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昭和天皇〈第5部〉日米交渉と開戦 福田和也著

2011年09月11日 17時37分50秒 | 書評 歴史系
大河ドラマで「昭和天皇」を題材に扱ったら
おもしろいなぁと思うのですが、まだまだ生々しくて
なかなか「差し支え」が多いのでしょうね。

でも、昭和天皇を扱うことは、
明治・大正・昭和という近現代の日本史を
つぶさに知ることができるということを意味します。

今の日本がどうしてこのようなかたちで存在するのかを
明確に認識できるように思いますがどうでしょう?

福田和也著「昭和天皇」は長い長い大河小説の趣で、
第5巻は宇垣一成の大命拝辞から
昭和16年12月8日の開戦前夜までを描いています。
内閣で言えば、林銑十郎内閣から東条英機内閣まで4年あまりの期間です。

短い期間の物語ですが、それでも生じた事件は
それ以降の日本の行方を左右する重要な出来事でした。

・近衛文麿の総理就任
・盧溝橋事件
・張鼓峰事件
・日独伊三国同盟
・南部仏印進駐
・日米開戦

本書を読むと、
昭和天皇は中国での戦線拡大にかなりの危惧感を持っていて
総理や大臣、参謀総長ら高位高官の者たちの奏上の際にも
多くの苦言を呈した状況が描かれています。

しかしながら、実際には中国戦線はあらぬ方向に拡大してしまい、
昭和天皇の意図しないままに進んでしまったように読めました。

著者である福田和也氏は、あとがきで
アメリカとの戦争を決定したことは
後世から見れば愚かしい、馬鹿げた判断だったけれども、
当時の指導者を始め多くの人々が
苦闘の末その結論に至った経緯と意味は、
私たちが問い、考えるべき事として残されていると、
記されています。


私たちは、神ならぬ人間なので
いつも正しい判断が出来るとは限りません。
しかし、明らかに誤った結果が出る過程には
真摯な熟慮とはかけ離れた、
邪な価値観の介入があるのではないか、
あるいはあったのではないかということを
私たちは経験的にも知識的にも知っています。

日清・日露戦争以降大きな戦争を経験していない
陸軍・海軍の存在意義が問われだした時期に
軍隊の暴走が始まりだしたこと、
陸軍・海軍双方のセクショナリズムによる対立と
それを抑えきれなくなったリーダーシップの欠如。
当時の社会情勢も絡んで、
敗戦の原因を一言でまとめきれるものではありませんが、
「あらゆる人知、努力を払った後」というには
生み出された被害が大きすぎるように思います。

ひき返せる時期、方向転換を図れる時点は幾つもあったのに、
それができなかった、しなかったというのは、
指導者の責任として、怠惰の誹りを受けても
仕方がないのかもしれないという気持ちが強いです。

その場の空気に流され「やむを得なかった」
という点に同情はできても。

昭和天皇〈第5部〉日米交渉と開戦
クリエーター情報なし
文藝春秋


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