カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

巣立ち1

2006-06-02 19:18:47 | 繁殖

 大きな悲しみやショックがあると立ち直るのに相当な時間を要する。悲しみが深ければ深い程、立ち直るのに時間と努力が必要になるだろう。カラスもきっと人と同じで立ち直るのに時間が必要だと思う。それが自然に起こった悲劇なら良いのだが、人から受けた悲劇なら尚の事時間が掛かるだろう・・・・・いや、忘れる事はないだろう。 

 今月から徐々にカラスの巣立ちが始まるので、楽しみな反面不安も多い。先日「家族愛2」で雛が死んでしまったボソの事をお話ししたのだが、今日、朝一番に懐かしい雛の声を聞いた。そう、あのボソの雛が巣立っていたのである。雛は1羽だった。先日死んでしまった雛と併せると2羽の雛がいた事になる。

 巣立ったといっても巣の横20cm程の枝に止まっているに過ぎない。弱々しさを感じさせるもののちゃんと自分の足で力強く立っているではないか!!本当に嬉しかった。昨年より2日早い巣立ちである。まだ体の所々には羽毛が残っていて、色も少し茶褐色である。尾羽は本当に短い。特にこのボソの雛は体が小さいのである。養子の体が小さいのと同じである。

 親は一気に雛への給餌に追われていた。雌雄共同で食べ物探しに励んでいる。先日の悲劇から約1週間、悲しみは喜びへと変化していったのだろう。実は雛が死んでしまった後、余り巣に出入りしていなかったのでとても気になっていた。用心深くなっていたのかも知れない。雛の亡骸を回収したのが私だという事を覚えているので、私が近寄ると少し緊張した感じがしていたのだが、3日後には普通に戻っていた。

 親が口一杯に食べ物を詰め込んで雛の元へと急ぐ。雛のおねだりの声が最高潮に達した時に、親は食べ物を口移しで与えていた。その時の雛はまるで赤いチューリップのような口を広げて、親の顔まで飲み込んでしまいそうな勢いで食べている。それと反比例するかの如く、ブルーの瞳がとても印象的である。この瞳が堪らなく可愛いのである!!

 このボソは毎年この場所で確実に営巣している。ボソという事もありほとんどの人が気が付く事はないだろう。巣立った後もたまに鳴く程度で攻撃なんて全くといって良いほど行わない。ボソとはそういうカラスである。
 
 この雛が樹上で移動を始めるのは数日後になるかも知れない。そうなると雛の姿をしっかりと見る事が出来る。今はまだ刺激してはいけないと思うのでそうっと覗き見をさせてもらっているのである。早く大きくなってね!!

画像:ハシボソガラス(元気になりました)

コメント (6)
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