飛耳長目樹明

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橋本図書館が、どうして駄目になったか3

2016-10-06 15:19:56 | 日記
橋本図書館に限らず、最近の自治体図書館のレファレンス能力が急降下している。

各図書館のレファレンス担当者は、もちろん最大限の努力をしている。

ところが、各図書館は、書庫の満員状態や、利用者減を理由に、大事な本をどんどん破棄している。そして、レファレンスの際は、安易な方法を選んでいるのだ。

日本史に関する質問があったら、たいていは、国史大辞典全15巻(吉川弘文館 1980年代)と、『日本史大辞典』全9巻(小学館 1990年代)を見るだろう。

吉川版は活字が小さく、小学館版の2倍以上の字数を費やしている。表も写真も多い。
しかし、内容がやや古い。
小学館版は、説明がやや簡単だが、新説をたくさん入れている。

わたしは、まず小学館版を見て、コピーし、ついで吉川版の表と写真をコピーする。
もっとも小学館版が、新しく、正確だとは限らない。執筆者にもよるので、たとえば吉川版の網野善彦氏執筆部分は、全文コピーしておく。
刊行が10年しか違わないので、吉川版が刊行の時、小学館版の原稿は提出済みの場合があり、吉川版の方が正しい箇所も、少なくない。

ところが、小学館版もすでに20年経過している。つぎつぎと新しい研究が生まれ、小学館版も、間違いという箇所もあるのだ。
それといずれも10行、20行の説明だから、説明不足もある。

ではどうしたらいいか。

たとえば、おかげまいりの400万人説は、今や完全に否定され、200万人台とされている。

中井という関西学院大学の若い研究者の功績である。

もともと、400万人は多すぎる、宮川の渡し舟では、とうてい渡せないよという陰口は、昔からあった。眠狂四郎の柴田錬三郎氏が、早くから唱えていた。
しかし、吉川も小学館も両方駄目になったので、中井さんの論文(たしか『交通史研究』という雑誌に載っている)を見るほかはない。レファレンスの方は、ぜひ『交通史研究』を読んでください。国会図書館にコピーを頼めばいいのだ。学校教科書も早晩訂正されよう。

このように、レファレンス担当者は、たえず、新しい研究に目を光らせておく必要がある。
手っ取り早いのは、東大の史学会の『史学雑誌』の毎年五月号の、前年度の研究の回顧をみておくことだ。1500ページあるが、この号だけ、図書館で買っておけばいい。

それと旧来の通説を変えるような画期的な説の専門書は、少し高くてもちゃんと購入しておくことだ。利用者がないからと云って、無料で処分することはない。

ある図書館で新書の『バカの壁』に、300人の希望があったというが、1000円以下の新書だし、1冊買っておけばいいのだ。
人口50万で、10の分館がある都市で、ベストセラーの不倫小説に、たいへんな数の希望があったそうだ。係長から相談されたが、2年もすればだれも読まなくなるそうだ。それなら1館2冊でいいよと返事をしておいた。
 昔は貸本屋があって、わたしはよく利用した。有料だから、一日でも早く読んで返さなきゃいけない。それがいい回転をしていたのだ。
 今のように、2週間も貸出期間があったら、多数部数を買えという声が強くなる。
 ベストセラーは有料の貸本屋を利用すべきだ。公立図書館で多数部数を買う必要はない。貸本屋の復活を望む。

 それはともかく、レファレンサーは、もっと勉強をしてほしい。このことはまた書く。






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