本日は、この時期人気となる苺ジュースのシャンパン割りで知られる「レオナルド(Leonard)」の謎に迫ります
世界的には、苺とシャンパン(スプマンテ・ブリュット)を「ロッシーニ(Rossini)」と呼びます
しかし日本だけは未だに"レオナルド"と呼ばれる事が多いです
日本発祥ではないこのカクテルは、フィレンツェで生まれたものでした!
90年代後半にこのカクテルの存在を知り、2000年にイタリアのカクテルを勉強したくてイタリア旅行に出かけました
まずは地元イタリアのカクテル・ブックを何冊か購入し、レオナルドのレシピが載っているのかチェックしました。
苺とシャンパン又はスプマンテ・ブリュットは、写真上の様に"ロッシーニ(Rossini)"として全て紹介されております。
別名も「フラゴリーノ(Fragolino)」や「サブリナ(Sabrina)」で紹介されており、レオナルドの名前では見当たりませんでした。
実際に4つの有名都市のバーに何件もまわりレオナルドを注文しましたが、知らないとの事でした。"苺シャンパン"で注文するとロッシーニが出てきてしまいます。
写真上のメニューは、100年以上もの歴史を持つローマのバー「エクセルシオール」のメニューです。
イタリアで人気のシャンパン(スプマンテ・ブリュット)カクテルは、写真上の様にオレンジの「ミモザ」、桃の「ベリー二」、苺の「ロッシーニ」、マンダリンの「プッチーニ」、葡萄の「ティツィアーノ」、ザクロの「ティントレット」です。レオナルドはありません
当時日本で購入した「新版バーテンダーズマニュアル」によると、ティツィアーノのメモ覧にフィレンツェのハリーズ・バーにレオナルドがあると紹介されており、"完熟した色付きの良い苺をピューレにして、スプマンテで割ったガーネット色したカクテル"と書かれていたのでハーリーズ・バー・フィレンツェに行きました!
ここなら間違えなくレオナルドがあるにちがいないと期待しました!
メニューを頂きワクワクしながら開き探してみると、レオナルドがありませんでした
レオナルドは無いのに、苺とスプマンテ・ブリュットのロッシーニは載っつています!
シャンパンを使用したお薦めのカクテルを注文したら、出てきたのが「シャンパン・カクテル」でした!
なぜか赤いシャンパン・カクテル(通常は赤くないです)で、飲んでみるとコニャックとグランマニエの風味の他に、ラズベリーの様なストロベリーの様な味がしました。
もしかして苺シャンパンがロッシーニで、ラズベリーとシャンパンがレオナルドだったりしないかな~?とも考えました。それにしても地元イタリアでレオナルドの名は有名ではない様でした。
ひょっとしてハリーズ・バーでもベニスの方にあるのか?
という事でベリーニの発祥地でもあるベニスのハリーズ・バーに行きました!
写真上はベニスのハリーズ・バーのメニューで、レオナルドは載ってない様で、注文も通りませんでした
今度は、ローマのハリーズ・バーにも行き、レオナルドがあるかのかを確認致しましたが、ありませんでした
写真上のローマのハリーズバーのメニューにもロッシーニは載っていました。
ここでもレオナルドの注文はと通りませんでした。イタリアでは9割がた苺シャンパン又はスプマンテ・ブリュットは"ロッシーニ"と呼ばれ、1割はお店により独自の名前で呼びます。
あ~眠れないという事で、再びフィレンツェのハリーズ・バーに訪れました。
苺とスプマンテ・ブリュットのロッシーニがメニューにあるので、レオナルドが出てくる望みも少ないと思いましたが、諦め切れずまた来店しました。
まずはお薦めカクテルを注文すると、ガローネ・ミキシングで「マティー二」を作ってくれました!
こちらのヘッド・バーマンは、LEO VADORINIさんです
メガネをかけているのですが、カクテルの調合時になるとメガネをアゴまでズリ落とします
とても個性的で明るいお爺ちゃんです
シェーカーの振り方は、逆トップ式でホテル・オークラ流な感じです!
シェーク中、メガネが落ないか心配になります
二杯目のお薦めは「ウイスキー・サワー」でした!
このカクテルもまた何故か赤いんです(通常は赤くないです)!
シャンパン・カクテルの時も赤かったので、この赤い色の正体を聞きました
正体はストロベリー・シロップでした!何故かと言うとLEO VADORINIさんの大好物が苺なので、様々なスタンダード・カクテルに苺フレーバーを加えてお薦めしているそうです。
因みにレオナルドを注文したら、オーダーが通りました!!!
写真上のお爺ちゃんは、なんとレオナルドの考案者LEO VADORINI氏で手に持つのが考案者自ら作った本物の「レオナルド」です!!
上質な苺ピューレではなく、イタリアのコンビニによくあるストロベリー・ジュースのランソン・ブラック割りのです。
北條:「ロッシーニがあるのに、これはなんでレオナルドと呼ぶんですか?」
レオ:「ロッシーニは、苺ジュースのスプマンテ・ブリュット割りで、レオナルドは、苺ジュースのシャンパン割りとして区別しているよ。私の名がレオで、私の好物をシャンパンで割ったら、レオが上品な名前になり"レオナルド"になった訳さ!私から生まれた子供みたいなカクテルだね」
北條:「.........ラズベリー・ジュースのシャンパン割りでは無かったんですね。出会うまでに苦労しました。日本ではレオナルド有名ですよ!」
レオ:「本当かね~それは嬉しいね~」
という訳でレオナルドは、イタリアではフィレンツェのハリーズ・バーでしか注文が通らないと思われますが、レオさんが引退していたら飲めないかも知れません。
カクテルバー・マルソウでは「ロッシーニ」も「レオナルド」もこの時期ご用意しております!
レオナルドお薦めで~す!