カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

家族愛2

2006-05-25 19:40:33 | 行動

 公園一早い繁殖をするボソの雛の巣立ちがあと10日程だと思い楽しみにしていたのだが、今日彼らに悲劇が訪れてしまった。雛が死んでしまったのである。

 今日の日中、知り合いの人と話をしていたら妙にボソが騒いでいるのが気になっていた。「巣立ちにはまだ早いし、今までも人に攻撃をした事なんてないし・・・・・」と話は上の空でボソの事ばかり気に掛かっていた。

 話が終わり、すぐさま見に行くと巣立った様子はない。巣を見てみようと思い、見易い場所まで行くと何か黒い布のような物が落ちているのが目に入ってきた。「何だろう?」と思い近寄ろうとした瞬間、タッチセンサーのスイッチが入ったようにボソが激しく鳴き出した。

 ボソの様子を気にしながら落ちている物体の正体を突き止めようと更に近寄る。すると布に見えていたのはカラスの死骸であった。しかも雛である。このボソに雛に間違いはなく、♀の方がより激しく鳴いていた。♂は少し離れた場所から鳴いていた。
 
 私は可愛そうなので雛にティッシュを被せて袋を持って来てもらおうと管理事務所に連絡をした。すぐに袋を持って来てくれてボソを刺激しないように雛を袋へ入れた。ボソは激しく鳴いてはいたものの威嚇をしてくる事はなかった。
 
 雛は既に少し突かれていて、股の部分の羽がなくなっていた。ブトが近くにいたので食べようとしたのかも知れない。しかいし雛が落ちていた場所は歩道なので近付く難かったのだろう。雛は嘴がほとんど黒くなっていて、翼の大半は広がっていた。尾羽はまだまだ短かった。

 自然に死んでしまい親が巣から出したのだとしたら、親自身が雛の死を認識している筈なので、鳴き続ける事はないように思える。多分ブトに襲われたのか、何かに驚いて巣から落ちてしまったのだろう。このボソと道路をはさんだブトとはとても仲が悪い。数年間もブトの雛がボソの縄張りに侵入してしまい、親同士の激しいバトルがあったのだ。
 
 雛は気の毒な事になってしまったのだが、これも自然の摂理という物であり致し方のない事だろう。親もすぐに落ち着きを取り戻していたようで安心した。巣の中が見難いのであと何羽の雛がいるのか分からないのだが、このボソの雛数は実に少なく2羽と言う事が多い。昨年は1羽だった。

 今日改めてカラスの家族愛の強さを思い知らされた気がしてならない。たとえ死骸になっていても自分の雛を守ろうとしていた親の行動には感動してしまったのである。雛が残っていたら無事に巣立って欲しいし、まだ再営巣出来るパワーがあるのなら頑張って欲しいと願うばかりである。実はこのボソ夫婦は水飲みボソ養子の親である。

画像:ハシボソガラス(今日雛を1羽失いました)

コメント (9)
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