白澤卓二『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』ベスト新書、2012年5月発行
この本で展開されている食材麻薬説について紹介します。
ところで、この本は、題名にある「砂糖をやめれば10歳若返る」ということが書かれた本ではありません。また、帯に書かれている『「カロリーゼロ」「砂糖不使用・人工甘味料」もNO!!』ということもなぜか書かれていません。
そうではなくて、「精製された砂糖、塩、油……これらの食べ物は一般に麻薬と呼ばれるものと、まったく同じメカニズムで脳に快楽を与えて、体に刷り込みを与えている。脳に直接的に快楽を与え中毒(常習性)を起こさせる」ということが書いてあります。
中毒性の程度について
①ハードドラッグ――コカイン、ヘロイン、覚醒剤、LSD――中毒性がひじょうに強い
② ソフトドラッグ――マジックマッシュルーム、マリファナ――ハードドラッグよりも中毒性が低く、習慣性になる危険は少なく、毒がないとされる
③タバコ(ニコチン)、酒(アルコール)――ソフトドラッグに近い。常習性が認められ、健康にも害がある。依存症。
④マイルドドラッグ――砂糖(糖質=炭水化物)、白米、塩、油、コーヒー、化学調味料、炭酸飲料、ジャンクフードなど――もっと身近な食べ物
中毒のメカニズム
脳内報酬回路。脳に直接的に快楽を与えて快楽物質を分泌させる。
快楽物質=ハッピーホルモン:ドーパミン、エンドスルファン、セロトニン、オキシトシン
このうちドーパミン、エンドスルファンが中毒(常習性)をもたらす。
麻薬、スポーツ、セックス、笑いなども同じ効果(快楽=中毒)がある。
麻薬とほかのものを区別するのは、社会制度による評価だけ。体にいい影響をもたらすか、悪い影響をもたらすかの違いだけ。
マイルドドラッグ
精製された砂糖、塩、油、この3つがマイルドドラッグの中心で、食べると麻薬のような常習性を脳に引き起こす。ちなみに、南米先住民が使用していたコカよりも、精製されたコカインの方がはるかに中毒性が高い。
脳に直接的に「おいしい」と訴えるような刺激の強い味。イライラする、落ち着かない、また食べたくなる、というのが麻薬中毒と同じ。食べた時に「おいしい」、「心地よい」などの快感を覚える度合いが高いものが、マイルドドラッグになる可能性がある。
この中でもっともリスクの高いものが砂糖。日本人の9割が砂糖中毒と考えられる。
代表的マイルトドラッグ食品
ジャンクフード 脂質と甘さのコンビネーション
炭酸飲料
チョコレート カカオマスの油と砂糖
甘いお菓子
スナック菓子
ファストフード
有害性
メタボ、生活習慣病の原因物質となる。
老化を進行させ、アルツハイマーの原因にもなる。
日本で食卓にあるものは精製されたものばかり。
これは企業のビジネスモデルが推進した。店もリピーターを増やすために常習性の高いものを出す。
マイルドドラッグに替わる食品
脳へのシグナルで刺激する強さが弱いもの
精製されていないものは中毒性はそれほどではない。
天然に近いものほど中毒性が低く、人の手が加わるほど中毒性が高い。加工食品のように一度人間が分解して改造したものはバランスが崩れている。
白米 → 玄米
白砂糖 → 黒糖
精製塩 → 自然塩
塩 → 塩麹
砂糖 → 麹
発酵食 アミノ酸やブドウ糖のバランスがよく、栄養的にすぐれ、中毒性がほとんどない。
この本はさらに、対応策としての、「ケトン体回路」、「ケトン食」、「ケトン体ダイエット」については触れていますが、それについては、直接本書をお読みください。
「麻薬とほかのものを区別するのは、社会制度による評価だけ。体にいい影響をもたらすか、悪い影響をもたらすかの違いだけ」
この本では、麻薬と普通の食材では、中毒性という意味ではまったく同じだとしています。区別は、社会的な評価だけといいます。体にいいか、悪いか、というのもかなり主観的な感じがします。
日常食べているものが麻薬だといわれても、にわかには受け入れがたいと思います。「麻薬だから、砂糖、白米などをすぐにやめる」という人がどれだけいるでしょうか。スイーツなどすぐにやめなくてはなりません。この快楽は捨てがたい。あきらめるくらいなら、不健康でもかまわない、という人も多いと思います。
どのあたりに境目をつけるか、ひとによりそれぞれだと思います。喫煙に関する議論もこの辺りに係っています。
中毒性あり=麻薬だからだめだというようなことに囚われずに、中毒性以外の体への有害性も考慮して、ジャンクフードなどは摂らないようにし、食事の中で量を減らしたり、精製度が低いものへ、だんだん転換をはかっていこう、というのが穏当なのではないかと思います。
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