日経新聞2014/12/25 8:00
エコキュートの音、健康被害に関与の「可能性高い」http://www.nikkei.com/article/DGXMZO81261880U4A221C1000000/
消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は隣家に設置された家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の発する低周波音で不眠や頭痛の症状が出たとする群馬県在住の夫妻の申し出に対して、「給湯機の運転音が申し出者の健康症状の発生に関与している可能性が高い」との報告書をまとめた。経済産業省などに対して、2014年12月19日に再発防止に向けた対策を求めた。
夫妻は、2012年10月に消費者事故調に原因の調査などを申し出た。並行して、隣家の住民などを相手に損害賠償を求める訴えも起こしていたが、設置されたエコキュートを撤去するなどを条件に2013年11月に和解が成立。和解に基づき撤去した後は症状が治まったという。
消費者事故調では、この夫妻のほか、同様の申し出などがあった18例の現地調査などを行った。その結果、エコキュートを撤去・移設した後に、症状が治まったケースがほかにもあることや、低周波音と症状の程度に関連性があったことなどから、運転音が健康被害の発生に「関与している可能性が高い」と指摘。運転音に含まれる低周波音については、「関与している可能性がある」とした。
しかし、低周波音による健康被害については、似たような状況でも症状が現れない人がいることもあり、不明な点も多い。このため、現時点では、ヒートポンプ給湯機の運転音による不眠などの健康症状の発生を根本的に防ぐ対策を示すことは困難であるとし、健康被害発生のリスクをできるだけ低減するための対策を経産省と環境省、消費者庁、公害等調整委員会に求めた。
経産省に対しては、給湯器の適切な設置場所を記したガイドブックを順守するよう日本冷凍空調工業会を指導すること、運転音により健康被害が起こる可能性があることを製品カタログに記載するようメーカーに促すことなどを求めた。
また、環境省に対しては、低周波音の苦情を判断する目安として「参照値」を示しているが、現場での測定値が参照値以下であっても慎重な判断を要する場合があることを、一層明確に周知するよう要望した。
(ライター 田口由大)