![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/cf/3b477e616668eb2618cb770fbcd2654a.jpg)
□作品オフィシャルサイト 「題名のない子守唄」
□監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
□キャスト クセニャ・ラポポルト、ミケーレ・プラチド、アンヘラ・モリーナ、クラウディア・ジェリーニ、マルゲリータ・ブイ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、クララ・ドッセーナ、アレッサンドロ・ヘイベル
■鑑賞日 9月22日(土)
■劇場 109CINEMAS川崎
■cyazの満足度 ★★★★ (5★満点、☆は0.5)
<感想>
トルナトーレの今までのアプローチとは違う、混ぜた絵の具が偶然的に真新しい色合いになったような、ややそれまでの彼の統一され、彼流の魅せ方とは別色の作品に仕上がっていた。
『ニュー・シネマ・パラダイス』や『海の上のピアニスト』とは異質な、前作の『マレーナ』に近い匂いのする映画だった。 実に前作『マレーナ』から6年も経っているのだ。
ベースに流れる“人間愛”というテーマは変わらないものの、このトルナトーレ作品は、かなりアップテンポで能動的な色合いが濃い。 それは今はトラウマとなって彼女の身体にこびり付いた一人の女性の過去を切り取って、また張り合わせていくような展開は、それまでのトルナトーレ作品の淡々とシンプルに描き出す作風とは一線を画していた。
それにしてもこのイレーナを演じるロシアの女優クセニャ・ラポポルトは魅力的な女性だ。 前作の『マレーナ』でのモニカ・ベルッチはエキゾチックな顔立ちだったが、全体としては似てるような感じがするのだが、静と動の違いがあったような気がする。 言葉ではうまく表現できないけれど。
余談だが、『マレーナ』の完成披露の記者会見でモニカ・ベルッチに会ったが、目力では負けないと思っていたが、彼女と視線が合った瞬間・・・オチた。
ストーリー構成は全体が謎解き風味になっている。 それはテンポのある展開の端々に伏線を準備していた。 このストーリーのキーは、4歳になるアダケル家の娘テア(クララ・ドッセーナ)だ。
不可解なイレーナの行動と過去、それは中盤から後半にかけて、テアへの母としての“愛”によるものだと理解できるようになる。
ラストシーンは当然の如くよめる展開ながら、やはりしっかりと泣かされてしまった。 何年の年月が流れたかは別として、テラの面影をもう少し感じさせてくれる女優さんを使って欲しかったような気もしたが。
監督自身が語ったこの映画を作るヒントとなったのは、19年前に南イタリアで掲載されていた新聞記事だったそうだ。 「ある夫婦が子どもを注文に応じて犯罪マーケットに売るという事件があったんだ。 そういうことをする女性はどんな女性で、“その女性が自分の産んだ子どもを取り戻そうとしたら、一体どんな行動をとるのか”をずっと考えていてね。 しかし、犯罪そのものがテーマではないんだ。これは1人の強い女性の母性愛の物語なんだよ」と。
そう、テラへの母としての“想い”。 そしてラストで明かされるもうひとつの“真実” 伏線は十分に、ここに運ぶために用意されていたことは確かだ。
監督の言葉を借りると、「もし他人へ向ける愛情が本物であれば、それが本来自分とはまったく関係のない人に向けられたものや、間違った向け方をされたものであっても、結局はポジティブな影響を生むのではないかと思うんだ。 イタリアでは伝統的な家族の価値観が非常に強いので、こういったテーマはちょっと観客を不安にさせるかもしれない。 しかしその中であえてこういう愛情の形について語ることも、意味があるのではないかと思ったんだ」と。
テナの母親役のクラウディア・ジェリーニも素敵な女優さんだったが、トルナトーレ作品ではポイントになるのが子役だ。 今回のテナ役のクララ・ドッセーナも60人ぐらいオーディションで彼女を即決したそうだ(『ニュー・シネマ・パラダイス』で1800人ぐらいオーディションしたらしい)。
やや気になったことに触れておくと、トルナトーレ+モリコーネ=傑作という方程式。 今回はそのトルナトーレの映画のアプローチが違ったために、モリコーネは前半から飛ばした曲作り、そして殆ど切れ間のない音の使い方だった。 音楽についてはやや今までになく心に染み入らなかったのは何故だろう・・・。
トルナトーレ監督の来日は1990年の『みんな元気』以来、実に17年ぶりだという。 今まで関心がなかったのだが、彼はまだ51歳と若いのだ。 ということは『ニュー・シネマ・パラダイス』が日本で公開されたのは1989年12月。 そのとき彼は32歳だったんだ。
今はシネコンの復旧で事前に席がリザーブできるが、思えば劇場で最後に立ち見で観た映画は、シネスイッチ銀座で観た『ニュー・シネマ・パラダイス』だった。 『海の上のピアニスト』は劇場で3回、『マレーナ』は2回。 トルナトーレ監督は僕にとって因縁の監督なのだ。
壮大な音楽にすかり引き込まれ、ゾクゾク・ワクワクしてしまった私には、この結末は想定外で・
あれ??という思いが残ってしまいました
よってせっかくの彼女のせつない母性に
今1つ感情移入できなくて、ちょっと残念でした
>壮大な音楽にすかり引き込まれ、ゾクゾク・ワクワクしてしまった私には、この結末は想定外で・あれ??という思いが残ってしまいました
そうでしたか^^
モリコーネ、とっかかりから飛ばしてましたよね~
>よってせっかくの彼女のせつない母性に今1つ感情移入できなくて、ちょっと残念でした
テアの出生の秘密はちょっとショックでしたよね~
彼女にとって、それまでの子供と違い、初めて追っかけて見つけたのに・・・。
イレーナとテアにすっかり騙されましたが、組みあがったパズルに涙無しではいられませんでした。
内容の重さの割りに、見せ方が上手く、綺麗な作品でしたね。良かったです。
>イレーナとテアにすっかり騙されましたが、組みあがったパズルに涙無しではいられませんでした。内容の重さの割りに、見せ方が上手く、綺麗な作品でしたね。良かったです。
今までと違ったタッチの作品ながら、底辺に流れるものは普遍でしたね^^ 監督の懐の深さを垣間見ました!
>余談だが、『マレーナ』の完成披露の記者会見でモニカ・ベルッチに会ったが、目力では負けないと思っていたが、彼女と視線が合った瞬間・・・オチた。
オチない男は、どこかおかしいんじゃないの?(笑)
>オチない男は、どこかおかしいんじゃないの?(笑)
ごもっともです(笑)
ノーマルでよかった(汗)
毎日毎日暑いですね。
ジーンズも暑くて、短パンだとヒザ裏の汗が気持ち悪くて
もう何を着たらよいのかわからないスワロです。
おおぅ!
cyazさんはモニカ・ベルッチにお会いしたことがある!?
むむむ・・・やりますね。
映画関係者ですか??
モニカは昔は好きな女優でしたね~
今は・・・さほどでもないのですが、
先日見た『シューテム・アップ』の彼女はなかなかはまっていたと思います。
>もし他人へ向ける愛情が本物であれば、それが本来自分とはまったく関係のない人に向けられたものや、
>間違った向け方をされたものであっても、結局はポジティブな影響を生むのではないかと思うんだ
むむむ・・・
なかなか奥深い言葉ですね。
本来、キリスト教圏では隣人愛が根底にあり
愛し愛されることが当然であるべきものなのに、
やはり愛情というものは特定の人物にしか向けられませんからね・・・
テアをわが子と信じ強い愛情を向けるイレーナを見ているととても苦しかったです。
>毎日毎日暑いですね。
ほんとお暑いですね(汗)
>ジーンズも暑くて、短パンだとヒザ裏の汗が気持ち悪くてもう何を着たらよいのかわからないスワロです。
いっそ裸でいきますか(笑)
>cyazさんはモニカ・ベルッチにお会いしたことがある!?
そうです^^ エキゾチック・ベルッチでした(笑)
>先日見た『シューテム・アップ』の彼女はなかなかはまっていたと思います。
ほう、それは未見の作品です(汗)
>本来、キリスト教圏では隣人愛が根底にあり愛し愛されることが当然であるべきものなのに、やはり愛情というものは特定の人物にしか向けられませんからね・・・
そうですね^^ でも昔は他人の子も自分の子のように育てましたからね~
>テアをわが子と信じ強い愛情を向けるイレーナを見ているととても苦しかったです。
彼女を取り巻く背景があの状況だったので余計にそれを感じましたね!
TBありがとうございました^^
私の方からもTBさせていただきます!
物語冒頭の裸のイレーナが登場する場面には、これはほんとにトルナトーレ監督の作品か!?と驚かされましたが、最後は愛情と優しさに満ち溢れたトルナトーレ作品らしい終わり方でしたね。最後のイレーナとテアの笑顔には泣かされました。
>冒頭の裸のイレーナが登場する場面には、これはほんとにトルナトーレ監督の作品か!?と驚かされましたが、最後は愛情と優しさに満ち溢れたトルナトーレ作品らしい終わり方でしたね。最後のイレーナとテアの笑顔には泣かされました。
らしからぬ映像美は賛否両論あったでしょうが、違った切り口を見せてくれてある意味嬉しかったです!