COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

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喫煙問題の反面教師:2歳の子どもが喫煙するインドネシア

2010-11-13 18:39:06 | Weblog

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はじめに
 昨年、病院で禁煙外来を開くなど喫煙の害の周知と予防に奔走しておいでのM先生の応援のつもりで、タバコ規制枠組条約(FCTC)に立ち遅れている日本の喫煙規制と、タバコ規制枠組み条約作りで、WHOから悪の枢軸と揶揄された日米独3国の歩みを掲載しました。国内では今年10月からタバコ税が増税になり、喫煙規制について一歩前進が見られました。今回は、最近の番組で見た反面教師とも言うべきインドネシアの凄まじい状況に触れながら、久し振りに喫煙問題に触れて見たいと思います。その番組は、11月8日のBS1で放送されたアジアクロスロード枠内のアジア街角レポートで、NHKジャカルタ支局の飯沼記者のレポートによるものでした。

番組で見たインドネシアの現状
 喫煙が盛んなインドネシアでは、タバコ販売に対する規制も緩く、至る所にたばこ会社の看板が出ている。増え続けるタバコの年間消費量は2400億本、世界第3位の巨大市場に外資も参入して激しい販売合戦が繰り広げられている。街では何処へ行っても路上でタバコ売りを見かける。1本でも売買できるのが特徴で、日本円で10円程度あれば手軽に手に入る。ひと箱当たりの値段も日本に比べておよそ四分の一、世界的に見ても安い価格で、愛煙家からはタバコ天国などと呼ばれている。安さに加えて喫煙の年齢制限もないため、子ども達の間にも広がっている。あるNGOが去年まとめた統計によると、中学生の3人に一人がタバコを吸った経験があり、10歳未満の子供の喫煙も増えている。増え続ける子どもの喫煙に対して、大人の側も問題意識が低いのが実情である。
 そんな中、スマトラ島に住むアルディ・スガンダ君(2歳)がタバコを吸う映像が世界に配信され、インドネシア国内に衝撃を与えた。両親が初めてアルディ君の喫煙を目撃したのは、市場であった。大人が不用意に与えたタバコをきっかけに、一時は1日に40本も吸うようになった。番組ではタバコを貰えないと暴れたり、祖母から小銭を貰って近くの店までタバコを買いに走るひどく肥満なアルディ君の姿が紹介された。
 番組では、このような現状を変えたいと活動しているセト・ムルヤディさんも紹介された。セトさんは永年子どもの人権保護に取り組んできた心理学者で、国家児童保護委員会のメンバーとして、4年前から子どもの喫煙対策に取り組んでいる。インドネシアでは多くの家庭でタバコが家計を圧迫して、食費が削られえるほど大人から子供まで喫煙の習慣が根付いている。セトさんは各地の学校を回り、タバコが健康に与える害について歌や絵を使って分かりやすく教えている
 メディアの報道でアルディ君のことを知って自ら治療を申し出たセトさんは、まずおもちゃで遊ばせてタバコ以外にも面白いことがあると教え、更に母親も一緒に呼び寄せて、1ヶ月にわたり心理療法士とともにカウンセリングを行った。治療の結果、アルディ君はタバコを欲しがることは無くなった。
 セトさんは子ども一人ひとりに対する訓練指導だけでは限界があると感じている。セトさんが所属する国家児童保護委員会は、子ども達のため、タバコ会社の宣伝活動の制限、税率アップによるタバコの値上げなどを含む法案を作成し、国会での審議を求めている。しかしインドネシアでは、たばこ産業から得る国家収入は年々増え続け、今年は日本円にして5800億円に達する見込みである。政府も国会も規制の強化には腰が重いのが実情である。セトさんは、「インドネシアでは、タバコ産業の強力な宣伝活動により、多くの子どもたちが犠牲になっています。これは国の未来にとっても脅威です。問題解決のためには、一日でも早く行動を起こさねばなりません」と語っている。

あとがき
 受動喫煙の害を訴える段階にある我が国より、インドネシアの実状はもっと遅れているように見えます。しかしこれは反面教師であって、これよりましであるからといって、我が国の現状を容認してはならないと思います。例えば、駅のホームの端の方に設置されている喫煙室はひどいものがあります。出入り口が開くともうもうと白煙が溢れ出てくる室内で、ひしめき合って喫煙している人々の姿は異様に映り、この人たちは自分の健康についてどのくらい考えているのだろうと考えてしまいます。国内ではM先生のような方にもっともっとご活躍願わねばなりません。インドネシアの実情は、将来的にがんや成人病の増加として反映されてくるでしょう。海の向こうのこととは言え、状況の改善を祈らずにはいられません。グローバルが進んだ現在、タバコや健康に害のある飲食料品産業との戦いもグローバルに進めなければなりません。

追記:11月12日のBS1 きょうの世界によると、アメリカではタバコのパッケージの半分を占めるスペースに健康に害をもたらすことを警告する文書や画像の掲載を義務付ける政策が発表されました。アメリカが最初に健康上の警告をしたのは1966年であったが、このような試みに関してはオーストラリア、ベルギー、ブラジル、ブルネイ。カナダなど30あまりの国々に後れをとっていたそうです。

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