏も無い」ようなアベ暴走強権政治の元で、「神を信じる者も信じない者も、今こそ団結する時ですね」と、エールの交換を行いました。

9月県議会報告Ⅲ討論②

2016年10月17日 | 記事
■補正予算案・基地、下関北九州道路
 本日の本会議で採決される10議案のうち、議案第1号、2号及び4号に反対し、残る7議案には賛成します。
 議案第1号は、2016年度一般会計補正予算案です。この補正予算案は、安倍政権が臨時国会に上程した第2次補正予算案に対応したものです。
 国の補正予算案は、一般会計ベースで4兆1000億円と大きなものですが、リニア新幹線や港湾、道路建設などの新規大型開発を、新たな借金で賄うものが中心で、消費税増税の影響で消費の落ち込みと「底打ち」が長引く国民生活の立て直しに役立たないばかりか、自然環境の破壊が進み、財政再建も困難になるなど、新たな弊害をもたらしかねない中身です。

▼看過できない…不作為
 県の補正予算案も、総額128億円に及びますが、うち123億円は公共事業に投じられ、しかも財源の半分にあたる62億円は借金で賄われます。
 もちろん、公共事業のなかには、県民にとって必要なインフラ整備も含まれているとは考えますが、肝心要の事業の中身を示さないまま、本県議会に提案されているため、判断しようがありません。
 この九月議会に、公共事業の箇所付けまで明らかにして補正予算案を提出している県も実際、あります。
 山口県当局は、「国から事業採択が行われていない」などと弁明されますが、これは明らかに山口県行政の不作為にほかなりません。
 歳出予算の使途が明らかにされないままでは、議会のチェック機能を果たしようはないではありませんか。
 これは、はなはだしい議会軽視にほかならず、抗議の意思も含め、本補正予算案に反対します。こうした不作為は、早急に改善されることを強く要望します。

▼請願…米軍岩国基地問題
 請願第1号は、米軍機による低空飛行訓練・対地攻撃訓練など「住民の受任の限度を超える訓練」が、行われないよう求めるものです。
 要旨にもあるように、米軍岩国基地の所属機と頻繁に飛来する外来機は、中四国・九州地域を中心に低空飛行や対地攻撃訓練を実施し、住民に恐怖と耐え難い騒音被害をまき散らしています。
 来年には、一月からの最新鋭ステルス戦闘機・F35Bの配備、厚木基地所属の空母艦載機の移駐も計画され、そのために山口県沖の日本海と、高知県沖の太平洋に新たな訓練空域が設定されることも明らかにされました。
 こうした時、米軍機による低空飛行訓練や対地攻撃訓練など、「住民の受忍の限度を超える訓練」が行われないよう国に意見書を提出することは、県民要望に応える当然のことです。
 反対される会派からは「今はその時期ではない」という意見をお聞きしましたが、今、やらなくて、いつやられるのでしょうか。今でしょ。
 わが党は、提出者が誰であれ、道理ある請願や意見書には積極的に賛成してきました。賛成・反対の規準を「県民利益に沿ったものか、どうか」…ここにおかれ、ぜひ賛同されるよう強く訴えるものであります。

▼意見書…下関北九州道路
 下関北九州道路の早期整備に関する意見書案についてです。
 文案では、熊本地震を引き合いに出して、大規模災害時にも機能する信頼性の高い道路ネットワークの必要性を強調しています。
 そして、関門橋、関門トンネルの老朽化も理由にあげて、「下関北九州道路」の早期整備を要望しています。
 しかし、国や西日本道路公社は、現在の関門橋と関門トンネルは必要な補修工事を計画的すすめており、「災害時も含めて安全に利用できる」と言明し、太鼓判を押しています。
 加えて、これまで検討されてきた下関市彦島と北九州市小倉を結ぶ「下関北九州道路」のルートには、マグニチュード7・1程度の地震発生が予測されている小倉東断層が存在しており、安全性にも大きな疑問がもたれます。
 何より、過去のムダな大型開発への巨額投資により、国も地方も山口県も深刻な財源不足におちいっており、既存インフラの維持・管理経費すら十分確保されていないのが実態です。
 こうした現実を踏まえれば、今後の道路行政が最優先すべきは、「下関北九州道路」などの高規格道路の新設ではなく、既存道路の維持管理であります。
 よって、この意見書案には断固として反対します。

■朝鮮学校創立…六〇周年記念祝典
 10月16日(日)下関の山口朝鮮初中級学校で、「山口民族教育実施70周年記念事業・創立60周年記念祝典」が開かれました。
 戦後、在日朝鮮・韓国の方々は「解放」されたとは言え、山口県の民族教育70年と朝鮮学校の60年は、まさに闘いの歴史。しかも今日までも続いています。
 記念祝典では、呉栄哲校長が、闘いの歴史を振り返りながら記念報告。各界からの祝辞も述べらました。
 下関市議会日朝議連からは、近藤会長(日本共産党市議団長) が代表して挨拶。山口県議会は、議連会長・副会長がそろって欠席。理事の佐々木(社民党) と木佐木が参加しました。山下(社民)、酒本(民進) 市議や、県庁前の抗議行動でご一緒する多くの仲間の皆さんとも再会しました。
 式典に続いて第二部、幼稚園・小中の児童生徒による公演がスタート。
 朝鮮学校がたどった6 0 年の歴史を、織り込んだ舞踏や合唱、チャンダンノリ、農楽が披露されました。
 心が洗われる思いで聴き入りながら、朝鮮学校への補助金を廃止して恥ない、山口県当局への怒りを新たにしました。

9月県議会報告Ⅱ

2016年10月10日 | 記事
■討論①…上関原発問題
 10月7日、9月県議会最終日。6常任委員長の報告を受けて、河合議員(共産・山口)が藤生土木建設委員長(自民・山口)に対する質疑を行った後、各党の討論に入りました。
 8月3日に山口県が行った、中電による公有水面埋立免許の延長申請を「許可」するという暴挙を受けて、今議会は基地問題とともに上関原発建設推進問題が最大の焦点となりました。討論はこの問題を中心に、反対の佐々木( 社民・宇部)、賛成・林(自民・下関)、反対の木佐木(共産・下関)、賛成・先城(公明・下関)、一部反対の合志(保守系一人会派・山口)の5県議が登壇。多くの傍聴団が見守る中、拍手や時には怒号も飛ぶ、緊迫した雰囲気の中での討論と採決が行われました。
 私の「原発問題」での討論は、以下の通りです。

▼再稼働と新増設…全く別次元
 請願第3号及び5号は、上関原発の新設計画に係るものです。
 この問題では、先程の河合議員による土木建設委員長への質疑の中で、重要な問題がほとんど審議されていないことが明らかになりました。これも踏まえて討論を続けます。
 上関原発計画に係る「公有水面埋立免許の延長申請」を、山口県が許可したことについては、今議会で喧々諤々、質疑が行われました。
 突き詰めて整理すれば、「原発新設のため、埋立を続行する必要があるか、ないか」が問われているのです。
 情報公開で入手した審査資料によると、山口県が「必要あり」と判断した理由は、「処分時点においても、また、処分時点の将来の見通しにおいても、重要電源開発地点に指定された上関原発の国のエネルギー政策上の位置づけがあると評価できる」という論立て・理屈であります。
 その根拠として…
①国の文書により、上関原発に係る重要電源開発
 地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていないとの見解が示されたこと。
②現行のエネルギー基本計画に、原発の新増設は
 明記されていないが、原子力は「重要なベースロード電源」と位置付けられている。
③二〇三〇年における電源構成に占める原発の比率が22~20%とされていること。
 この3点をあげています。
 まず、「重要なベースロード電源」と原発比率の2点については、上関原発の必要性の論拠とは全くなりません。

 この2点は、財界など原発推進を悲願とする「原子力村」の圧力に屈した国が、「再稼働」を合理化するために必要だっただけです。
 だからこそ、エネルギー政策の責任者である経産大臣も、行政府のトップであるあの安倍首相でさえも、「現時点で新増設は想定していない」と言明していることは、何よりの証左であります。

▼「新規」に踏み込む…政治判断
 残るのは、上関原発が重要電源開発地点に指定されているという事実だけです。
 山口県は、この1点で、「国のエネルギー政策上の位置づけがある」と強弁され、開き直っておられますが、「地点指定」制度は、元々、指定された地点の電源開発に必要な手続きを、円滑化する目的でつくられた単なる「規程」にしかすぎません。
 同僚議員の一般質問に対し県は、「地点指定」制度は、「エネルギー基本計画に定められたエネルギー政策を具体的に進めていくための仕組み」と答弁されました。
 両者は同列でなく、「基本計画」が上位にあることを、認めたわけであります。
 単なる「規程」にしかすぎない「地点指定」制度の上位にあり、国のエネルギー政策を律するエネルギー基本計画から「原発の新増設」の記述・文言が消滅した事実を直視すれば、少なくとも処分時点で、原発新設のため、埋立を続行する必要性は全く「ない」ことは明瞭です。
 「ない」ものを「ある」としたのは、山口県のトップである知事による、許されざる政治判断にほかなりません。
 よって、請願第3号及び5号は採択されるのが当然であり、不採択とした委員長報告には怒りをもって反対します。

▼原発回帰…安全神話の復活
 次に意見書第2号、原子力政策に関する意見書は、上関原発に係る公有水面埋立免許の延長申請を許可し、「原発推進」に舵を切った山口県の取り組みを後押しすることに、狙いがあることは明らかです。
 みなさん。お忘れでしょうか。
 歴代政府と電力事業者は「日本の原発は安全」、「5重の安全システムで過酷事故は起こりえない」という「安全神話」を振りまき、全国各地に54基もの原発をつくってきました。
 少なくない専門家・技術者が地震・津波によって、全電源が喪失し、過酷事故が起こり得ると警鐘乱打しても、何の手立ても打たず、「安全神話」にドップリ浸かり、あぐらをかいてきました。
 そして、五年半前の二〇一一年三月、東日本大震災による大地震と津波により、東京電力・福島第一原子力発電所で、「全電源喪失」による「メルトダウン・炉心溶融」という過酷事故が引き起こされました。まさに「安全神話」が招いた政治災害、人災であります。
 いまなお福島原発の周辺は帰還困難区域が広がり、10万人近い住民が故郷を追われ、地域の復興の目途さえ、立たないままです。
 「炉心溶融」を起こした福島原発1、2、3号機では、溶融した核燃料の位置すら不明で、廃炉に向けた作業は困難を極めています。
 放射能を帯びた汚染水処理も、コントロール不能で、一部が海洋に垂れ流しされる始末です。
福島原発事故は、収束の目途も、廃炉の目途もたたず、必要とされる経費は数十兆円規模で膨れ上がりつつあります。
 このように原発事故は、「社会的にも、時間的にも、空間的にも」計り知れない、他の災害と比較にならない被害を及ぼします。
 しかも、世界でも有数の地震国・日本では、そうした事故が発生する危険性を避けることができません。幸運に恵まれ、事故が避けられたとしても、稼働すれば否応なく造り出される「高レベルの核燃料廃棄物」の処理方法が、確立していないという致命的な欠陥があります。
 少なくとも地震国・日本においては、安全な原発はあり得ません。共存することは不可能であります。
 だからこそ国民・県民の多数が「原発ゼロ」の日本を求めているのです。
 意見書の文案・文言は饒舌に、様々な事柄が記されていますが、すべて原発の「安全神話」に立ち、「原発回帰」をめざした絵空事にすぎません。
 この意見書を採択することは、後世に禍根を残すことになります。
 よって、日本共産党は、断固、反対します。

9月県議会報告Ⅰ

2016年10月03日 | 記事
■一般質問①知事の政治姿勢憲法認識について
 質問の第1は、知事の政治姿勢・憲法認識について伺う。
 先の参院選において安倍首相は、のべ40都道府県で100回以上、街頭演説を行ったが、訴えの中心はアベノミクスなど経済問題におかれ、憲法問題にはほとんど触れなかった。
 ところがどうか。選挙直後の7月11日の会見では、自民党の憲法草案を持ち出し、「いかにわが党の案をベースにしながら3分の2を構築していくか。これがまさに政治の技術と言ってもいい」と改憲への野望をむき出しにしている。

▼改憲へ…異常な執念
 自民党の憲法草案は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」という現行憲法の前文と、憲法9条2項の戦力不保持を削除し、「国防軍」を置くことを明記している。
 国民の権利は「公益及び公の秩序に反してはならない」と制限をかけ、現行憲法の最高法規の章の冒頭に掲げられた第97条「基本的人権は…侵すことのできない永久の権利」も全面削除だ。
 このように、自民党の憲法草案は、憲法の国民主権や平和主義、基本的人権の尊重といった原則そのものを破壊するもので、憲法改正の発議案のベースになるどころか、「改正案」と呼ぶことさえ、はばかられるものだ。知事たるもの、支援母体である自民党の「憲法草案」は当然、目を通しておられると考える。
 憲法擁護と遵守義務を負う知事として、どのような見解をお持ちなのか、お尋ねする。…①

▼緊急事態条項に共謀罪まで…
 また安倍政権が改憲テーマの一つとして狙う緊急事態条項は、災害救助と逆行する極めて悪質なものであり、基本的人権の制限を可能にする実質上の「戒厳令」以外の何ものでもない。
 加えて、安倍政権は、「テロ対策」を口実に、選挙公約に一言もなかった「共謀罪」の創設を持ち出し、来年の通常国会に法案を提出しようとしている。
 犯罪が行われなくても共謀したというだけで処罰し、思想・信条を取り締まるものだ。処罰対象となる「組織的犯罪集団」や「準備行為」といった言葉の定義は極めてあいまいで、捜査当局の解釈次第でいくらでも拡大され、市民への弾圧に悪用される恐れが十分にある。
 緊急事態条項のための改憲、「共謀罪」創設について、知事のご認識を伺いたい。…②

■再質問…最悪・最低の立憲主義破壊
 憲法学者の間では、憲法改正はあくまで現行憲法の原則を踏まえたものであるべきで、原則そのものを破壊するものは改正とは言えないという「改正の限界」論が通説だ。
 クーデターを起こしたわけでもないのに、国民主権など憲法の大原則を変えてしまうのは、憲法で権力の在り方を定める「立憲主義の最悪の破壊」と考えるが見解を伺う。…③

□村岡知事の答弁要旨
① … 私は、知事として憲法を尊重し擁護する義務はあるが、この草案はあくまでも自民党内で起草されたものであり、また憲法改正に係る事柄であることから、私の見解を申し述べることは差し控えさせていただきたい。
② … 緊急事態条項は、自民党の憲法改正草案の段階であり、加えて憲法改正に係る事柄について、私の認識を申し述べることは差し控えさせていただきたい。また、「共謀罪」の創設については、平成15 年に署名された国際組織犯罪防止条約の締結に向け、国内法整備の一環として、現在、政府において関係法案の検討がなされているところであるが、その詳細は明らかにされておらず、認識を申し上げる段階にはない。
③ … 自民党内の草案であり、また憲法改正については様々な考え方があると思うが、改正を行う場合には、その必要性や具体的内容は、国会での審議や国民的な議論と理解の深まりの中で定まっていくものであります。

■上関原発推進許すな…緊急県議会内集会
 9月29日(木) 15 : 30。上関原発建設計画に反対の立場から、村岡知事及び県当局を糾した佐々木・木佐木・井原・合志・戸倉・中嶋・河合(登壇順)の7県議による一般質問の終了を受けて、県議会棟内3 階の陳情請願室で、緊急集会が開かれました。
 急な呼びかけにも関わらず、祝島の山戸さんはじめ県内各地から様々な団体・個人約50 人が駆けつけてくれました。
 これにはマスコミも注目。県政記者クラブのほぼ全社、赤旗と山口民報も取材にやってきました。
 参院選の結果を受けて、暴走・強権政治をさらに加速させる安倍政権に、白旗掲げて屈服…。
 上関原発建設計画推進の立場を鮮明した、公有水面埋立免許の延長申請を「許可」し、暴挙を行なった村岡県政との闘いの新たな始まりです。
 戸倉県議の司会進行で、様々な角度・論点から、論戦に挑んだ6県議(保守系の合志さんは欠席) がそれぞれ報告し、参加者の皆さんと意見交換と今後の闘いについて、議論を交わしました。
 同時に、上関原発GO へ舵を切った、村岡県政に呼応して自民党と公明党、自民党系の新生会、県政クラブの4会派が持ち出してきた「原発回帰・推進」そのものである「原子力政策に関する意見書案」についても討議。その狙いと欺瞞性を、改めて解明しました。
 厳しい力関係の山口県議会ですが、「闘いは今から!」「撤回・不許可めざして勝つまで闘おう!」と、新たな決意を固め合いました。