コミュニティふぁーむ日記

北海道の寿都・黒松内町の小さな農家と小さな自然学校が協働し土や作物だけでなく人も有機的につながる農場づくりを始めました。

やってゆきたいこと

2014-06-19 16:43:45 | コンセプト・理念

真夏日の日照りが続いたと思えば、ここ2週間は小雨交じり、時には本降り、時には霧(ここいらではジリと呼んでいます)がありと、今度はお日様が欲しい毎日が続いています。
種まきはひと段落をしていますが、畑の生育は一長一短です。 なかなかうまくゆかないもんですね。

コミュニティファームは、作物だけでなく、人も地域も有機的につながる農園を目指しています。


  

農作業の後には、ちゃんとお昼ご飯や休息おやつもキチンと出したいのですが、これはまたこれで人手がかかります。でも、ここをちゃんとしないと、ただ作業をするだけになってしまう。この按配に工夫が必要です。



地域の方々とも繋がりたい。自分たちの農場だけではなく、現役農業をリタイアしているお年寄りが自家菜園をしている畑にもお邪魔して、作業をお手伝いしたり、知恵をいただいたりとその関係性も作れるようなこともしたいと考えています。
その一環として、「元気いちば」という地域コミュニティマーケットを今年も開催します。 第1回は6月29日です。



作物を育てている農場だけでなく、周辺環境にも気を配りたい。土の中にはバクテリアや小さな生き物がたくさんいます。それらに連鎖する昆虫や鳥がいます。 そして、いろいろな植物も生えています。 それらを知ってゆきたい、知ることができる場にもしてゆきたいと考えています。









遺伝子組み換え作物

2014-05-09 09:00:52 | コンセプト・理念
これは去年の5月2日の報道です。

「国は遺伝子組み換え技術の応用飼料(トウモロコシ)の安全性を確認したと公表しました。

http://kanpoo.jp/page.cgi/20130502/h06038/0004.pdf?ref=%2Fd%3A20130502%2Fq%3A農林水産省&q=農林水産省」 

 こうして、少しずつ遺伝子組み換え食品(今回は飼料)が知らず知らずのうちに増えてゆきます。この報道から1年たっています。世界の遺伝子組み換え技術は加速度的に進んでいるのでしょう。

つまり、TPPなどによる貿易の自由化は、除草剤にも耐えられる、虫が寄り付かないトウモロコシ等の食品、飼料が輸入される、あるいは種が販売されるようになる、国内で生産できるようになるということですね。 こういう食物をモンサントなどの種苗・薬品会社は増やしてゆこうという世界戦略です。生産される作物の前に、「種子」を押さえてしまうのです。

ちなみに、園芸屋さんに売られている様々な種子の入った袋の裏面をみてください。 アメリカ、アルゼンチン、タイ、ブラジル・・・と日本で生産されている種を見つける方がたいへんです。 食糧自給率がなんぼとか国は言っていますが、実は種ベースの食糧自給率は急速に落ちているのです。 

はたまた、もっと根源的な問題は、遺伝子組み換え作物は、人間の健康に??という議論ではなくて、もっと近々的に大事なことは、現在の生態系への影響の方が大きいと思います。

 トウモロコシに頼った虫の食べ物がなくなり、その虫に頼った生き物が食べ物がなくなる・・・、除草剤によってなくなってしまう植物に頼って生きている微生物や昆虫もいるわけですから、遺伝子組み換え植物は、生物界の連鎖に大きな影響を与えることが、容易に推測できるわけです。

それに対して、反対は表明続けてゆくにしろ・・・、金儲け資本主義・グローバル経済で行われんとしているとんでもないことは、もう止めどもないでしょう。

だから、それに対抗して、生態系にも配慮したローカルな食料安全保障をどうやって確保してゆくか・・。

これが、我ら、ローカル族の今後、今すぐな大きな命題だなあ。

なぜ、コミュニティふぁーむなの?③

2014-04-19 04:07:21 | コンセプト・理念

 

東日本大震災の被災地支援で展開したコミュニティ活動を応用して、2012年秋から北海道苫小牧にある植苗病院にて「森林療法・自然療育活動」を心身の病を持つ患者さん達を対象に精神科医・瀧澤紫織医師と作業療法士さんの協力を受けて実施しています。

 その中で、OCHANOVA(お茶の場)活動を試みています。OCHANOVAは、野外に椅子やテーブルを配置し焚き火を囲み、お茶を飲み、時には葉っぱや枝を使って自然クラフト、ハーブの足湯や手湯をし、私達スタッフやボランティアさんと会話を楽しむといった活動です。結果、良い療養効果が現れ、現在も月に1回のペースで試行を続けています。







 ヨーロッパには、Eco-Therapyといった概念や実践事例が数多くあります。これは、OCHANOVA活動に相通じるものがあります。

農園で作物を育てたり、運動やクラフト作り、環境保全活動をしたり、ガーデニングなどが主な活動ですが、心身の健康促進、Wellbeing (人生を豊にしていく事)に役立つのです。農場で仲間と共に労働することで気分が癒される、精神療養効果が現れています。

 http://www.mind.org.uk/about-us/policies-issues/ecotherapy/

また、さまざまな農作業や里地里山づくりの過程に、さまざまな人々が関わり合える場とすることが必要と考えています。


 



なぜ? コミュニティふぁーむ なの?②

2014-04-14 23:44:48 | コンセプト・理念
日本各地に存在する過疎地域。私たちはその地域本来の豊かな自然や文化の価値を再度見直すことで、新たな地域づくりを行いたいと考えています。


日本全国各地には、このままでは荒廃してしまう畑や田んぼが数多くあります。しかし農地利用のいろいろな制約、担い手のマッチング等のざまざまな課題のために、有効な利用方法がなかなか見つからない現状があります。一方、国際的農産物市場と競争するために、日本の農業は農地の集約、大規模農法、企業の参入の道を進んでいます。しかし、過疎地域の小さな田畑ではそれも難しく、里地里山の荒廃が心配される現実もあります。

地域活性の手法として6次化産業があちらこちらの町村で試みられています。農林水産業・加工業・サービス業とかけ合わせて、新しい経済活動を興す試みです。その方法でうまくゆく地域もあるでしょう。ところが、これは一方では都会の人の嗜好に合わせた農産物という加工商品を作り出し、「販売する」競争型の経済活動でもあります。

もちろん、それも過疎地の地域振興には重要なことです。しかし、それだけではなく、本来の「田舎にある」社会的価値を都会の人に知ってもらうには、農地で「交流できる場」を作り出すことが大切だと、私達は考えています。


私たちは、自然豊かな田畑・地域で行う作業・体験活動そのものに人々の精神保健的(癒し・療養効果・リクリエーション・喜びなど)な魅力を付加させた「交流型農場」を作り出したいと考えています。

 こうすることにより、大規模農業化・グローバル農業化の波に残され廃れゆく地域・土地の保全と地域活性化への「もうひとつの手立て」となる可能性があり、農山村に住もうという若者を少しでも増やすことにもつながるはずです。

日本の農山村には、経済としての作物生産地としての役割だけでなく、たくさんの生き物がすむ豊かな自然、昔から暮らしてきた文化、精神的にも癒される風景や人といった「社会的価値」があります。

私達は、その「田舎そのもの」の価値を改めて感じることができる農場モデルをつくりたいと考えています。

なぜ? コミュニティふぁーむなの?①

2014-04-03 21:08:02 | コンセプト・理念
 NPOねおすは道内の各地に自然学校という拠点を作り、「自然と人、人と人、社会と自然」の繋がりづくりを、子どもの自然体験活動、エコツアーなどのプログラムを提供することで行ってきました。その拠点のひとつである、北限のブナ里・北海道黒松内にて「黒松内ぶなの森自然学校」を運営しています。 酪農、畑作業地帯であるとともに、水産業の町寿都の港までも10分でゆける農山漁村地域です。

 ここに3年前より果樹農園を始めた渡辺HARU農場と協働し、また地域の農家と連携しつつ、土や作物だけでなく、人や地域も有機的につながれるコミュニティファームなるものを始め、赤ちゃんからお年寄り、障がいのある人も訪れることができるような農場モデルを創造したいと考えています。 

 私達は、スタッフのひとりが岩手県釜石の出身であることが大きなきっかけとなり、東日本大震災による津波被害が発災した直後から現地に入りました。そして物資支援や子どものケア等の緊急支援活動から徐々に「地域づくり」にも関わるようになり、地域の活性化貢献するようになりました。そして、2013年6月にそれまでの活動拠点であった独自のボランティアセンターを「三陸ひとつなぎ自然学校」と発展的組織化させ、地域の実情にあった小さくとも継続的に中山間地の農業や漁業、小さなご商売の支援を続けています。

 ここで得た活動展開の手法は、被災地だけではなく、日本全国に数多く存在している過疎地域でも応用ができるのではないかと考えるようになりました。


 被災地支援の当初は物資の供給や子どものケアなど緊急的支援でした。その過程で地域からの信頼を得ることができ、支援活動も「地域づくり」への貢献と変化してゆきました。全てを失った小さな漁港のワカメやカキの養殖資材づくり、漁師と中山間地で農業を営む家庭の女性達が協働する食の活動、食堂の開店支援、仮設商店街のイベントなどさまざまな地域支援を展開しましました。
中でも、「青空広場」と銘打った被災者・地域の方々が気軽に立ち寄れる交流の場づくりは大変好評でした。被災者、地域の方、ボランティア等が自然に交流できるような場づくりです。これらの活動に若者・ボランティアが参加することで、結果的に被災地・過疎地域と都市の人々との交流が生まれ、地域に住む人々と都会からやってくる若者の双方が、「人が生きてゆくため・暮らしてゆくために何が必要なのか」を大いに学ぶことができる機会となりました。

ここで得たことを、過疎地域にて応用したいと考えています。

 中心となるのは小さな農場です。人がいつでもこれる利用できるような農場を目指してゆきたいと思います。