押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

橋からの眺め

2006-02-20 14:02:46 | 気になる映画/演劇
アーサー・ミラーの脚本に表題の作品があるそうな。それを民藝がやっていて、それを見た人が感想を書いていた。作品の持つ重さをきちんと捉えていない点が不満である、という内容のようだ。
見ていないし、見る積もりもないので、そのことについてここで云々する積りはない。アーサー・ミラーは赤狩りで仲間を裏切ったエリア・カザンを批判してこの作品を書いたと言われている。エリア・カザンはアカデミー生涯特別賞を何年か前に貰い、そのことが話題になった。このサイトを見て、思い出して、ネットサーフィンしてみた。
ヒットしたのは例えばこれ。これは鈴木頌さんのサイトの一部である。LAタイムズの記事を引用させて貰うと、
『 一連の流れはマーチン・スコセッシ監督とロバート・デニーロがうまく作った.「最後の大君」でカザンと仕事をともにした仲間である.
 二人はスコセッシが編集した「カザン名場面集」を紹介した.その最後は「波止場」の意気高いエンディング・ショットだった.カザンのスティル写真の下,二人はさらにカザンを劇的に賞賛し,その登場に向け観衆の拍手を得ようと図った.
 89歳の老け込んだ姿の監督が舞台に現れた.カメラは立ち上がって賞賛する何人かの観衆を捕らえた.カール・モールデン,ウォーレン・ビーティ,リン・レッドグレーヴ,ヘレン・ハント,メリル・ストリープ…….座ったまま拍手もしない人々も捕らえた.ニック・ノルティ,エド・ハリス,アミー・マディガンである.スピルバーグは彼らとは別の行動をとった.すなわち拍手はするが,立ち上がりはしなかった.
 カザンの挨拶は当り障りのないもので,議論を誘発するようなものではなかった.アカデミーとスコセッシ,デニーロに感謝した後,カザンは言った.「さて,私はそっと脱け出すこともできます」

 そのあとちょっとためらって,「何かもっと私に言わせたいことはありますか?」
 観衆の多くはそう思った.彼の謝罪を期待した.しかしそれは出るべくもなかった.
ドロシー・チャンドラー・パビリオンの外では反対派がプラカードを掲げ,スローガンを叫んでいた.そのプラカードには「密告者カザン」と書かれていた.』

しかし、アカデミー特別賞を与えることにも反対した人々もいた。急先鋒はリチャード・ドレイファスでLAタイムスを引用すると、『 ドレイファスは言う.「カザンはすでにその映画の仕事において賞賛されてきた.それで十分である」
 ドレイファスとその仲間は,カザンにアカデミー賞を与えることに反対している.なぜならカザンは50年代の赤狩りの時代にハリウッドの共産主義者や同調者とみなされた人々を「売った」からである.そして新聞マスコミ紙上で密告を奨励したからである.
 ドレイファスは言う.「カザンは賞賛を受けるべき人物ではない.彼は無害だったようにも見えるし,ひょっとすると正しかったように見えるかもしれない.が,本当は彼は間違っていたし,無害でもなかったからである」

 ドレイファスは受賞式のあいだ街を出ると述べた.カザンが賞を受けるところを見たくないからだ.』とある。

鈴木頌氏はドレイファスよりも更に厳しくエリア・カザンを追及している。詳しくは本文を読まれたい。

私はしかしそう一筋縄では行かない要素がこれらの問題にはあるような気がする。アメリカは多民族国家でこうした曖昧さに寛容な部分があって、辛うじて国として成り立っているのかな、とも思う。


日本にも「転向」という問題があった。転向者はその行為に苛まれてその後は優れた活動がなかったように私は感じている。それに比べると、較べることに意味があるかどうかという事も問題になり得るが、エリア・カザンは「波止場」のような優れた勇気と活力を与える作品を生み出した。この映画をビデオでも何回か見たが、最後に見たのはエリア・カザンが特別賞を受ける前で、こうした問題意識のないままで見たので、この作品に「裏切り」に関わる何かが込められているかどうか考えながら見ることはなかった。「転向者」が「波止場」を見たら、何か感ずるところがあっただろうか?

Fast Food Fast Women

2005-06-24 20:30:29 | 気になる映画/演劇
ちょっと面白かった映画。ケーブルテレビでふとスイッチを入れて不完全に見た。しかし面白かった。次回は29日の11時30分から。

IMDbを見るとあれこれ書いてある。粗筋もあるのでちょっと引用しておく。

Plot Summary for Fast Food Fast Women (2000)

How important is the truth when falling in love? Bella is a Manhattan café waitress, about to turn 35, stuck in a long-term affair going nowhere. Paul is a widower, facing old age alone. Bella's mother sets her up with Bruno, a novelist/cabbie who likes to bed-hop and whose ex-wife expects their two children to stay with him for awhile. While Bruno learns some maturity from his young daughter, Paul answers a personals ad placed by a "widow, 60." The two couples - along with one of Paul's older pals and a Jungian stripper - sort out how to initiate a relationship these days, what to do when someone you like disappoints you, and when to tell the truth.

私の粗筋は色々な登場人物がいるが、それぞれにそれなりにハッピーエンドになっているところが面白いと思った。アメリカ映画なのだと思うが、明らかにハリウッド映画ではない。主人公達はアングロサクソンではない。英語も訛りがあって、しょぼくれた男と女と年寄りと年寄りが慰めあったり、騙してみたり、で結局はそれぞれになるようになる。ここが面白い。こういうsolutionもあるのだ。騙されたと思ってご覧あれ。