daifukusukeのにっき

そのとき思ったことを書くとこ

ライブドアとその周辺の報道等について。~何をもって勝ちか?負けか?

2005-03-14 18:32:01 | Weblog
1戦略


ニッポン放送の支配権をめぐるライブドアとフジテレビの
対決が話題だが、私はニュースの記事やブログ、その他巷で
自然と耳に入ってくるちょっとした議論にいたるまで、
全く重要なことに言及されていないことが気になっていた。

このことは自分にとってはトリビアル(自明)なことの
ように思われたので、ニュースも世間も「わざわざそんな
当たり前のことを議論しても仕方がない」というスタンス
なのかと考えていたが、それにしてもそのことについて正面から
評価、検証している記事を全く目にしないというのも奇妙
なことであると思われたので、ほとんど誰の目にも触れない
かも知れないが、ここに書こうと考えた。


宣伝効果

この一連の騒動の最中、テレビの報道番組やワイドショー
その他バラエティ番組にいたるまで、ライブドアという
単語がいったい何回発せられたのかということ、またそれのみ
ではなく報道番組では特集が組まれライブドアという企業の紹介
や、ニッポン放送株取得にいたる経緯などが何度もていねいに
説明されていること。

それは新聞でも同様である。連日の朝夕刊の一面にライブドア
の文字が踊り関連のニュースが書かれ、経済面では連日特集が
組まれる。
また週刊誌でも同様である。
雑誌などではそれだけではなく報道とは全く関係ない記事でも
ライブドアの話題を扱っている。


もうひとつの要素

さらに無視できない要素(このことはライブドアにとってこのような
戦略をとる際不可欠な要素である)は、堀江社長のタレントとして
の価値である。
もちろん堀江社長の肩書きはれっきとした上場企業の社長であり
タレントではない。
しかし堀江社長の出演するテレビ番組は高い視聴率を記録し、
そのインタビューを載せた雑誌は高い売り上げを記録する。
ここで使った「タレントとしての価値」というのはそのような意味
である。
普通このように視聴率や、売り上げに影響力のあるタレントを
自社の広告に起用すれば、ひとつの商品だけで数千万から数億かかるだろう。
ライブドアはそれが自社でまかなえ、なおかつそのタレントとの関係は
タレントが1つの商品イメージの向上に貢献するというだけの関係ではない。
その影響力のあるタレントがその影響力のすべてを行使して
ひとつの企業をマスメディアを使ってPRし続けるという構図に
なっているのである。


数百億円分の価値がすでに回収されたのでは?

もちろん現在、ニッポン放送株に関するこの一連の行為のみに
対するライブドアのキャッシュフローは数百億円の減少であろう。
しかしこれだけのメディアへの露出を、真っ当に広告料を払って
やろうとしたら、いったいいくらかかるのだろうか?
私は専門家ではないので、正確かつ有意味な数字を算出することは
不可能であるが、いくつか指摘できる事がある。
(そしてこのことは私の目に触れた、いかなる文章、いかなる議論
 の中でもはっきりと主張されていない!)
いくら金を積んだとしても、「新聞の一面で何度も報道されること」を
買うことはできないし、「経済面で何度も特集をくまれること」を
買うことはできない、このことはテレビの報道番組やその他雑誌等に
関しても同じ種類のことが言える。
そしてこれらのメディアへの露出に対して、ライブドアは一銭も支払う必要
がなかったのである!

そしてこの事こそがこの一連の行為に関する、ライブドアの戦略の本質
なのではないだろうか?

例えば大手新聞の朝刊に全面広告を一度出すだけで数千万円、テレビの
ゴールデンタイムにコマーシャルを一回流す(10数秒)だけで数百万円
かかることから容易に想像できるだろう。
ライブドアはすでに、ニッポン放送株取得に対して支払ったキャッシュに
見合う価値の大部分を、マスメディアへの露出(無料)によって
回収済みなのではないだろうか?ということを。
そしてこの、マスメディアへの露出(無料)はこれからもしばらく
続くであろうし、その度にライブドアが手に入れる価値の量は
相対的に増え続けるのである。
なぜなら露出のためにマスメディアに広告を打つ場合に減るはずの
莫大なキャッシュが減らないのだから。

私は望む。計量経済学等の専門家が、「新聞、雑誌、テレビ、等マスメディアが
広告媒体としてどれほどの価値を持っているのか、一連の騒動に対する報道で、
ライブドアが、相対的にどれほどの価値を手にしたことになるのか。」
について量的(具体的な数字を示して)に説明した記事がマスメディアによって
提供されることを。




2何をもって勝ちか?負けか?


このように考えを進めていくと、もうひとつ決定的に重要な疑問が
沸いてくる。
それは、この騒動について世の中でされている議論のほとんど全てが、
まったく的はずれで、要点から大きく乖離しているのではないのか?
という疑問である。


ライブドアは一体誰に対してこのゲームをしかけたのか?

ライブドアがゲームをしかけた相手はニッポン放送だろうか、
それともフジテレビだろうか、あるいはフジサンケイグループ、
もしくは既得権益に群がる年寄りすべて、であろうか?


「(将棋で言えば)もう詰んでいる」のか?

ライブドアのニッポン放送株の大量保有が明らかになったあと、
フジテレビによるニッポン放送株の株式公開買い付けの目標達成や、
ニッポン放送のフジテレビに対する新株予約権の発行差し止め、
といった大きな動きがあった。
前者はフジテレビの一勝、後者はライブドアの一勝とする見方が
一般的であろう。
しかしその前に問題にしなければならないことが全く問題にされて
いないのである。
本当にフジテレビ対ライブドアなのか?という議論である。
確かにニッポン放送株の株式公開買い付けを行っていたフジテレビに
対して、ライブドアがニッポン放送株の大量買付けを行い敵対的買収
をしかけた。というのは事実である。
しかしだからといってライブドアの目的がフジテレビに対抗して勝つこと、
(つまりニッポン放送の経営権を握ること)であるとするのは短絡的で
的外れだと言わざるを得ない。

ではライブドアにとって勝つこととは、何を意味するのだろうか?
どのような状況になればライブドアはこのゲームに勝ったと解釈することが
できるだろうか?


つづく。





13 コメント

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なるほどです。 (highfrontier)
2005-03-14 19:33:21
TBどうもです。



なるほど、そこには余り目が言っていませんでしたね、って言うかその視点は野球のときには散々いわれたので霞んでしまったというところなのかもしれませんね。

それとタレントとしての価値、これは計算ずくでやっているのでようね。でないとLivedoor自身で出す「ほりたん」なんて商業的価値ないわけで(^-^;;;
ライブドアの目的は何でしょうね。 (MTO)
2005-03-14 19:36:44
はじめまして



楽しく読ませていただきました。

ライブドアは確かに、露出度が上がりましたね。でも、悪い面があまり聞こえてこないような気もしますが・・・。

どうなっていくのかが、興味あります。
TBありがとうございます。 (nicelovelyday)
2005-03-15 09:04:42
明確な考え方だと思います。

堀江さん、なんだかんだ言っても結局金儲けが真の目的でしょう。ってことはもうメディアで報道されることだけで何億っていう宣伝効果ありますよね。もしM&Aできなくても、それはそれでおいしい効果は十二分に取れてる。
放送免許は? (大佐衛門)
2005-03-15 18:54:07
確かに、大きな宣伝効果はあると思います。

でも、売上300億円程度の企業(ライブドア)で800億円近くの宣伝広告費は、やはり過剰なものでしょう。(ホリエタンがそこまで売れるとは思えませんし…笑)

私は、放送免許にも着目しています。

たとえ、おバカな亀さんが「焦土作戦」を実行したとしても、ニッポン放送には「現金」と「ラジオ局としての免許」は残ります。

これは、堀江さんにとっては魅力なんじゃないかなぁ。

それがあれば、先の「宣伝効果」も一層価値を発揮できる…。

そんな寸法じゃないでしょうか?
TBありがとう (鼻歌)
2005-03-15 18:55:49
まさにそのとーり って感じですね。



ポータルサイトはアクセスがあってナンボです。

アクセスを上げるために行動してるとおもえば

素直に考えられます。
マーケティング (devoe)
2005-03-15 22:43:26
Trackback感謝致します。



計量経済学の件は非常に同感です。

あとマーケティングの専門家の方々にも

この件に関して言及して欲しいですね。



勝ち負け。

確かにこれは非常にcardinal pointsですね。

ゲーム理論じゃないですが、

この場合は幾通りもの選択肢が存在しますが、

結局、何を得て、何を失うのか。

非常に鋭いご指摘だと存じます。



Unknown (大村あつし)
2005-03-16 00:34:01
TBありがとうございますm(_ _)m

大村あつしです。



広告効果の試算はすでに専門家が始めていますよ。知名度と知顔度の向上でもたらされた広告効果は100億とテレビでは言っていましたが、「逆宣伝」ということもあるので、マスコミに出まくることで100億損した、という資産も成り立つわけです。



とどのつまり、ただ世間を騒がせただけの企業ということで、広告の費用効果は0円、今後の展開しだいでマイナスというのが私の意見です。



よし、これは明日のブログネタにしよう(笑)



あと、何を持って勝ち負けかは、買収で潔く負けるか、買収で買って経営で負けるか、どう転んでも、負けるのはライブドアですね
Unknown (Hiro)
2005-03-16 01:16:30
TBありがとうございます

フジ&ニッポン放送の言動や行動には、矛盾を感じます。まったく株主のことを考えていないこのような企業の経営者を村上ファンドの村上氏は「"のほほん"としている経営者はクズ」とご立腹でしたね。
面白い視点ですね。 (candragupta)
2005-03-16 09:19:38
まずはTBありがとうございますm(__)m

ワタクシは仕事が法律関係なので、やはり視点は会社法の方へ向かってしまいます。

ですから、本稿はなかなか面白く、一気に読ませていただきました。ワタクシは個人的に堀江氏は織田信長的な要素のある人かもしれないなと思っています。

今後の日本の法や経済等のいろんな構造がどう変わるのか楽しみですね。

広告効果と広報効果 (moriy)
2005-03-16 14:00:52
TBありがとうございます。

わたしも上の大村さん同様、現在の堀江氏のメディア露出をそのまま広告費換算するのは難しいと思います。



広告というのは商品なりサービスなりをメディアを通じて売り込んだり、ポジティブなイメージを持ってもらうために行うものですよね。ウソにでもそういうイメージを持ってもらうために、有名タレントやら広告代理店に大金を支払うわけです。このとき、どのように表現するかの最終決定権は広告主側にあります。



いっぽう広報というのはお金はかかりませんが(向こうが取材しに来てくれるから)、最終的にどういうイメージを残すかをコントロールできません。現状ライブドア(というか堀江氏)には「既得権益にしがみつく老人たちに立ち向かう若者」イメージが広まっていると思いますが、それはライブドアの事業にプラスになるというより、将来の堀江氏の政界進出(するかどうか知りませんけど)に役立つ類のものなのではないかと。

あと広報効果で怖いのは、急に持ち上げられた人間はすこしでも落ち目になるとボコボコにけなされることが多いということです。大村さんのいう「逆宣伝」ですね。これもコントロールできるものではありませんから・・・。