第4話
『好きになってるじゃん、私』
波奈江の写真を撮る朝日だが、
当の波奈江は緊張して表情が硬い。
朝日のいつも通りの方がいいんじゃない?との言葉で、
普段着に着替えいつもの光景を撮ることになった。
撮ってるうちに緊張も取れ、いつも通りの表情をする波奈江。
朝日は家で波奈江の写真をチェック。
そこへ孝至がやって来た。
「なあなあなあ。 今この町大変なことになってんの気付いてた?」
「大変なこと?」
「いい女が選び放題だってことだよ。」
「勝手に選んで下さい。」
「まずは心の大本命夏希ちゃんだろ。
躍進著しい帰国子女のあおいちゃん。
そんでまあ押さえの押さえで波奈江。」
「波奈江?」
「いや。 あいつも薄目。 もう薄目で見るとね、
最近なかなか可愛いってことに 気付いた。」
「お前どの面下げて言ってんだよ。」
「いや。 お前だって散々波奈江に興味がないって言ってたくせに、
何今更いい人ぶってんだよ。」
「それ昔の話な。」
「ごめん。 今なんつった?」
「だから昔の話。」
「え~っ!?」
「うるさいよ!!」
「えっ? お前遂に波奈江に目覚めたのか?
決して動くことのなかった山が遂に動き始めたんですか?」
「2cmぐらい。」
「2cmも? 今まで1mmも、
1mmたりとも動かなかった山が2cmも動いたのか?
お前の気持ちは手に取るように分かるぞ。
香澄を諦めて波奈江を目指すってことは、
つまりメジャーリーグを諦めて
草野球チームで妥協してもいいのかって話な。」
「お前いい加減にしろよ。」
海の家で焼きそばを食べていた朝日に
波奈江の写真を撮ったんだって?と夏希が話しかける。
波奈江のことなんとも思ってないのか?と。
この10年間なんとも思ってなかった女だと朝日。
「何も分かってないわ。
あのね、なんとも思ってなかった期間なんてどうだっていい訳。
大事なのは今どう思ってるかでしょ?」
「これがそんな簡単じゃないんだって。」
「あんたは難しく考え過ぎなの。
話したくなったら連絡すればいいし会いたくなったら会う。
ただそれだけのことでしょ?」
「だからね、この10年間会いたくない時も会ってたし、
話したくない時も話してたんだよ。」
朝日はもう身内みたいなものだと言う。
「じゃあ、もうあれだよ。
もう2人で思いっ切り酔っぱらって寝るしかないわ。」
「よくそんな品のないことスッと言えるよね。」
「だってそうでもしなきゃ関係性変わんないんでしょ?
それとも何? また何年も何十年もかけて
この恋愛を進めようとでも思ってる訳?」
「そうは思ってないけど。」
「あんたに任せてたら波奈江の寿命が持たないわ。」
「大丈夫っしょ。 あいつ相当長生きするから。」
帰る時、勢津子の焼きそばよりも
夏希の焼きそばの方が美味しいと言った朝日。
その言葉に嬉しそうに笑う夏希。
孝至は光に朝日の心が波奈江に2cm動いたと教える。
波奈江はそのことを知らないが、時間の問題だろうと。
『香澄と出会ってから4年が経とうとしていた。
どんなに忘れようと思っても忘れられなかった香澄を、
こんなにも遠くに感じたのは初めてだった。
それがずっと側に居続けてくれた波奈江という存在によるものなのか、
それとも力強く背中を押してくれた夏希によるものなのか、
まだこの時は分からないでいた。』
写真館に家族写真を頼みにお客さんが来た。
海で写真を撮って欲しいとのことで、朝日が担当することに。
子供の雄太にとって初めての海らしい。
賢二の店に来ていた波奈江と光。
光のバイト先が潰れるよう。
賢二は光に夏なんだから仕事じゃなく恋をしろと言い、
波奈江もそれに賛同。
「光。 夏が誰にでも熱い季節だと思ったら大間違いだぞ。
じっとしてるやつには冷たい季節だ。 覚えとけ。」
「いつまでもじっとしてると思ったら大間違いですよ。」
砂浜で撮影する朝日。
オムライスを食べたいという雄太のために、
夏希にビール奢る約束で本格的なものを作ってもらう。
食べた雄太はまあまあだと。
母親が雄太のまあまあは最上級の褒め言葉なんだと教えてくれる。
雄太は大きい手術を控えているとのこと。
成功が100%保証された手術じゃないようで、
少しでもいい思い出を残してあげたいと思ったそう。
でも海に入らせてあげることは出来ないんだと。
朝日は雄太に海での楽しみ方は海に入るだけじゃないと。
海に入るよりもっと楽しいこと教えてやると宣言。
その夜、そう宣言したので知恵を拝借しようと、
仲間たちに集まってもらう朝日。
遊びを出し合うが決まらず・・・
波奈江の部屋へやって来た夏希。
「しかしさ、宿題なんて何年振りだろうね。」
「まあ大丈夫だよ。
言い出しっぺの朝日が何かしら思い付くと思うからさ。」
「でもなんか羨ましいな~。
あんなにも思い出の詰まったさ、場所と仲間がいて。」
「まあ仲間っていうか、
私がただ朝日の側にいたかっただけなんだけどね。」
「っていうかさ、あの人最近吹っ切れた感じしない?」
「あれ? そう?」
「うん。 波奈江が10年惚れてきた理由がちょっと分かった気がする。」
「えっ? ちょっと勘弁してよ?
夏希とライバル関係になるのだけはごめんだからね。」
「バッカじゃないの? 私はね、
波奈江の助っ人外国人に徹するんです。」
そこへ朝日から電話がかかって来て嬉しそうにする波奈江。
道具が波奈江の家の物置にあると思うと言う。
翌日、水鉄砲を手に2チームに分かれて対決。
水鉄砲を使って敵の陣地にあるペットボトルを
先に発射させた方が勝ち。
水で的を射抜くと発射するようになってるとのこと。
雄太も楽しそうに遊んでいた。
いい写真が出来上がり、帰ろうと言われた雄太。
今日は朝日と一緒に寝ると我が儘を言う雄太にまた今度と。
「今度なんて本当にあんのかよ!」
その言葉に返す言葉がない両親。
朝日は快く受け入れた。
光と帰る波奈江。
光はレンタルビデオ屋が潰れるのは嘘だと、
けどバイトを辞めたのは本当だと言う。
「どうして? 分かった。
毎週延滞料金払いに来てた朝日が来なくなって寂しくなったからだ。」
「お前だよ。」
「えっ?」
「毎日来てたお前が来なくなったからに決まってんだろ。
もうさ・・・あいつのこと追いかけんのやめてくんないかな?
俺・・・お前のこと好きだから。」
「嘘でしょ?
光はずっと私のことなんてバカにしてると思ってたよ?」
「そんな訳ないだろ。」
「だって光は頭いいしさ、冷静だしさ。
私みたいな女一番興味ないと思ってたよ。
だからそんな風に思ってくれてるなんて全然気付かなかった。
ありがとう。」
「なんだよ? なんだよ、ありがとうって。」
「ごめんなさい。」
そう言い、帰って行く波奈江。
賢二が夏希に勢津子がそろそろ復帰出来そうだと、
けどこのまま夏希に残ってもらいたいと言う。
ゆっくり考えといてと賢二。
夏希に朝日から電話がかかってきて、出ると雄太だった。
そして朝日から出前を頼みたいと言われ、
朝日の家に来てオムライスを作る夏希。
朝日には焼きそばを作ってあげた。
帰ろうとする夏希の手を握り、帰らないでと雄太。
手術が怖いと・・・
そんな雄太を励ます朝日。
怖いことに勇敢に立ち向かってる人はそれだけでかっこいいと。
「雄太さ、英語で勇敢ってどうやって書くか知ってる?」
「それって勇敢じゃなくてYOU CANでしょ。」
「YOU CANってどういう意味?」
「あのね、君なら出来る。」
「そう。 だから雄太が勇敢に立ち向かえば不可能なんてないの。
人は勇敢である限りYOU CANである。」
レベルの低い駄洒落だと夏希と雄太。
そのうち、雄太は眠ってしまう。
雄太の絵日記を夏希に見せる朝日。
『いままでたべたオムライスで1ばんおいしかったです』
川の字で眠る3人。
朝日は夏希に自分の選択は間違ってなかったと言う。
夏希をこの町に呼んだこと、来てくれたことも良かったと思ってると。
「ふ~ん。 オムライスと焼きそば作ったぐらいで
そんなに褒めてもらえるんだ。」
「今日のことだけじゃなくてさ。 看板の人のこと。
あなたがいなかったらずっと引きずってたと思うし。」
「いや、それはどうかな。」
「もう大丈夫だから。」
「ホント?」
「いや、ホントに。」
「ふ~ん。 まあ私もこの町に来て良かったな~って思ってるよ。」
翌日、雄太の見送りに夏希と波奈江がいた。
朝日はまだ来てない。
雄太が朝まで一緒だったと、夏希も泊まったと話す。
「昨日の夜に雄太に呼び出されてオムライス作らされたんだよ。」
「ああ。 それで朝日の家に朝までいたんだ。」
「そうそう そうそう。」
「俺たち3人で寝たんだよ。」
「いや、別に何もないよ。 何もないからね。 何もないって。」
「いや、そんなこと疑う訳ないじゃん。
信頼してる助っ人外国人なんだから。」
朝日がやって来て、雄太に渡すものがあるとおみくじを渡す。
そこには『大大吉』と書いてあった。
「大大吉って何?」
「大吉の何倍も幸運が訪れるおみくじ。」
「あっ、見てここ。 病は全て良くなり心身ともに健康にだって。
良かったじゃん。」
「ここのおみくじさ、すげえ効果あるって有名なんだよ。
だからこれをお守り代わりに持っとけば、
絶対手術上手く行くから。」
「ありがとう。」
雄太はバスで帰って行った。
夏希も仕込みのため帰って行く。
朝日と波奈江は2人になった。
波奈江にもお土産とおみくじを渡す朝日。
大吉が5枚。
大吉5本で大大吉だと朝日。
その頃、バスの中で絵日記ノートを開く雄太。
『来年また一緒に
ロケット花火打ち上げてやろうぜ』
と写真の裏にメッセージが。
写真は水鉄砲を構えてる雄太が写っていた。
まあまあかなとご機嫌の雄太。
朝日は波奈江に一緒に来て欲しいところがあると。
行った場所は看板の前。
「頼みって何?」
「親父さんにあの看板外してくれってお願いして欲しいんだ。」
「えっ? いいの?」
「うん。」
「本当にいいの?」
「俺にはもう必要ないもんだからさ。」
朝日に抱きつく波奈江。
朝日も遠慮がちに抱きしめると更に強く抱きつく波奈江。
う~ん・・・
いいのか、朝日。
香澄のことはなんとか吹っ切ったとしても
波奈江を受け入れるの早くないか?
まだ戸惑ってる風だし。
またやっぱりダメでしたってなったら波奈江が可哀想だから、
ちゃんと考えてから受け入れるなりなんなりして欲しい。
光は波奈江に振られたけど、
そのモヤモヤしたまま、あおいに行くのは如何なものだろうか・・・
夏希もモヤモヤしてるみたい。
朝日のことが気になりだしちゃったかな?
相変わらずジメッとした梅雨のような展開だけど、
スッキリ爽やかな夏っぽくなるのはいつになるんだろうか。
そしてまた福さま出なかった・・・(>ω<。)
もう登場はないのかなぁ・・・
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