京の昼寝〜♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

『題名のない子守唄』

2007-09-26 12:53:41 | 洋画


□作品オフィシャルサイト 「題名のない子守唄
□監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
□キャスト クセニャ・ラポポルト、ミケーレ・プラチド、アンヘラ・モリーナ、クラウディア・ジェリーニ、マルゲリータ・ブイ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、クララ・ドッセーナ、アレッサンドロ・ヘイベル

■鑑賞日 9月22日(土)
■劇場 109CINEMAS川崎
■cyazの満足度 ★★★★ (5★満点、☆は0.5)

<感想>

 トルナトーレの今までのアプローチとは違う、混ぜた絵の具が偶然的に真新しい色合いになったような、ややそれまでの彼の統一され、彼流の魅せ方とは別色の作品に仕上がっていた。

 『ニュー・シネマ・パラダイス』や『海の上のピアニスト』とは異質な、前作の『マレーナ』に近い匂いのする映画だった。 実に前作『マレーナ』から6年も経っているのだ。

 ベースに流れる“人間愛”というテーマは変わらないものの、このトルナトーレ作品は、かなりアップテンポで能動的な色合いが濃い。 それは今はトラウマとなって彼女の身体にこびり付いた一人の女性の過去を切り取って、また張り合わせていくような展開は、それまでのトルナトーレ作品の淡々とシンプルに描き出す作風とは一線を画していた。

 それにしてもこのイレーナを演じるロシアの女優クセニャ・ラポポルトは魅力的な女性だ。 前作の『マレーナ』でのモニカ・ベルッチはエキゾチックな顔立ちだったが、全体としては似てるような感じがするのだが、静と動の違いがあったような気がする。 言葉ではうまく表現できないけれど。

 余談だが、『マレーナ』の完成披露の記者会見でモニカ・ベルッチに会ったが、目力では負けないと思っていたが、彼女と視線が合った瞬間・・・オチた。

 ストーリー構成は全体が謎解き風味になっている。 それはテンポのある展開の端々に伏線を準備していた。 このストーリーのキーは、4歳になるアダケル家の娘テア(クララ・ドッセーナ)だ。 
 不可解なイレーナの行動と過去、それは中盤から後半にかけて、テアへの母としての“愛”によるものだと理解できるようになる。
 ラストシーンは当然の如くよめる展開ながら、やはりしっかりと泣かされてしまった。 何年の年月が流れたかは別として、テラの面影をもう少し感じさせてくれる女優さんを使って欲しかったような気もしたが。

 監督自身が語ったこの映画を作るヒントとなったのは、19年前に南イタリアで掲載されていた新聞記事だったそうだ。 「ある夫婦が子どもを注文に応じて犯罪マーケットに売るという事件があったんだ。 そういうことをする女性はどんな女性で、“その女性が自分の産んだ子どもを取り戻そうとしたら、一体どんな行動をとるのか”をずっと考えていてね。 しかし、犯罪そのものがテーマではないんだ。これは1人の強い女性の母性愛の物語なんだよ」と。

 そう、テラへの母としての“想い”。 そしてラストで明かされるもうひとつの“真実” 伏線は十分に、ここに運ぶために用意されていたことは確かだ。

 監督の言葉を借りると、「もし他人へ向ける愛情が本物であれば、それが本来自分とはまったく関係のない人に向けられたものや、間違った向け方をされたものであっても、結局はポジティブな影響を生むのではないかと思うんだ。 イタリアでは伝統的な家族の価値観が非常に強いので、こういったテーマはちょっと観客を不安にさせるかもしれない。 しかしその中であえてこういう愛情の形について語ることも、意味があるのではないかと思ったんだ」と。

 テナの母親役のクラウディア・ジェリーニも素敵な女優さんだったが、トルナトーレ作品ではポイントになるのが子役だ。 今回のテナ役のクララ・ドッセーナも60人ぐらいオーディションで彼女を即決したそうだ(『ニュー・シネマ・パラダイス』で1800人ぐらいオーディションしたらしい)。 

 やや気になったことに触れておくと、トルナトーレ+モリコーネ=傑作という方程式。 今回はそのトルナトーレの映画のアプローチが違ったために、モリコーネは前半から飛ばした曲作り、そして殆ど切れ間のない音の使い方だった。 音楽についてはやや今までになく心に染み入らなかったのは何故だろう・・・。

 トルナトーレ監督の来日は1990年の『みんな元気』以来、実に17年ぶりだという。 今まで関心がなかったのだが、彼はまだ51歳と若いのだ。 ということは『ニュー・シネマ・パラダイス』が日本で公開されたのは1989年12月。 そのとき彼は32歳だったんだ。
 今はシネコンの復旧で事前に席がリザーブできるが、思えば劇場で最後に立ち見で観た映画は、シネスイッチ銀座で観た『ニュー・シネマ・パラダイス』だった。 『海の上のピアニスト』は劇場で3回、『マレーナ』は2回。 トルナトーレ監督は僕にとって因縁の監督なのだ。

ジャンル:
映画(DVD)
キーワード
ニュー・シネマ・パラダイス ドッセーナ 題名のない子守唄 海の上のピアニスト モニカ・ベルッチ モリコーネ クラウディア シネスイッチ銀座 みんな元気 南イタリア
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12 コメント

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こんばんは♪ (くろねこ)
2007-09-26 23:33:20

壮大な音楽にすかり引き込まれ、ゾクゾク・ワクワクしてしまった私には、この結末は想定外で・
あれ??という思いが残ってしまいました
よってせっかくの彼女のせつない母性に
今1つ感情移入できなくて、ちょっと残念でした
そうでしたか〜 (cyaz)
2007-09-27 08:25:07
くろねこさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>壮大な音楽にすかり引き込まれ、ゾクゾク・ワクワクしてしまった私には、この結末は想定外で・あれ??という思いが残ってしまいました
そうでしたか^^
モリコーネ、とっかかりから飛ばしてましたよね〜

>よってせっかくの彼女のせつない母性に今1つ感情移入できなくて、ちょっと残念でした
テアの出生の秘密はちょっとショックでしたよね〜
彼女にとって、それまでの子供と違い、初めて追っかけて見つけたのに・・・。
母性 (たいむ)
2007-11-18 11:22:55
cyazさん、こんにちは。
イレーナとテアにすっかり騙されましたが、組みあがったパズルに涙無しではいられませんでした。
内容の重さの割りに、見せ方が上手く、綺麗な作品でしたね。良かったです。
懐〜 (cyaz)
2007-11-19 12:32:58
たいむさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>イレーナとテアにすっかり騙されましたが、組みあがったパズルに涙無しではいられませんでした。内容の重さの割りに、見せ方が上手く、綺麗な作品でしたね。良かったです。
今までと違ったタッチの作品ながら、底辺に流れるものは普遍でしたね^^ 監督の懐の深さを垣間見ました!
モニカ (kimion20002000)
2008-06-25 22:33:52
TBありがとう。

>余談だが、『マレーナ』の完成披露の記者会見でモニカ・ベルッチに会ったが、目力では負けないと思っていたが、彼女と視線が合った瞬間・・・オチた。

オチない男は、どこかおかしいんじゃないの?(笑)
ノーマル〜 (cyaz)
2008-06-25 22:47:44
kimion20002000さん、TB&コメントありがとうございますm(__)m

>オチない男は、どこかおかしいんじゃないの?(笑)
ごもっともです(笑)
ノーマルでよかった(汗)
トルナトーレ (swallow tail)
2008-08-14 13:26:29
cyazさん、こんにちは。
毎日毎日暑いですね。
ジーンズも暑くて、短パンだとヒザ裏の汗が気持ち悪くて
もう何を着たらよいのかわからないスワロです。

おおぅ!
cyazさんはモニカ・ベルッチにお会いしたことがある!?
むむむ・・・やりますね。
映画関係者ですか??
モニカは昔は好きな女優でしたね〜
今は・・・さほどでもないのですが、
先日見た『シューテム・アップ』の彼女はなかなかはまっていたと思います。

>もし他人へ向ける愛情が本物であれば、それが本来自分とはまったく関係のない人に向けられたものや、
>間違った向け方をされたものであっても、結局はポジティブな影響を生むのではないかと思うんだ
むむむ・・・
なかなか奥深い言葉ですね。
本来、キリスト教圏では隣人愛が根底にあり
愛し愛されることが当然であるべきものなのに、
やはり愛情というものは特定の人物にしか向けられませんからね・・・
テアをわが子と信じ強い愛情を向けるイレーナを見ているととても苦しかったです。
隣人を愛す〜 (cyaz)
2008-08-15 09:35:32
swallow tailさん、コメントありがとうございますm(__)m

>毎日毎日暑いですね。
ほんとお暑いですね(汗)

>ジーンズも暑くて、短パンだとヒザ裏の汗が気持ち悪くてもう何を着たらよいのかわからないスワロです。
いっそ裸でいきますか(笑)

>cyazさんはモニカ・ベルッチにお会いしたことがある!?
そうです^^ エキゾチック・ベルッチでした(笑)

>先日見た『シューテム・アップ』の彼女はなかなかはまっていたと思います。
ほう、それは未見の作品です(汗)

>本来、キリスト教圏では隣人愛が根底にあり愛し愛されることが当然であるべきものなのに、やはり愛情というものは特定の人物にしか向けられませんからね・・・
そうですね^^ でも昔は他人の子も自分の子のように育てましたからね〜

>テアをわが子と信じ強い愛情を向けるイレーナを見ているととても苦しかったです。
彼女を取り巻く背景があの状況だったので余計にそれを感じましたね!
トルナトーレ監督らしい作品! (モッサン)
2008-09-03 19:45:43
cyazさん、こんばんは。
TBありがとうございました^^
私の方からもTBさせていただきます!

物語冒頭の裸のイレーナが登場する場面には、これはほんとにトルナトーレ監督の作品か!?と驚かされましたが、最後は愛情と優しさに満ち溢れたトルナトーレ作品らしい終わり方でしたね。最後のイレーナとテアの笑顔には泣かされました。
切り口〜 (cyaz)
2008-09-03 22:59:09
モッサンさん、TB&コメントありがとうございますm(__)m

>冒頭の裸のイレーナが登場する場面には、これはほんとにトルナトーレ監督の作品か!?と驚かされましたが、最後は愛情と優しさに満ち溢れたトルナトーレ作品らしい終わり方でしたね。最後のイレーナとテアの笑顔には泣かされました。
らしからぬ映像美は賛否両論あったでしょうが、違った切り口を見せてくれてある意味嬉しかったです!
こんばんは! (ルナ)
2008-09-10 23:38:37
たくさん、コメントありがとうございました。

テア役の女の子は、可愛かったですよね。
トルナトーレ監督は、子役の選び方がうまいみたいですね〜。
(女性の選び方は、もっとうまいようですが・・・笑)
たしかにラストに出てきた成長した姿は
なんかちょっとイメージが違って残念でした。
ストーリーは、思った以上に深くて、
かなりドキドキさせられました。
新しい一面〜 (cyaz)
2008-09-11 08:27:52
ルナさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>トルナトーレ監督は、子役の選び方がうまいみたいですね〜。(女性の選び方は、もっとうまいようですが・・・笑)
仰るとおりですね(笑) 一貫性もありますし^^

>たしかにラストに出てきた成長した姿はなんかちょっとイメージが違って残念でした。
この辺は日本映画でも該当することが多々あるのですが残念です><

>ストーリーは、思った以上に深くて、かなりドキドキさせられました。
トルナトーレ監督の新しい一面を知った思いでした!

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『ニュー・シネマ・パラダイス』の巨匠ジュゼッペ・トルナトーレの監督最新作。北イタリアの港町を舞台に、忌まわしい過去を抱える美しきヒロイン、イレーナの愛と謎に満ちた物語を描く。イタリアのアカデミー賞ともいうべきダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最多12部門に...
『題名のない子守唄』 劇場鑑賞 (ANNE'SHOUSE-since1990-)
今週末に終わってしまいます。もう、絶対に観たかったので、用事で、出かけたついでに。。。なので。。。カードの少額割引で行ってきました。.。゚+..。゚+.  .。゚+..。゚+(C)2006MEDUSAFILM-MANIGOLDA『題名のない子守唄』2006年イタリア作品 監督:ジュゼッペ・トル...
題名のない子守唄 (ぁの、アレ!床屋のぐるぐる回ってるヤツ!)
ヘアカラーの変遷〜縮毛の遺伝性などに注目して見た床屋。 題名のない子守唄posted with amazlet at 08.06.28Happinet(SB)(D) (2008-05-30)売り上げランキング: ...
『題名のない子守唄』 (私の研究日記(映画編))
 日本で、昨年9月に公開された『題名のない子守唄』のDVDが、ようやくリリースされたので、即購入し早速鑑賞。  大好きなジョゼッペ・トルナトーレ監督の作品である。  舞台は、北イタリアのトリエステ。高校世界史では、「未回収のイタリア」などと説明される都市。...
「題名のない子守唄」 (the borderland )
わざわざ元旦から、どよ〜んとなりたくないと思いながら選択肢がなく、初詣帰りに行ってきました。まぁ観たい作品ではあったんやけどね(^^; 北イタリアのトリエステに長距離バスでやって来たイレーナ(クセニャ・ラポポルト)は、金細工商を営むアダケル家のメイド...
題名のない子守唄 (ルナのシネマ缶)
「ニューシネマ・パラダイス」で 有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督が、 「マレーナ」以来6年ぶりに 手がけたサスペンス映画です。 全体的に暗いし、結構怖いです。 テア役の女の子は、可愛かったです。 舞台は北イタリア。 ウクライナからやってきたイレ...
#163.題名のない子守唄 (レザボアCATs)
迷いのない目線で突き進んでゆく、その表情に心を奪われてしまった。崖っぷちに立たされたような、堅固な決意の表情の強さと、どこか影のある哀しみ。この眼差しがこの映画の全てのように感じてしまって。・・・
題名のない子守唄 (サムソン・H・トマトマスバーガーの限りなく映画)
     = 『題名のない子守唄』  (2006) = 北イタリアのトリエステ。 この街にやって来た一人の女性、イレーナ(クセニア・ラパポルト)。 ウクライナ出身という彼女の過去も、ここへやって来た理由も、誰一人として知らない。 やがて、彼女は貴金...
「題名のない子守唄」 (或る日の出来事)
ひとりの女が、ある家に家政婦として入り込む。彼女の目的は何なのか。ときどき挿入される、忌まわしい過去の場面が関係しているのか。 謎が...
『題名のない子守唄』'06・伊 (虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ)
あらすじ北イタリアのトリエステにやって来た異国の女イレーナが金細工の工房を営むアダケル家のメイドに雇われる。それは周到に策を講じて、手に入れた念願の職場だった・・・。感想ヨーロッパ映画賞、観客賞受賞。監督賞、主演女優賞、撮影賞ノミネート。『ニュー・シネ...
「題名のない子守唄」(La Sconosciuta) (シネマ・ワンダーランド)
「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」などの作品で知られるイタリアの映画監督、ジュゼッペ・トルナトーレが2006年にメガホンを執ったミステリアスなヒューマン・ドラマ「題名のない子守唄」(原題=見知らぬ女、伊、121分、R15‐指定)。この...
題名のない子守唄 (B-scale fan's log)
2006年 ジュゼッペ・トルナトーレ監督     クセニア・ラパポルト主演     出演 ミケーレ・プラチド、クラウディア・ジェリーニ 『北イタリアのトリエステにやって来た白人女性。  彼女はある家族の向かいの部屋を借り、  その家族を観察し彼らに近づける職を...
題名のない子守唄 (こんな映画見ました〜)
『題名のない子守唄 』 ---LA SCONOSCIUTA   THE UNKNOWN WOMAN--- 2006年(イタリア) 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 出演: クセニア・ラパポルト 、ミケーレ・プラチド、クラウディア・ジェリーニ 、クララ・ドッセーナ 「ニュー・シネマ・パラダイス」...
「題名のない子守唄」 (prisoner's BLOG)
とある32歳の女性が家政婦として働きだした家で行う奇妙な行動とその過去を、フラッシュバックをはさみながら非常に凝った謎めいた構成で綴る。 部屋の天井のアップからティルト・ダウンして窓辺の女性を捕らえたカットなど構図の面白さを狙ったものかと思っていると、後...
題名のない子守唄 (☆彡映画鑑賞日記☆彡)
 『女は 哀しみを食べて 生きている』  コチラの「題名のない子守唄」は、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」のジュゼッペ・トルナトーレ監督のR-15指定のミステリーです。  ウクライナ出身のイレーナ(クセニア・ラパポルト)、北イタリア...
題名のない子守唄 (Yuhiの読書日記+α)
北イタリアの港町を舞台に、忌まわしい過去を抱える美しきヒロイン、イレーナの愛と謎に満ちた物語を描く。監督はジュゼッペ・トルナトーレ、キャストはクセニア・ラパポルト、ミケーレ・プラチド、クラウディア・ジェリーニ他。 <あらすじ> 北イタリアのトリエステに...
題名のない子守唄 (シネマ日記)
随分前にケーブルテレビで放映されていたものをやっと見ました。「ニューシネマパラダイス」の巨匠ジョゼッペトルナトーレ監督の作品で、イタリアでは公開当時かなり高い評価を受けた作品です。このブログでトルナトーレ監督を取り上げるのは初めてです。自分で巨匠と書い...

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