チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

ベンチャー投資家としての政府

2011-09-25 19:31:16 | 経済
おなじみリバタリアン代表ロン・ポール議員のブログから

Texas Straight Talk 2011/09/19

Government as a Venture Capitalist

ベンチャー投資家としての政府(拙訳:チモシェンコ大村)

2009年1月、政府は、「議会が緊急の景気刺激法案を通過させれば、失業率を8%超に押し上げ得る経済的破滅から米国は救われるだろう」と主張しました。政府による景気刺激策がそれに対する正しい答えであり、我が国のことを気にかけるならば、我々の懸念を取り除き、法案を通過させるために必要な事をすべきだ、と。そして、議会は景気刺激法案を通しました。しかし、それ以来、失業率は上がり続け、今では8%を大幅に超えています。(実際のところ、Shadow Government Statisticsのジョン・ウィリアムズによると、従来の計算方法では失業率は23%近くにもなります)しかし、一部の人は、初めの景気刺激策は効果があったと言い、また、繁栄を取り戻すには政府によるさらなる景気刺激が必要だと主張しています。

景気刺激策は、一部の人間に短期間だけ効果があるかもしれません。それは、Solyndra(訳注:太陽光発電パネルメーカー)にも少しの間だけ効果的でした。一時の間、彼らは、経済に貢献し得る生産的な活動に従事している振りをすることができました。そして、一時の間、失業者数は1100人以下に抑えられていました。しかし、最近起きたSolyndraの経営破綻は、政府がいかにひどいベンチャー投資家であるかを物語っています。この茶番により、アメリカ国民に5億ドル以上の負担をかけておきながら、非を認めることもしません。政府はその投資の算定を疑問視することもなく、景気刺激策導入後の失業率の見通しについて何を間違えたか問うこともしません。

その代わりに、お金をさらに要求しています。再び、「我が国のことを気にかけるならば、雇用を増やすために、さらなる支出増額と増税を容認すべきだ」という声を耳にしています。彼らはまだ望みを捨てていません。

確かに、Solyndraの工場に行けば、そこに仕事があることが見て取れたでしょう。しかし、見ることができなかったであろうものは、創出されることの無かった生産的雇用です。本当のベンチャー投資家は、政治やカメラチャンスに基づいて意志決定するのではなく、リスクとリターンに関する複雑な経済評価を基に決定を下します。他人の金を一工場に投げ与えるだけで魔法が起きるなどとは期待しません。創出されていない雇用はまだあるかもしれません。しかし、政府の債務は増え、さらなるインフレーションと増税をもたらすでしょう。すでに厳しい規制環境に加えて、これらの状況は民間部門においてさらなる負担とリスクをもたらすだけです。

「金槌しか持っていないと、全ての物が釘に見える」(When all you have is a hammer, everything looks like a nail)と言います。我が国の政府は、大きな政府とさらなる財政支出が全ての問題に対する答えだと心から信じている人々で埋め尽くされています。政府は彼らにとっての金槌であり、彼らはそれを打ち続けることしか知りません。政府による“解決法”が問題を解決しなくても、彼らは平然としています。彼らは、さらに大きな政府、さらに多くの法律、事業を要求し続けています。アメリカ国民は釘のように扱われることにうんざりしています。

この政府中心のマインドセットが問題の本質なのです。このような考え方の人間が政治と政府に自然と引き込まれていくのです。彼らにとっては、合衆国憲法は面倒な障害であり、避けるべきもの、あるいは無視すべきものなのです。

私たちは、持続的で生産的な真の雇用創出に関心を持たなければなりません。それは、各家庭に繁栄と経済的安定の確固とした基盤をもたらす雇用であり、資源を浪費する割には一夜で消えてしまう見せかけだけの政府の雇用創出ではありません。私たちは、どちらかを選ばなければなりません。


外国による占領がさらなるテロを招く

2011-09-14 15:44:49 | 軍事


リバタリアン代表ロン・ポール議員のブログから

Texas Straight Talk 2011/09/12

Foreign Occupation Leads to More Terror

外国による占領がさらなるテロを招く(拙訳:チモシェンコ大村)

10年前、衝撃的で恐ろしいテロが米国本土で起こり、3千人以上の罪なきアメリカ人の命が奪われました。そして、このテロに対する報復が疑いもなく叫ばれました。しかし、アメリカ国民をテロから守ると言いながらも、むしろ我々の自由と繁栄は損なわれ、我々をさらに危険な状態に曝しているのです。これは皮肉であり、悲しいことであります。このテロの原因は、自由と繁栄を享受する我々をテロリストが憎悪しているからであり、どのような状況においてもテロリストに勝利を与えてはいけない、と再三主張されてきました。

しかし、多くの人には信じがたいかもしれませんが、中立な研究によると、9・11テロとその他の自爆テロの圧倒的多数の背後にある真の動機は、我々のライフスタイルに対して敵が抱く嫌悪ではありません。我々の宗教でなければ、富でもありません。そうではなく、主として我々による他国の占領です。もし別の国が無理やり米国を占領して軍事基地を持ち、我々の土地に武装した軍隊を駐留させていたとしたら。そのような状況をちょっと想像するだけで、なぜ外国による占領が人々をそんなに怒らせるかを理解できるようになるでしょう。ロバート・ペイプはこの問題について徹底的に研究し、彼の著作「Cutting the Fuse: The Explosion of Global Suicide Terrorism and How to Stop It」で詳しく解説しています。実際のところ、彼が1980年から世界規模で調査した2200件の自爆テロのうち、95%は外国による占領に反発したものでした。

ペイプが指摘していますが、米国のイラク侵略以前では、アメリカ人やアメリカ関係者に狙いを定めた自爆テロは全体の10%ほどにしかなりません。しかしながら、それ以来、自爆テロが大幅に増加しただけでなく、その91%が我々に向けられたものになっています。

もちろん、9・11テロにはなんらかのリアクションが必要です。しかし、我々の行なったやり方は、イスラム世界の過激派に、我々自身や我々が彼らの土地を占領する動機について、非常に脅迫的な形で人々に語り伝えることを許してしまいました。オサマ・ビンラディンは、我々を、イスラム教徒を改宗させ、その文化を西洋化し、彼らの資源を支配しようとする、宗教的目的をもった「十字軍」だと呼びました。仮に、テロを起こした悪党や犯罪者のみに狙いを定めて報復し、テロとは無関係の国を侵略していなければ、このような描写は、(自爆テロ予備軍である)絶望的で行き場をなくした人々には説得力がなかったでしょう。イスラム世界だけを非難するのは、大いに誤解を招くことなのです。

代わりに我々が取った道によって、さらに8千人のアメリカ人の命が奪われ、4万人の負傷者を出し、数10万人もの人が退役軍人援護局(Veterans Administration)に救いを求めています。しかも、3、4兆ドルもの金を失いました。また、本国の防衛を犠牲にして、我が国の軍隊は、危険なほどまばらに、世界中のあちこちに配置されています。それのみならず、我々の自由は自国内から脅かされ、また損なわれてしまいました。愛国者法や令状なしの家宅捜査・盗聴、人身保護令状の悪用や空港における不必要で屈辱的な身体検査。これらのごく少数の例を挙げるだけでも、いかに我々が自国から自由を奪い、そうすることによってテロリストたちに“勝利”を与えてしまったかが分かります。

我々がイラクを侵略する前は、自爆テロはありませんでした。しかし現在は違います。イラン人が自爆テロを行うという事例は知られている限りではありません。もし、我々がイランを侵略し占領すれば、この点も変わるでしょう。

正しい問いかけをし、真実と向き合うことは、時には大変居心地の悪いものです。口先だけの政治家がやってきて、聞こえのいい自画自賛の状況報告をされたら、聞きたいと思っていることをただ単純に信じたいという衝動に駆られるものです。しかし、そうすることで自分に自信をもつことができるかもしれませんが、虚言に耳を傾けてもこの国は安全になりません。

真実を言うと、この誤って導かれた戦争と占領を終わらせることが、我々を安全にし、さらに繁栄と自由をもたらすのです。

私たち、政府の者です。救助にやってきました。

2011-09-08 15:51:20 | ボランタリズム
先週は、ハリケーン・アイリーンのおかげで大変でした。小生はニューヨーク州ロングアイランドに住んでますが、アイリーンが通過した後、6日間も停電が続きました。いや、というか、アイリーンと言うよりも、それは無能な電気会社のせいですね。あいむそーりぃ、あいりーん。

さて、おなじみ、リバタリアン代表ロン・ポール議員のブログから。

Texas Straight Talk 2011/09/05

We're from the government. We're here to help.

私たち、政府の者です。救助にやってきました(拙訳:チモシェンコ大村)

ハリケーン・アイリーンをきっかけに、連邦緊急事態管理庁 (FEMA)は、議会からもっとお金をもらおうと、ペコペコ頭を下げることでしょう。政府の他の部門同様、FEMAも一文無しなのです。FEMAに支給される追加予算は、他の部門での支出削減から賄われるべきだと提言されています。この考えは、経済を理解していない、大きな政府の主唱者にとっては、過激で人情に欠けるものかもしれません。しかし、私はさらに踏み込みたいと思います。FEMAはそもそも本来、設立されるべきではなかったのです。それは、災害救助における間違った考えに基づくものであるからです。

これは、FEMAが災害の現場に現れることで引き起こされる二次災害を経験したことのない人には衝撃的な考え方でしょう。しかし、FEMAの無能さを説明しているからと言って、災害の被害者を救助すべきでないと言っているのではありません。むしろ、その逆です。

災害の被害者には、可能な限りの支援をいかなる形であれすべきです。また、大惨事が起きた時の、善良なアメリカ市民の寛大さと慈悲深さには事実上際限がありません。これが本当であるかを知りたければ、ハリケーン・カトリーナの時の、市民から差し伸べられたあふれんばかりの支援の手を思い出すだけで十分でしょう。しかし、FEMAは、救援活動を行ったりその手助けをするどころか、むしろ救援の邪魔をしたのです。そのような事例は数え切れません。ボランティア消防隊員が募集されたとき、何千人ものボランティアの方が名乗り出ました。しかし、FEMAは、その管理体制や官僚的愚劣さのせいか、ボランティア隊員が実際に救援活動を行うことを許さなかったのです。例えば、消防団がヒューストンから到着したとき、彼らは迅速に現場に派遣されるどころか、その場で待機するよう命令されました。そして、何もせず2日間待った後、彼らはテキサスに送り返されたのです。また、火災がまさに激しさを増すなかで、千人のボランティア消防隊員がアトランタに送られ、セクシャルハラスメント講習を受けさせられていました。このバカバカしさの中で、残った隊員は、火を消すどころか、大統領をエスコートしたり、あるいはチラシを配布するために使われたのです。コンピューターエンジニアのジャック・ハリソン氏は、彼の能力が技術的インフラを再構築するのに必要だと言われました。彼は2週間ほどはぐらかされた果てに、FEMAが借りていたクルーズ船の安全担当者として配置されました。本来ならば、彼の能力を救援活動に使うべきであるにも関わらずです。人々が苦しみ、救助を待っているときに、FEMAによって、いかなる支援の手も葬り去られ、あるいは不適切に処理されたのです。FEMAのおかげで、赤十字でさえ何も自由にできませんでした。

9・11以来、事態は悪化するのみです。二つの船団にまつわる話を比較してみて下さい。一つは、9・11の時に組まれた船団、もう一つは、カトリーナの時のものです。9・11のテロ発生から1時間以内に、史上最大の海上輸送が、事態の緊急性を即座に察した地元住人によって、自発的に組織されました。他の逃げ道が閉ざされた中で、恐怖に襲われた50万人以上のニューヨーク市民が、フェリーやタグボート、娯楽船、漁船や荷船によって島を離れました。同じような船団が、カトリーナの時も民間で組織されました。物資が尽きて絶望的な状態にある病院から患者を救い出そうと、500隻の船がニューオーリンズを目指しました。しかし不幸なことに、その間にFEMAが指揮をとるようになり、救護船団は空しくも追い返されたのです。そんな中、患者の方たちは依然取り残されたまま困窮を極めたのでした。また悲劇的なことに、ハリケーン・アイリーンが襲った時、バーモント州空軍のヘリコプターはイラクにいました。彼らの力が地元でぜひとも必要だという時にです。

FEMAの創設は、「大きな政府は誰に対しても何でもできる」という盲信の現れです。FEMAは官僚主義的な組織です。官僚機構というものは、善意の人間により組織されているかもしれませんが、その本質上、仕事が遅く無駄が多いことで有名です。人間が飢え、負傷し、死にかけている時には、迅速性と能率性が求められます。それなのに、FEMAは書類や規則、ゴム印を手にしてやって来るのです。この類のことは、DMV(訳注:Department of Motor Vehicle;米国における車両登録や運転免許の申請・更新を扱う部局。お役所的な仕事の遅さ・傲慢さ・無愛想さの縮図みたいなもの)で十分です。しかし、一刻一秒を争う、生死にかかわる問題においては、そのようなことは許されるわけがありません。

被害者を本当に思いやりたければ、FEMAを排除することです。

リビアにおける任務完了?

2011-09-03 17:45:37 | 軍事
おなじみリバタリアン代表ロン・ポール議員のブログから。

Texas Straight Talk 2011/08/29

Mission Accomplished in Libya?

リビアにおける任務完了?(拙訳:チモシェンコ大村)

大きなハリケーンがアメリカ東海岸を襲っているというのに、政府はリビアでの戦争を拡大するつもりでいます。その一方で、シリア政権を威嚇しています。我々の国家と経済にさらなる問題をもたらそうとする政府の貪欲さには限度があるのでしょうか。

カダフィ政権が転覆されたようですから、米国とNATOが支援した、リビア反政府軍のこの明らかな勝利を祝いたい衝動にアメリカ人は駆られているかもしれません。しかし、私は、このリビアの災難に関して熱狂的になることは未熟なことだと考えています。

オバマ政権は、憲法に則った宣戦布告もなく、議会の承認もなく、議会と真剣に相談することもなく、そして、下院からも上院からも1ドルも承認を得ることなく、リビアを攻撃しました。この戦争は、大統領が米国議会の権威を無視し、国連の承認を得ることで始めたものだったのです。

我々の憲法を無視し、その価値を下げることで、国家として何か良いことがあるでしょうか。何十億ドルもの金を使って、自分たちに脅威も与えていない、何千マイルも向こうの国を攻撃することで、何か良いことがあるでしょうか。さらなる属国を得るために帝国を拡大し、おそらく長期化するであろう軍事支配を行うことで、財政は健全化されるのでしょうか。さらなる戦争に関与することで、世界中から尊敬を得ることがあるのでしょうか。

それでも、多くの人は、リビアの独裁者カダフィを排除したのは有意義だったと主張するでしょう。また、彼らは、目的は手段を正当化すると言うでしょう。一般市民を保護するという口実で始まったこの戦争ですが、NATOの空爆による市民の犠牲者が増加していることを考えると、軍事介入の当初の理由からして馬鹿げているのです。NATOが攻撃する前はリビアにおいて大量殺戮は全くなかったということを忘れてはなりません。この戦争は、予防的な人道的介入と謳われていました。しかし、NATOの戦闘機が爆撃を始めるやいなや、市民の犠牲者が出始めたのです。

カダフィは確かに暴君かもしれません。しかし、我々が支援し同盟者と見なしている人間の中で、彼と同じくらい悪い者はたくさんいます。気になることですが、アラブ世界において、比較的世俗的な指導者を体制変革のターゲットにした場合、その結果引き起こされる権力の空白状態をさらに過激な一派が埋める、というパターンを我々は見てきています。サダム後のイラクは、米国の侵略以前に比べて、はるかにイランに近くなっています。リビアも同じことになるのではないでしょうか。

米国の支援する反政府軍が、その政敵に対しておぞましい報復を行っているのを我々は既に目撃しています。反政府軍側では、憂慮すべき略奪と無法状態が続いています。反政府組織の一部は、イスラム過激派と同盟関係にあり、また一部はCIAと関係があるようです。彼らはまた、前政権の支持者を殺すだけでなく、仲間同士で殺しあう傾向があるようです。リビア社会の部族構成は、内政干渉の主唱者が達成間近とするスイス式の民主制(訳注:直接民主制)どころか、内戦が引き続くことを確実にするだけです。

このような勝利の後には何が待ち構えているでしょうか。リビア国内の政治的混乱と暴力のまっただなかで、欧米はリビアの油田を横取りしようと争っています。そんな中で、NATO地上軍がさらなる占領を計画していないなどと、誰が思うでしょうか。

ネオコンは、誰が政権の座にあるかに関係なく、我が国の外交政策を支配し続けます。彼らには、我が国が破綻していることも関係ありません。なぜならば、彼らは、帝国建設への欲求と、同盟関係をこじれさせることへの情熱のために盲目になっているからです。彼らの次の狙いはシリアです。そこでもまた、米国と全く関係の無い内紛に干渉しようと着実に歩を進めています。シリア政権に対する新たな制裁を加える一方で、すでに米国大統領はシリアでの「体制変革」を要求しました。米国による爆撃は間近でしょうか。