Chung Myung-Whun(チョン・ミョンフン)
マーラーの9番ということなので行って来ました。
NHK交響楽団 第1614回定期公演 Cプログラム
2月16日(土) 開演 3:00 PM NHKホール
メシアン/忘れられたささげもの
マーラー/交響曲 第9番 ニ長調
指揮 チョン・ミョンフン
15日16日と2日連続で行われた定期演奏会ですが、仕事の関係で2日目の16日を聴く羽目になってしまいました。
初日の演奏会の様子はNHK-FMで生放送してましたね。
途中から聴きましたが、ラストのほうは随分と濃い演奏をするなぁという印象が残りました。
N響のメンバーのブログによると、今回のマーラーでは弦の編成が普段とは大分違ったようです。
第一ヴァイオリン・第二ヴァイオリンとも9プルトという巨大編成とのこと
NHKホールという器を考えてのことか、あるいはミョンフンの考えるマーラーには弦の増幅が不可欠なのか…
自分の耳で確かめるしかありません
ところでチョン・ミョンフンのN響への登場は10年ぶりとのことです。
N響のホームページによると、ミョンフンは2001年から東京フィルハーモニーのシェフをしておりますが、この契約形態が変わったおかげで今回N響を振れるようになったようです。
ミョンフンが東京フィルを振るときはチケットが若干高くなるのはよく知られたことですが、逆に云えばミョンフンのギャラがそれだけ高いということなんでしょうかね
今までの契約では高いギャラを払ってるんだから他のオケを振るのはご法度だったと推測されますけど、さてさて真実はいかに?
16日、渋谷駅のハチ公前からセンター街に入り、HMV渋谷でひとしきりCDを物色してからNHKホールへと向かいました。
寒いせいか土曜日なのにあまり人が出てませんでした。
拍子抜けするほどすいすいとホールに到着です。
するとビックリ、N響の演奏会ではあまり見たことのない光景が目に入ってきました。
「チケット求む!」
確かに話題性の高い演奏会ではありますけどねぇ…
マーラーに先立ち演奏されたメシアンの「忘れられたささげもの」、これは良かったですね。
時間にして10分ちょいの短い曲ですが、オケも指揮棒にピタリとついて好演だったと思います。
技術的に問題があるような曲でもありませんし、終盤の弦は透明感もあって気持のいい演奏でした。
15分の休憩の間に弦の増幅編成のための椅子がぞくぞくと舞台に並べ始められました。
なんと弦の多いこと…
それでもこのあたりではまだ期待値のほうが優っていたんですけどね
いよいよマーラーというあたりからなにやら不吉な予感がしたんですよね
ホール内が妙にざわつくんです
土曜日とか日曜日の演奏会が悪いほうに向かうときの兆候かも
それでなくても平均年齢が高い観客層のN響コンサート、そこに普段クラクラ音楽とは無縁の皆さまがいらっしゃる土日の演奏会。
マーラーの9番の演奏会では静寂は観客の必須マナーなんですけどね
こういうのはけっこうオーケストラにも伝染するみたいですよ。
生とラジオの違いはあるとはいえ、昨日ほどの緊張感が感じられないんです
三楽章までは普通のマーラーという感じでしたね。
いつものごとく多少のミスはあるものの許容範囲ということで、全体的にはいい演奏だと思ってました。
ミョンフンの指揮なので極端に熱くなるのを心配してましたが、譜面を冷静に表現していたように感じられました。
ある一点を除いてはですが
そして最終の四楽章に突入です。
バーンスタイン張りの導入で弦が熱く唸りだしました。
マーラー指定の8プルトを大幅に増員してるわけですから、大きなNHKホールといえども弦がよく響きます
でも、この辺からオイラ的には落ち着かなくなりました
ずーっと感じていたある一点が気になりだして仕方がなかったんです。
弦主体の楽章ということとミョンフンの指示との相乗効果なんでしょうか、明らかに弦が鳴り過ぎという印象です。
それは管楽器や打楽器とのバランスにも現れていました。
通常編成の管打に比べて弦の音が厚すぎるんです。
かつて聴いたことがないバランスのマーラーになってました。
このバランスは正直云ってオイラの許容範囲を逸脱してましたね
存在感のあるコントラバスを土台にしてぶ厚く弦が鳴るので管打がまるで添え物みたいな扱いです。
盛り上げ役としてその存在が認められる管打がフレーズの高揚時に弦に負けていたんでは洒落にもなりませんって
弦の「厚さ」が同時に「熱さ」も持ってしまったがため、曲の終盤に行ってもマーラー指定のersterbend(死に絶えるように)という境地には至らなかったようでした。
まるで太筆書きのような弦から発せられる響きとオイラが欲する細筆から描かれる終盤の繊細さとは少々方向性が違っていたようです
確かに弱音の演奏ではありましたが、熱気が漂う中では静謐な緊張感を共有できるものにはなりませんでした。
どこか弛緩したものがあるようで音楽に没頭し切ってない自分を感じてましたから。
しかも終曲時には、どこぞのKY観客が見事なまでに雰囲気ぶち壊しの拍手をしてくれましたからね
ミョンフンのマーラーは今回が初体験なわけですが、・・・よくわからなかったなぁ
追記
日曜日の昼間なのでのんびりとブログ回りなどをしております。
昨日のミョンフン=N響の演奏会については賛否両論雨霰ですね
マーラーの1楽章で途中退席したなんていうツワモノもいらっしゃったようです。
かく云うオイラの臨席の方も4楽章の途中で他の観客の前をかき分けて退席してましたよ
オイラも最後まではいましたが、ミョンフンが3度目に出てきた時点で帰りました。
N響の演奏上のミスに苛立ちを覚えた方が相当いたみたいです。
今回のミョンフンのマーラーではどういう音楽を作るかに興味の大半が向いていたので、オイラ的には各パートが起こしたさまざまな事故には敢えて目をつむってましたけどね。
聴く人それぞれがいろいろなモノサシを持って臨むんでしょうから、感想もまたいろいろなんでしょう
もちろん熱狂的な拍手を送る方も多数いましたし、あちこちから「ブラヴォー」の声がかかっていましたよ。
ミョンフンとN響の名誉のためにこれはきちんと付け加えておきますね。
あっ、そういえばメシアンだけで帰った方もいたとか