
□作品オフィシャルサイト 「潜水服は蝶の夢を見る」
□監督 ジュリアン・シュナーベル
□原作 ジャン=ドミニック・ボービー
□キャスト マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、
マックス・フォン・シドー、ジャン・ピエール=カッセル
■鑑賞日 2月10日(日)
■劇場 チネチッタ
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)
<感想>
まずそのタイトルに興味が沸く。 この作品はカンヌ映画祭で監督賞と高等技術賞を受賞し、
今回のアカデミー賞でもジュリアン・シュナーベルが監督賞にノミネートされている。
すでに多くの映画評論家や映画コメンテーターの間で高い評価を得ている作品だが。
原題は「潜水服と蝶」。 その興味が沸いたタイトルの示すもの、それは“潜水服”は身体的に
自由が利かない状況を、“蝶”は体は動かなくても自由に舞う彼の思考や想像力を意味する。
主人公のジャン=ドミニク・ボビー。 目の瞬きでしかコミュニケーションできない彼自身が
何と20万回の瞬きで綴った驚くべき自伝小説でその映画化である。
ジャン=ドーの病気は、閉じ込め症候群(ロックト・イン・シンドローム)と呼ばれる難病で
一度は命を絶つことを」考えた彼が、生きようとポジティヴに考えたときから、その彼の全てを
自らの瞬きに託して、やがて苦難の末、このような映像化が出来た。
映画はその様子を淡々と描いている。 家族や友人たちや、彼に関わる病院の人たちの触れ合いを
通しながら。 言語療法士がフランス語で使用頻度の高い順にアルファベットを読み上げて、
ジャンが、それに対し該当した単語に「はい」は1回、「いいえ」は2回の瞬きで答え、それを綴って
書きとめていくという、なんとも気が遠くなりそうに、というより言語療法士が病気になりそうなほど
根気がいる作業だったと思う。
病気になる前のジャン=ドーは、フランス版「ELLE」誌の名編集長であり、仕事はもちろんのこと、
遊びにおいても超一流のリッチなチョイワルおやじだったそうだ。 そのある意味成功者も、
身体の自由と言葉を奪われてからかなりの動揺や葛藤、失意のどん底を経験し、左目しか
動かないが、生涯のライフワークの如く、その生命力と精神力で生きていく。
ジャン=ドーを演じるマチュー・アマルリックも素晴らしい演技だ。 というよりこういう言葉があるか
どうかわからないが、全く素晴らしい“眼技”だったと思う。 彼の目の演技に加え、その僅かの動きを
言葉の代替として、その表情を捉えるカメラワークも大変だったように想像する(撮影監督はヤヌス・カミンスキー)。
そして、意外にさらりと描かれていたが、彼のライフワークとなったこの本が完成させることができたのは、
彼にこの方法を示唆した言語療法士たちの想像を絶する努力と産物だろう。 音楽の世界に
アンサー・ソングがあるならば、この映画も、その映像の中で、言語療法士の目を通した
ジャン=ドーを観てみたい気もする。 仕事とは言え、とても出来ない根気のいる仕事だろう。
そんな目だけしか動かない、そして表現できないジャン=ドーの不自由さは、
逆に観ている側が彼の心の中に入り込んでしまうかのように引き込まれていった。
重ね合わせたのはかつて観た『海を飛ぶ夢』だった。
「自分の身に大きな悲劇が降り掛からない限り、人は自分の本質を見つける事をできないのだろうか」と
自問自答するジャン=ドー。 誰もがいつかは死を迎える人生を、もっと大切に生きていきたいと思わされる作品だ。
より印象に残られましたでしょ?
残念ながら私はこれは横浜でしたので^^;
>あ、ここにもチッタでご覧になった方が^^ より印象に残られましたでしょ? 残念ながら私はこれは横浜でしたので^^;
そうですね^^
ってシネコンの中は全く同じですが(笑)
「眼技」も素晴らしかったです
そしてチネチッタで見たので不思議な感覚でした
>観客を否応無しにジャン=ドーの内面に引きずりこむ演出はお見事でした 「眼技」も素晴らしかったです
圧倒されてしまいますよねぇ^^
>そしてチネチッタで見たので不思議な感覚でした
お~同じ環境でしたね!
こちらからはTBできたみたいで良かったです☆
映画としてはすばらしいものだったけど、イマイチはいりこめませんでした
こういう状況ってもしかしたら自分にも降りかかってくることかも、、、今から後悔のない人生を送らなくては、、、ですね☆
>こちらからはTBできたみたいで良かったです☆
お手数おかけしましたm(__)m
>映画としてはすばらしいものだったけど、イマイチはいりこめませんでした こういう状況ってもしかしたら自分にも降りかかってくることかも、、、今から後悔のない人生を送らなくては、、、ですね☆
そういう面も感じましたよね~ なかなかこういう映画は感情移入が難しいかもしれません。
なんだかまどろんだような不思議な感覚でした。
「眼技」・・・左目の鈍く訴えるような眼光と瞬きで
スゴイ演技でした。
>全てがジャン目線で苦痛も映像美も淡々と描かれて、なんだかまどろんだような不思議な感覚でした。
淡々として抑揚がない分、彼の「眼技」が光りましたね^^ “静”は時に“動”を超える!
実際には使ってないそうで
奇跡といわれる出来事も
実は眠っている能力が開花したのかもしれず、
そういうことって
こういうとんでもな場面でないと
おそらくは出てこない。
それは心の力とて同じ。
どんな局面に出会っても
本人がそれでも自分らしく最後まで生きていたいと
思うならば何がしかをやり遂げてしまう。
・・・すごいなっていうなんともな言葉しか
でてこなくてごめんなさいですが
感動もんでした。
>人は自分の脳が持てる力の何パーセントかしか実際には使ってないそうで
それは万人がその必要がなくて、そしてその局面を運命で必要とされない幸せな生きかたが方得られているからかもしれません。 彼のような行きかたはもしかしたら運命より宿命だったのかも。
彼の凄さより、周りの援助がかなり大きかった本作だと思いました。
>どんな局面に出会っても本人がそれでも自分らしく最後まで生きていたいと思うならば何がしかをやり遂げてしまう。
難しい問題ですが、その局目を迎えずにいられたら、それはそれで幸せだと思っていいのですはないでしょうか。