押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

SIGHT 2007冬 季刊誌 ¥780- 

2006-12-09 08:24:26 | 気になる記事
本屋の店頭でおや?パラパラ・・・、面白そう、買おう、で買ってしまったのだが、読んでも面白かった。

おや?と惹きつけられたのは表紙、グラヴィア写真、執筆者名(吉本隆明、藤原帰一、小熊英二、中村哲、・・・)。これらの綺羅星のような方々が語っているテーマは特集「君は読んだか!自民・憲法改正案の本音」である。もう一つの特集は「ブック・オブ・ザ・イヤー2006!!」でこちらの話者は高橋源一郎、斉藤美奈子、・・・。本当にお買い得の一冊だった。

憲法問題に関するこれらの執筆者の説話は最近のあれこれを踏まえたお話で傾聴に値し、耳目を開かれる。
しかし、それにも増して、高橋源一郎・斉藤美奈子のお話は面白い。「国家の品格」藤原正彦 なんてケチョンケチョンだ、ご本人の仕事まで疑われている。面白いのでさわりを少し引用しよう・・・。
高橋 僕、今回これ読むの2回目なんだ。でもなにも覚えていない。
斉藤 だから200万部なんです(笑)。
高橋 文章に品格がないのだけは覚えてる(笑)。これは居酒屋談議っていうか、おじさんが酒場で「日本人はすごいぞ」って言ってるのを聞くのと耐えられる人だけ、読める。あと説教されるのが好きな人は読める(笑)。
斉藤 東大の曳船健夫さんが『「日本人論」』再考(NHK出版)で、岡倉天心、内村鑑三、『武士道』、そのへんの日清・日露戦争の頃に沢山出た日本人論を分析しているんですね。・・・
全部書いてしまいそうなので、ここらでやめよう。

思い返してみると綺羅星の著者を並べただけでなくその方々に良い力の入った原稿を書かせたのは編集者だと気付いた。編集者は渋谷陽一でロッキンオンで活躍している人だとか・・・。たいした勉強家のようだ。この雑誌のレイアウトのセンスもなかなか。

改めて、近年稀な経験のお買い得の一冊であった。