チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

監視国家がお好きであれば、E-Verifyプログラムがおすすめです

2013-07-11 11:57:25 | 監視国家
Texas Straight Talk 2013/07/01

If You Like The Surveillance State, You’ll Love E-Verify

監視国家がお好きであれば、E-Verifyプログラムがおすすめです(拙訳:チモシェンコ大村)

国家安全保障局(NSA)による大規模なスパイ活動、政敵を攻撃するための国税庁(IRS)の利用、オバマケアの一環としての国民の医療情報の収集と共有――この国では毎日のように新たなプライバシーの侵害が明るみになります。残念ながら、今週、上院では、全体主義的な監視国家へのさらなる大きな一歩が踏み出されました。移民改革法案の中に、E-Verifyと呼ばれる強制的な国民IDシステムが埋め込まれることになったのです。

このE-Verifyというプログラムについて議論するために上院ではほとんど時間を割きませんでした。唯一行われた議論と言えば、不法移民の就労を防ぐ上でこのプログラムがいかに有効なツールになるか両党こぞって称賛しただけです。E-Verifyがほとんどすべての米国人のプライバシーと自由に影響を与えうるにもかかわらず、これが注目を集めていないというのは悲劇的なことです。

強制的なE-Verifyシステムは、国民に、“不正改ざん防止機能のついた”ソーシャルセキュリティカードの携帯を義務付けます。正式に仕事を始める前に、米国民はこのカードを将来の雇用主に提示しなければなりません。そして次は雇用主が、連邦政府が新たに作るE-Verifyデータベースにアクセスし、将来の従業員の身元や職業上の適正を確認しなければならないのです。データベースには、パスポートや州の運転免許証から得られた写真が含まれます。さらに、同法案は、その他の“生体認証情報”をデータベースに加えるにあたって連邦政府職員に多大な裁量権を与えています。また、“不正改ざん防止機能のついた”カードにどのような機能をつけるかについても、役人に大きな権限を与えています。

不法移民についてどのような考えをもっていようと、就職する前にまず連邦政府に許可を得なければいけないというのは、すべての米国民にとって非常に不快なものに違いありません。このシステムのもと、多くの米国民が就労の機会を奪われるでしょう。E-Verifyデータベースは誤って多くの人間を“不適格”と判断することになるでしょう。こうした政府のコンピューターの不正確さに抗議する一方で、多くの人が就労の機会を失うのです。また、E-Verifyにより、企業には、法令順守のためにさらなるコストがのしかかることになるでしょう。オバマケアやその他の規制に対応するためすでに苦戦している矢先にです。

Competitive Enterprise Instituteのデビッド・ビエーによると、E-Verifyが就労とは無関係の目的で利用されることは避けられそうにありません。同プログラムの利用拡大は、役人や大統領令によって承認されることになります。したがって、もしこの法案が可決されれば、E-Verifyデータベースを通さずには飛行機に乗れなかったり、合衆国憲法修正第2条で認められた権利(訳注:武器を保持・携帯する権利)を行使できなかったりする日が来るかもしれません。また、これも十分に考えられる話ですが、オバマケアの一環としてIRSがまもなく収集を始める個人的な医療情報も、E-Verifyシステムに組み込まれるでしょう。

こういった懸念を単なるパラノイドだと切り捨てるような人は、かつて愛国者法案について警告した人々に向けても同じ反応を返したことを思い出すべきでしょう。愛国者法により、政府が国民の通話記録やインターネット閲覧記録を収集するようになると我々は警告したにもかかわらず、彼らはそれを一笑に付しました。当初テロリストだけを対象にすると言われていた愛国者法が、今は憲法上の保護をバイパスし、テロや国防とはまったく関係のない事柄に利用されています。これと同じように、国民IDシステムである強制的E-Verifyデータベースも、不法移民の就労を予防するという目的だけに使われることはないでしょう。それは、次第に、米国民を監視しコントロールするための新たなツールとして利用されることになるのです。

NSAが大規模に国民を監視したり、IRSがティーパーティーやその他の団体を狙い打ちにしていたり、最近明るみになったこのような事実は、政府にこの種の権限を与えることがいかに危険かを物語っています。個人の写真や生体認証情報を含む国家データベースを作るというのは、監視国家への大きな跳躍です。制限された政府と個人の自由をまだ信じるすべての米国民は、E-Verifyに強く反対すべきです。

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