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JR福知山線事故・遺族の憤懣に思う

2005-05-01 16:47:41 | 尼崎福知山線脱線事故
JR福知山線事故から1週間。
これまでの報道を見て思ったことを書いてみます。

■遺族に対するJR職員の対応
まずは少し不謹慎かもしれませんが-
金曜の朝でしょうか,テレビで遺族の方が,家族の方に抱きかかえられて
インタビューに答えていました。JR西日本の対応があまりに事務的で
憤慨して出てきたとの事。

亡くなったその方の母親の遺体の目を閉じさせてくれと言ったところ
「そういうことは葬儀会社の人がやりますから」
と答えたという。

これを見て,色々なことを考えました。
自分が言われた立場だったらどうか…
そもそも遺体の目が開いたままで棺桶に安置(←入れただけ?)しておくという
対応というのは理解に苦しみますから,
遺族に「遺体の目を閉じてくれ」と言われたら「わかりましたすいません」
とすぐやってみせるのが普通でしょう。
しかしそのご遺体は,遺族の方に言わせれば「人間の顔ではなくなっていた」ほど
傷ついていたとのこと。ドライアイスで冷やしてあるとはいえ
触れるのをためらわれる状態であったことは想像に難くありません。
「家族のあんたがよく触らないものをなんで自分が」
という気持ちがしたのも(それを態度に出すかどうかはともかくとして)
あったのではないでしょうか。

では,(2ちゃんあたりでバッシングが起こってそうで怖いですが…見ませんけど)
その遺族はなぜ,あてつけのようにJR職員に,遺体の目を閉じさせようとした
のでしょうか?
あてつけだったのでしょう。理不尽に家族の命が奪われたその悔しさを
ぶつける相手として,JR西日本社員は何を言われてもそれを受け止めなければ
ならない立場であり,にもかかわらず,事務的な対応しかしなかった,
「棺桶の中を見ようともしなかった」と複数の遺族から指摘されていますが,
家族の遺体を,まるで汚いもの,忌まわしいものであるかのような
態度をとられたら,「その態度はなんだ!」と怒りを新たにするのは
火を見るよりも明らかな話です。

私は,人と人の間でコミュニケーションをとるための
最低限の,そして最善のキーワードは「共感」だと思っています。
本当の意味で心を通じ合わせるのは人間,無理だとしても,
互いに接している範囲内で相手のことを理解する・そして相手に理解してもらうには
相手が怒っていようが自分の立場や気持ちを無視していようが
自分のほうから歩み寄り,心を寄り添わせることが必要ではないでしょうか。

僕も,仕事でユーザーのクレームや問い合わせを受けることがあり,
この年でもけっこう失敗してますが,対応の基本は,
相手の立場で話を受け止めることだと思って電話に出ています。
自分の会社とは言っても別の社員や部署(または流通・小売りの過程)で
生じた問題でなぜ自分が怒られなきゃならないんだ…と思うのではなく,
自分のせいじゃないからこそ,「すみません」と謝りやすいとも
考えられないでしょうか。

遺体の安置所に派遣されるとか遺族への対応を任されるというのは
職員にとっては余計な面倒な仕事かもしれません。
慣れない仕事でするべき仕事の配分がなされず
動こうにも動けない人も出てくるかも知れません(それが端から見ると
暇そうにしていると怒りを買うわけですが)。
でも…あれだけの不幸に見舞われた人々を目の前にして,
自分の金や財産を差し出すのはともかく,
仕事で(つまり当事者として),被害者のためにそこにいるのなら,
その時間だけでも心や言葉を捧げることは必要なのではないでしょうか。

やるべき作業があるのにつかまって何分,何十分と苦情を聞かされる…なんてことも
あるかもしれません。
しかし,それもこの状況では必要な,優先度の高い“仕事”だと思いますし,
共感の心を持って被害者や遺族たちの声を受け止めれば,
ほかの仕事に支障を生じるほど長引いたり場が荒れたりすることはないと思います。

以上,あること(報道)ないこと(想像)を交えて書きましたが,
これまでの,そしてこれからも重要なお客でもあるはずの
被害者・犠牲者・遺族に対して大事に思うこと,大事に接することが
JR西日本に一番必要なことと思います。

しかし,これまでの報道を見聞きするに,
たとえば仮に目先の作業を止めてでも遺族の声に耳を傾けるようなことを
その場の社員がしようとしても上司が禁じるとか,そういう澱んだ空気が
この会社にはないかと思わせる風土が次々と明らかになってきました。


僕は,冒頭の遺族のインタビュー,そしてその後,
マスコミ各社が「JR職員の対応が事務的だという批判が出ていますが」
といってJR西日本社長を囲んで直撃していたのを見て,
感情的になっている遺族の発言をとらえて
加害者であるJRWESTの足を引っ張ろう,叩こう,騒ぎを煽ろうという
マスコミの態度が見えてすごく嫌だったんです。

1~3月に放送された『救命病棟24時』でも,
災害支援のボランティアが怪我しただの,消防隊員が被災者を見殺しにしただの
といっては,マスコミが仲村トオル演じる寺泉議員を責めるシーンが出てきます。
だから,被害者への対応がどうとかいう,この列車事故の本質や責任とは
すこし外れた問題でも社長をバッシングしようという
マスコミの態度に,無責任さを感じたのです。

ですが…
他のJR各社や鉄道会社がどうかは知りませんが,
JR西日本については,その巨大な組織に,かなりの暗部を抱えていたことが
明らかになってきています。
機会があれば,またそのことについても書いてみたいと思います。

JR福知山線事故(2)…マスコミ,おかしくないか?
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福知山線事故(3)…マスコミにもの申した?番組
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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (マロン)
2005-05-01 18:24:26
TBありがとうございます。

今回の事故は、とても悲惨なものですね・・・



私には、二度とこんな事故が起こらないように願うことしかできません。

JRだけでなく、他の鉄道会社も安全対策の見直しをして欲しいものですね。
返信する
Unknown (hiro)
2005-05-01 21:50:22
はじめまして。TBありがとうござおます。

マスコミは常に新しいニュースにいきます。実際、この事故がおきるまでは、連日のようにJALのニュースをみました。

しかし、今回の事故については、JR西日本がこれを教訓にどうなったか、そこまでの長い取材と本質をとらえた報道をマスコミに期待したいです。
返信する
TBありがとうございました。 (カフェオレ)
2005-05-02 09:29:07
世の中に対しての警鐘というにはあまりにも代償が大きすぎますね。

ただ、マスコミは正義感をふりかざして取材合戦をしている気がしてなりません。ヘリの騒音で助かったかもしれない生存者のSOSが届かなかったとしたら悲しいことです。
返信する
Unknown (mac)
2005-05-03 22:02:48
TB有難うございます。

確かにご遺族のやり場のない怒りは判ります。

けれど、それをセンセーショナルに取り上げるマスコミの風潮に、違和感を覚えることも多いことは事実です。

また、寄せていただきます。今後とも宜しくお願いします。
返信する
どうもです!! (ちゃん)
2005-05-17 06:46:39
TBありがとうございます。



マスコミはマスコミの仕事。

命を運ぶ仕事は命を運ぶ仕事。



しっかりしてもらいたい。
返信する

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