茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

戦争とお茶

2009年08月06日 | Weblog
中国が清と呼ばれていた頃、
お茶や陶磁器など
世界を魅了する産物の輸出が盛んで、
清は銀をたくさん蓄えていました。
逆に、
お茶をたくさん飲むイギリスの銀は底をつき、
その対策として、
清にアヘンを売りつけるようになりました。

アヘンは清国に蔓延し、
社会は乱れ銀相場は混乱をきたし、
これに憂慮した清は、
アヘンの輸入を禁止することにしました。
困ったイギリスはいろいろ交渉をしますが、
最終的に武力を行使します。
交渉の過程で、
清国の軍事力の弱さを
世界のイギリス艦隊は察知したようです。

1841年、
後にいうところのアヘン戦争勃発。
イギリスの一方的な攻撃が続き、
これにより、
香港の割譲と、
広州・厦門・福州・寧波・上海の開港が余儀なくされました(南京条約)。

何千年にもわたって育まれてきたお茶。
よいお茶を産する豊かな中国。
船で世界を闊歩し、
お茶という素晴らしい飲み物を見つけたイギリス。
買う銀が無くなってしまうほど
お茶を愛したイギリス。
この両国の間で起こった戦争が、
近代史に大きく影響を与えることになります。

お茶は、
戦争に利用され、
その後の欧米による東アジア支配の
引き金ともなってしまったのです。

日本においても、
清朝敗戦のニュースは大きな危機感をもたらしました。
それまで異国船打払令を出すなど強硬策をとっていた幕府は、
欧米列強への態度を一転することになります。
こうした時代の波が、
明治維新という大きな流れにもつながっていきました。

お茶も石油も人も土地も水も、
力尽くで奪い取るような野蛮な時代が終わることを
切に祈って、
すべての戦争の犠牲者に一碗を捧げます。