第3話
『誕生日会に家庭教師がクラス全員招待!』
吉本は慎一を助手席に乗せ、どこかへ向かっていた。
「♪さよな~ら~す~るのは つ~ら~い~けど
さよな~ら~す~るのは つ~ら~い~けど
さよな~ら~ さよな~ら~ さよな~ら~―」
「ちょっと。
『ドリフの大爆笑』のエンディングで歌われていた
『いい湯だな』の替え歌の中でも取り分け寂しいフレーズを
壊れたレコードみたく繰り返すのは何かの暗示ですか?
どんどん人里離れて行くし街灯もほとんどないし。
僕は一体どこに向かってるんですか?」
「捲くし立てるね~。 怖いの?」
「殺されたくないだけです。」
「いいねえ。
君の中で僕は得体の知れない殺人鬼ってとこか。」
「当たらずとも遠からずってところです。
大体僕はあなたの名前すら知らないんですから。」
「俺が吉本荒野じゃなかったとして、
それが一体なんだってんだ?」
「名前が違うんですよ?
そんな人に全幅の信頼を寄せられる訳ないじゃないですか。」
「名前が合っていたところで、
君が一家庭教師に全幅の信頼を寄せるとは思えないけど。」
「論点をすり替えないで下さい。」
「すり替えてるつもりはないよ。
名前がなんだって俺が茂之を虐めから救ったのは
紛れもない事実だ。」
「それは結果論です。 あなたのやり方は間違ってる。」
「だったら君が正しいと思うやり方で
茂之を救ってあげればよかったじゃない。
何もしなかった人間が理想だけを語るなんて
卑怯だとは思わないか?
正直に言えよ。
君は俺が怖いんだろ?
自分の物差しで測れない存在が不気味で仕方がない。
裏を返せば俺という人間が少しでも分かれば安心出来るって訳だ。
だから君に教えてあげようと思って。
俺のストーリーの一部を・・・」
病院に着いた。
「さあ、パンドラの箱を開けようか。」
病室の名札には吉本荒野。
生命維持装置に繋がれている男性。
「彼が本物の吉本荒野。 俺の弟だ。
出来の悪い俺とは対照的に 、
弟は絵に描いたような優等生でねえ。
君たち兄弟とは逆だな。
彼は教師になるのが夢でね。
東大に入っても両親の反対を押し切って中学教師になった。
でもその直後だった。 事故に遭ったのは・・・
やっと 自分の夢に向かって邁進出来るっていう時に
彼は全てを奪われた。
それが自分のように悔しくてね。
だから・・・俺は弟の夢を叶えるために教師になったんだ。」
「なんで学校の先生じゃなくて家庭教師なんですか?」
「簡単な話だよ。 俺は教員免許を持っていない。
でも・・・俺は俺のやり方で弟の名に恥じぬように
生徒と向き合っているつもりだ。
これでも茂之を教える資格がないというなら
ご両親に言ってもらって構わない。」
「本当の名前を教えて下さい。」
「雄大。 でも俺は、
これからも『吉本荒野』を名乗り続けるよ。」
翌朝、茂之にだけ吉本のことを教えた慎一。
一茂は舞香とホテル前まで行ったがキャンセルに。
けどご機嫌だった。
学校へ行き、恐る恐る教室へ入る茂之。
吉本のお陰でみんなに「おはよう」と声をかけられる。
虐めっ子もそ知らぬ顔。
家で勉強している最中も笑顔になる茂之。
「気持ちわ~る~い~。」
と言いながら写真を撮る吉本。
もうすぐ茂之の誕生日とのことで誕生会をやろうと提案する。
「クラスメートと親交を深めるチャンスじゃない。
ねえ、やろうよ。やっちゃおうよ!」
「それはちょっと~。」
「犬のお前に選択肢はないんだよ。」
ノルマ20人を課せられる茂之。
茂之の部屋から出て来た吉本に声をかける慎一。
「あれから色々考えたんです。
昨日の話にはどれも裏付けるものがなくて信憑性に欠けます。
だから検証しようと思ったんです。
あなたがホントに吉本荒野の兄なのかってところから。
事故についてもあなたの人殺し発言を鑑みれば・・・」
「これ以上 詮索しない方が身のためだと思うよ。」
吉本に渡された封筒の中を見ると、
万引きの写真が何枚も入っていた。
「優等生を演じるのもストレスが溜まるんだろうねえ。
仲良くしようよ。 ねえ。」
慎一は部屋で吉本のサイトを見ていた時、
部屋に吉本が来て頼みがあると言う。
サウナ中の一茂と吉本。
家で茂之の誕生会をやることにしたと告げる吉本。
吉本は佳代子の主婦仲間にも声をかけ、
誕生会でフラダンスを踊ってもらいたいと頼んでいた。
一茂には大学時代にフォークソング研究会に
入っていたとのことで歌を頼む。
茂之の子供の頃から現在に至るまでの画像を繋ぎ、
半生を語るスライドショーにすることを頼まれていた慎一。
バックには小田和正の曲を流すよう。
茂之は招待状作り。
「あっ、いいねえ。」
「ホントにやるんですか? 中3で誕生会って・・・
しかも親が出し物なんて恥ずかし過ぎますよ。」
「そう言うなよ。 お前の力になりたいんだって。
愛されてるよなあ。 羨ましいよ。」
「別に そんなんじゃ・・・」
翌日、学校へ行きクラスメイトの机の中に招待状を入れる茂之。
見たクラスメイトは驚く。
吉本はまた家族の隠し撮り。
慎一のベッドの下を漁っていた佳代子。
そこへ慎一が帰って来て、勝手に部屋に入るなと。
吉本に渡された写真を見せた慎一。
「あのさ、この写真 母さんが撮ったの?」
「どこだろ、ここ。 見覚えないけど。」
その時、シャッター音が。
「玄関のドア開いてましたよ。 不用心だなあ。」
「・・・ちゃんと閉めてたはずだけど。」
一茂は寝室でギターを弾きながら歌の練習。
佳代子と話をしていた時、舞香からメールが。
『家の前にいます』
それを見て慌てて出て行く一茂。
忘れ物を届けに来たと入構証を渡す舞香。
そこへ吉本が来た。
「あれ~? お客さんもう帰しちゃうんですか?
あの良かったら一緒に夕飯でもどうです?」
「あのね、君んちじゃないでしょ?」
結局、舞香は一緒に夕飯を食べることに。
一茂は内心焦っている。
話の流れで誕生会にまで来ることになった舞香。
その頃、慎一は飛鳥と吉本荒野の入院している病院にいた。
吉本の家族に会いたかったようだが響は来なかった。
舞香を送って行く一茂。
誕生会終わったらこの前の続きをしようと誘われる。
「この前の続き?」
「も~、ホテルですよ。 ラブホテル。」
「ああ。・・・ フフ。」
学校で茂之は誕生会に参加する人数を教えて欲しいと
クラスメイトに聞く。
全員参加するよう。
佳代子は料理の準備。
一茂は誕生会のセッティング中。
今日も吉本荒野の病室の前で待っていた慎一。
そこへ女性がやって来た。
「あの、吉本荒野さんのご家族の方ですか?」
「そうですけど。」
女性と話した慎一。
「あなたが心配なさってるようなことは何もありませんよ。
雄大は確かに荒野の兄ですし、
この子に代わって教師の道を進んだのも事実です。
勿論、荒野の事故に一切関係ありません。」
「そうですか。
不愉快な思いをさせてしまってすいませんでした。
じゃあ、失礼します。」
帰って行く慎一に女性は言った。
「気を付けた方がいいですよ。
あの男は悪魔ですから。」
夜の教室にいた吉本に病院の女性から電話が。
「慎一くんが来ました。」
「余計なことは話してないでしょうね?」
「指示された内容しか話してません。」
「そうですか。 ご苦労様です。」
「もうこれで勘弁していただけませんか?
息子は罰を受けました。
これ以上 私たちに関わらないで下さい。」
「嫌です。 これからも会いに行きますよ。
忘れて欲しくありませんし。
僕と息子さんは・・・共犯なんですから。」
誕生会当日。
茂之はクラスメイトを迎えるため外へ。
吉本はビデオカメラをセッティング。
みんな準備万端だが、時間になっても誰も来ない。
フラダンスの主婦たちは帰って行った。
吉本は1人で料理を食べている。
一茂に舞香からメールが。
急用が入って行けなくなったとのこと。
それを見た佳代子が携帯を見せてと言い出し、
一茂ともめ出した。
茂之を見てくると言い、
慎一の手を引っ張って外に出て行く吉本。
立てかけてあった梯子を登って行き、
ベランダから部屋へ入った。
部屋にはリビングの様子がパソコンのモニターに映っている。
「何を企んでるんですか?」
「今日さ、ホントに茂之のクラスメート来ると思った?」
「当たり前じゃないですか。」
「来る訳ないだろう。
友達なんかいないんだから。」
「じゃあ、なんで誕生日会なんて開いたんですか?」
「次のステップに 進むためだよ。」
『とりあえず家に帰ってこい』と
吉本からメールが届いた茂之。
リビングにいる一茂と佳代子。
テレビに映像が流れ始めた。
映像と共に一茂と舞香の会話が・・・
愕然としている一茂に佳代子が泣きながら言った。
「一縷の望みだったんです。
今日で変われるんじゃないか。
この誕生会で思い描いてた家族になれるんじゃないかって・・・
でも、やっぱり駄目でした。
どこまで苦しめれば気が済むの?
見て下さい。 あなた1枚も写ってません。
子供のことは全部私に押し付けてきたから。」
「押し付けてって・・・しょうがないだろ。
仕事が忙しかったんだから。」
「仕事? 仕事! 仕事!!
その言葉が私を壊したんです。
この頃は可愛かった。
どんなに腹が立っても、一瞬の笑顔で、優しさで全て許せた。
でも大きくなるにつれて言うこと聞いてくれなくなって、
愛することさえも義務のように思えてきて。
今ではこの子たちが何を考えているのか全く分かりません。
理解したいとも思いません。」
ドアの外で聞いていた茂之。
「うわっ! 思ったよりヘビーだなあ。
大丈夫かな、茂之くん。」
「嫌なんです。
結婚しなければ、子供が生まれなければ、
私には別の人生が待ってたんじゃないかって。
そんなことを思う自分が堪らなく嫌なんです。
こんな妻になりたくなかった。
こんな母親になりたくなかった。」
「すまなかった。 何も分かってやれなくて。
俺が悪かった。 子供たちに罪は・・・」
「分かってます。 今日・・・今日だけですから。」
泣き出す佳代子。
手を叩く吉本。
「大人だねえ。 けど茂之にとっては
悲惨な誕生日になっちゃったなあ。」
吉本に掴みかかった慎一。
「ふざけんなよ、お前。
あんたのせいだよ!
あんたが全部ぶっ壊したんだ!!」
「勘違いするな!!
俺は舞台を用意しただけだ。
ここで起きているのは全てリアル。 本音だよ。
君だって、茂之を祝うために
ここに来た訳ではなかったんだろ?
俺の弱みを探すために参加したにすぎない。
つまり、君にとっても茂之なんか
どうでもいい存在だったんだよなあ~。」
「違う。」
「いや―」
「違う。」
「だったら、こういう時に
茂之がどこに行くのか知ってるのか?」
吉本は慎一の腹を殴る。
「親戚のおじさんの方が茂之のこと詳しかったよ。」
雨の中、歩いていた茂之は
クラスメイトにぶつかって転んだ。
みんなゲーセンにいると聞き、ゲーセンに行く茂之。
そこで本音を話しているのを聞き、
茂之は大声で叫びながら走り出した。
おじさんに電話して、
茂之が落ち込んだ時に行く場所を聞く慎一。
飛鳥も来た。
茂之が秘密基地に着くと、吉本が待っていた。
逃げ出した茂之を追う吉本。
茂之は転んでしまう。
「簡単に友達が出来ると思ったか?
自分で突き放した家族が
変わらぬ愛情を注いでくれると思ったか?
友達が1人もいない。 家族からも見放されている。
それがお前の現実だ。 悔しいか。
だったらお前が変わるしかないんだよ。
立て。 立てよ! もう 泣くな。
今日は黙って涙を拭け。」
「でも・・・」
「明日になっても涙が出るなら、
その時は俺が一緒に泣いてやる。
前に言ったろ。 お前の味方だって。」
茂之を抱きしめる慎一。
「俺がいる。 俺が・・・お前を変えてみせる。 」
影で見ていた慎一と飛鳥。
「なんだ。 いいやつじゃん。」
「これが本当の狙いだったんだ。
茂之を丸裸にして手を差し伸べる。
これで吉本は茂之にとって絶対的な存在になった。」
慎一は絶対何か隠してると言い、
パソコンで吉本を調べる。
すると『吉本荒野を訴える会』というサイトが。
クリックしてみると・・・
『私の家族は吉本荒野に殺された』
その頃、茂之は吉本と秘密基地で楽しそうにしていた。
まだまだ謎は明かされず・・・
本物の吉本荒野とはどんな関係なんだろうか?
ラストに出て来たサイトも吉本が作ったっぽいんだけど。
探偵バリに色々調べている吉本が、
あんなサイトを知らないはずがない!!
慎一は吉本の掌の中で踊らされてる気がする・・・
舞香も何者なんだろうね~。
気になるわ。
タイミング良く現れたりするから、
絶対吉本と繋がってそうなんだけどな。
続きが気になって仕方がないね~。
次回は拡大版のようで・・・なんで?
まぁ、翔くんがその分多く見れるからいいけど(笑)
しかしブラック翔くんもステキね♪(>艸<*)
冒頭の歌には笑ったよ。
第1話 第2話
>ラストに出て来たサイトも吉本が作ったっぽいんだけど。
思いました、思いました!ヤラセ臭いですよね。
>慎一は吉本の掌の中で踊らされてる気がする・・・
頭が良くても、まだ子どもですからね…
やがて慎一も悪魔に取り込まれるんでしょうね。
>冒頭の歌には笑ったよ。
ラップで歌ってくれたらもっと良かったですよね♪
あの黒さがちょっと癖になってます(笑)
>思いました、思いました!ヤラセ臭いですよね。
ですよね!!
ヤラセ臭いですよね。
>やがて慎一も悪魔に取り込まれるんでしょうね。
悪魔に取り込まれてしまった慎一が
どんな風になるのかちょっと楽しみです。
>ラップで歌ってくれたらもっと良かったですよね♪
確かに!!
ラップバージョン聴きたかったなぁ~(笑)
櫻井翔君がお気に入りですか?
>舞香も何者なんだろうね~。
この子も吉本のファン
いやはや(笑)
吉本に頼まれたとかで繋がってますよねー。
それと
慎一の彼女も吉本絡みな気が。
吉本が偽なのか?過去とか
謎が色々とあって
この先、どうなるか?気になりますねー。
>マカさんはもしかして
櫻井翔君がお気に入りですか?
もしかしなくてもお気に入りです!!
何を隠そうJrの頃から目を付けていました(笑)
>吉本に頼まれたとかで繋がってますよねー。
そうですよね。
繋がってますよね!!
>それと
慎一の彼女も吉本絡みな気が。
えっ!? そこもですか???
それは考えていたなかった・・・
繋がってたとしたら怖いわ~(-_-;)
>吉本が偽なのか?過去とか
謎が色々とあって
この先、どうなるか?気になりますねー。
気になりますね~。
謎だらけでホントこれからどうなるのか
楽しみですよ。