老蛍闇に爪かくごとく飛び 渡辺誠一郎
蛍は古来詩歌で最も関心をもたれている昆虫の一つ。和歌で蛍といえば
物思へば沢の蛍のわが身より あくがれいづる魂かとぞ見る 和泉 式部
であろう。「男に忘れられて侍りけるころ」貴船神社の御手洗川で詠んだと伝わる。 「あくが . . . 本文を読む
ビール缶握り潰せば流星群 春日石疼
「二物衝撃」という用語がある。山口誓子が連作俳句の配列や構成を述べる際に使用したもので、やがて、一句の中での素材や言葉の組み合わせを意味するようになった。二物衝撃はソビエトのエイゼンシュテーインらが映画の編集に用いた「モンタージュ」の訳語である。視点のことなる複数 . . . 本文を読む