COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

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フランスの経済学者J・アタリ氏が語る危機の核心と世界を襲う五つの波

2009-05-02 12:33:05 | Weblog
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目 次
はじめに
1.危機の核心とは何か
2.今後の世界を襲う5つの波の予測
 2-1) アメリカ支配の崩壊
 2-2) 多極型秩序の登場
 2-3) 市場が世界を支配
 2-4) 市場が無秩序をもたらす
 2-5) 新たな世界の誕生
3.危機を乗り越えるための活動
おわりに
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はじめに
 4月30日のきょうの世界の特集は、「経済危機の核心に何が~J・アタリ氏が語る21世紀」でした。この番組は、5月4、5日の両日、11:05‐11:49に総合テレビで放送のジャック・アタリ 緊急インタビュー「第1回 危機の核心とは何か」と、「第2回 世界を襲う5つの波」のエッセンスを紹介し、4、5日の放送の予告を兼ねたものでした。アタリ氏(Jacques Attali 、65)は経済学者であるとともに歴史家、思想家でミッテラン大統領顧問を務め、冷戦崩壊後の91年に、東欧の経済復興を支援するヨーロッパ復興開発銀行初代総裁に就任、現在もサルコジ大統領政策立案に関与しています。とりわけ、アメリカを震源とする金融危機を4年も前に予測したことで、発言が世界の注目を集めている人物で、きょうの世界で紹介された内容も、なかなか含蓄に富むものでしたのでした。以下は4、5日の本番組紹介をかねて書き込みます。

1.危機の核心とは何か
 東欧諸国がグローバル化する市場経済に巻き込まれてゆく様子を目の当たりにしてきたアタリ氏は、「冷戦崩壊後に、我々は世界的規模のグローバルな市場を持ったにもかかわらず、グローバルな民主主義は生まれていない。未だにグローバルな法律やルールを持っていない。国家が法律無しでは機能しないと同様に、ルールの無いグローバルな市場も機能しない。市場には誰が何を所有しているかについての適切なルールや、非効率にならないよう規制する公的な機関も必要である。しかしそうしたものがないグローバルな市場では、何も違法とならないので、金融業界は本来非合法なことでも、できるところがあればやるという傾向があった。グローバルな市場を持ったのにもかかわらず、それに見合ったルールが無かったという事実が、今起きている危機の核心なのだ」と語っています。
 また、資本主義の功罪についての問いに対して、世界が発展するための唯一の方法は、資本主義が法律や民主主義といった力とバランスを取り続けることで、利益を生み出す資本主義をルールによって抑制することが必要だと答えていました。

なお、危機の核心については、より詳しい記事を掲載したので、こちらもご覧ください。

2.今後の世界を襲う5つの波の予測
 より関心を寄せていただきたいのは、アタリ氏が語った「世界を襲う5つの波」です。アタリ氏はこれらが必ずしも順番に来るとは限らず、幾つかが同時に到来することもあると予測しています

2-1) アメリカ支配の崩壊
 アメリカそのものは残るが、唯一の存在ではなくなり、インフラ整備、水やエネルギー確保、膨大な借金返済で世界から撤退する。

2-2) 多極型秩序の登場
 アメリカに変わって10~15あるいは20ヶ国が世界を統治しようとする多極型秩序。現在のG20がよい例。いずれ失敗に終わる。理由は、国際協調はグローバルな市場に打ち勝つほど強力ではないから。

2-3) 市場が世界を支配
 超帝国が確立。一国支配の帝国ではなく、市場そのものが帝国となり、様々なものが民営化されてゆく。教育、保健、社会保障、そして長期的には、警察も、軍までもが。この第3の波が2040年には始まる。

2-4) 市場が無秩序をもたらす
 市場支配は長続きせず、今よりひどい無秩序をもたらす。エネルギーや水資源が極端に不足、気候変動も激しくなり、やがて戦争に発展し、アタリ氏が「究極の紛争」と呼ぶ超紛争の波で様々な国の間で紛争が起き、ありとあらゆる武器が開発される。アタリ氏は、超紛争を避けられることを願っており、避けることもできる筈と考えている。

なお、世界を襲う四つ目の波までについては、より詳しい記事を掲載したので、こちらをご覧ください。

2-5) 新たな世界の誕生
 超紛争後の世界には、別の統治方法が必要だとの理解が広まる。個々の自由に基づくのではなく、利他主義に基づいた世界である。人々は他人を援助することで、幸せになれることに気付き、母親が子どもに抱く優しさや、病院や医師、ホテルで働く人達のように、人を喜ばせることで幸せを見出す。アタリ氏が超民主主義と呼ぶ利他主義で、2060年ごろに起きる第五の波になる。アタリ氏はこれが超紛争の後ではなく、超紛争の代わりに起きることを願っている。

3.危機を乗り越えるための活動
 貧富格差の解消なしには、世界経済は立ち行かなくなると考えるアタリ氏は、発展途上国を中心に、低所得層に対して。無担保でも小額融資する新たな仕組みが必要だと訴え、自ら設立したNGOを通じてこうした融資を実践している。また、アタリ氏のNGOは、如何なる株主や特定の国の利益ともならず、世界のためにグローバルな融資をするものである。
 インタビューの終わりに、アタリ氏は以下のように語っている。「超民主主義においては、国家間で互いの政府の利益を守るような取引はなくなる。そこには人類全体の利益を考える政府ができる。過去においては、如何なる危機が起きても、人類は滅びることはなかった。しかし今や人類は、姿を消すような自殺行為をする可能性さえある。若しかしたら、21世紀、22世紀は無いかも知れない。だからこそ、経済危機、核の危機、気候変動など、地球の危機を真剣に管理しなければならない。人類の生存そのものがかかってくるからです。」

おわりに
 先日来、未来への提言のエマヌエル・トッド氏ジェフリー・サックス氏など含蓄の多い番組がありましたが、今回のアタリ氏の番組は総合テレビでの放送なので、より多くの方々が視聴いただけるのではないかと期待しています。より深くには、『21世紀の歴史―未来の人類から見た世界、ジャック・アタリ著、林 昌宏訳(作品社 2008、2400)』をご参照ください。
 アタリ氏が予測する今後の世界を襲う5つの波は、ローマクラブの依頼を受けてデニス・メドウス氏らが著した「成長の限界―人類の選択」に示された様々なシナリオに見られるように、適切な手立てを講じなければ、人類が成長の限界に達する可能性を示唆するものでした。アタリ氏の予測では、その限界が市場という帝国の崩壊に続いて起こる超紛争の時代になっています。超紛争の時代を避けて、超民主主義という利他主義の時代が少しでも早い到来を期待します。

なお、第五の波以降で語られたことについて詳しくはこちらをご覧ください。

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8 コメント

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緊急インタビューもお願いします (ぐらころ)
2009-05-05 11:56:08
はじめまして
ドラマ「ハゲタカ」が好きで、今回も見直していましたが、アタリ氏のインタビューを見逃してしまいました。そこで検索していてこちらにたどり着きました。丁寧かつ簡潔??(こんな表現、変ですね笑)な内容にまとめられていて

ドラマ自体、現実にはそこまで人の心は動くだろうか…お金の力のほうが強いように思いますが、アタリ氏の述べるトランスヒューマンなる愛他的人類とまでいかずとも、どこか人間臭いというか「情」や「仁」が通じる世の中であってほしいと思います。

ぜひぜひ、インタビュー本編の内容もアップお願いします。
空極の平和か?滅亡か? (吉野永人)
2009-05-05 12:53:18
今こそ人類の英知が求められている時代は有りません。私は常に孫達の活躍する時代が<20年~30年先〉来るのだろうかと本気で考えておるのですが、残念ながら今の為政者達は自愛と自利に長けて、他利他愛に欠けていると思われてなりません。私のブログで「永人のひとごころ」に「号外六号麻生太郎日記」を書いておりますが、益々先行きが不安になってまいります。
今後の本ブログに期待しております。
空極の平和か?滅亡か? (吉野永人)
2009-05-05 14:02:32
今こそ人類の英知が求められて居る時代は有りません。私は常に孫達の活躍する時代が<20年~30年先〉平和で迎えられるのかと案じております。特に為政者達の他利、他愛を軽視する傾向を心配しております。私は「永人のひとごころ」というブログを書いておりますが、貴ブログの「平和への啓蒙活動」に期待いたします。本ブログをお気に入りに追加させていただきました。
ぐらころさんへ返礼 (coccolith)
2009-05-05 23:26:51
よくお訪ねくださいました。
本番組の視聴記、私も書きたいと思っています。その前に「イモは世界を救う」について書く宿題があるので数日のご猶予を願います。そちらのURLをお持ちならお知らせください。
吉野永人さんへ (coccolith)
2009-05-06 14:07:49
途中で切れたコメントをいただきましたが、私の個人的メールアドレスにgooカラ転送された全文が届いております。同様の文章を投稿しようとしても、途中で切れてしまいました。理由不明ですが、コメント有難うございました。
第5の波を感じて (楽日堂)
2009-05-06 21:10:18
はじめまして。
5日の日テレビでアタリ氏の話を聞きました。
メモしたものを、どのようにまとめようかと、検索していましたら、このブログにたどり着きました。未来がよりよい方向に進むように、私達が何が出来るか、考えていきたいですね。

第5の波の中で、超民主主義
  ~利他主義~他人を援助すること。
人を援助し、喜ばせる。2060年にむけて
   
トランス・ヒューマン 他人の利益となる働き
新しいエリート 他人を愛する博愛の精神をもつ、グローバルな政府を築いていく人々、チームスピリット。

少し拾いました。

6月に勉強会をしようかと思います。
「危機の核心と5つの波」を読んで (Jii-Jii)
2009-05-07 09:13:16
昨日NHKの「ハゲタカ」と「J・アタリ氏の談話」を3ヶ日間観終えて、さて走り書いたメモを見ながらまとめましたが、もう一つ見終えたときの感受したイメージが掴めませんでした。

貴ブログを見せていただき本当に助かりました事は勿論ですが、十分に参考になりました。

深く深く感謝も仕上げます。
アタリ氏はイルミナティー (アイクファン)
2009-05-07 09:44:09
アメリカを使って…アメリカを破壊する
http://www.davidicke.jp/blog/20090215/#extended
宗教、教育、戦争、そして西洋化、いかにイルミナティは東洋を征服したのか?
http://www.davidicke.jp/blog/20080217/#extended
あなたの頭にあるのは誰の世界ですか?
http://www.davidicke.jp/blog/nl0007/#extended
全体主義的独裁体制の忍び足・・・しーっ・・・静かにしないと彼らが目をさます・・・
http://www.davidicke.jp/blog/nl0078/#extended
などなどをお読みにならることをお勧めします。
どうみてもアタリ氏は、イルミナティーの指導者の一人ですナ。

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